市販の目薬を購入するとき、「なんとなく効きそうだから」という理由だけで選んでいませんか?
どれも大差がないように見えるかもしれませんが、実は入っている成分によって効果はまったく違います。パッケージデザインや印象だけを見ていては、自分に合った目薬を選ぶことはできません。
そこで今回は、気になる症状別に市販の目薬の選び方を紹介します。よく聞かれる質問や注意点なども紹介しているので参考にしてみてください。
目薬は配合されている成分によって特徴が大きく異なります。製品のイメージだけで選んでいると、本当に自分に合った目薬を選ぶのはなかなか難しいものです。どの成分がどういった症状に適しているのかを知っておくことでピッタリの目薬を選べるようになるでしょう。
目が乾燥してしばしばするときは、保水力の高い目薬を選びましょう。次の成分が入っているものを選んでみてください。
ただし、目の乾燥が気になるときに市販の目薬を使い続けるのはあまりおすすめできません。というのも、使い続けることでかえって症状が悪化する可能性があるからです。
目薬に配合されている防腐剤は、乾きを悪化させることがあります。そのため、市販の目薬は一時的な使用にとどめておきましょう。
充血が気になるときは、血管収縮剤が有効です。
血管を収縮させることで、充血を取り除きます。ただし、充血の原因が細菌感染の場合は、血管収縮剤が入った目薬ではなく、抗菌目薬を使うのがよいでしょう。花粉症やアレルギーの場合は抗ヒスタミン薬が入っているものを選んでみてください。
また、白目が真っ赤になるほど充血している場合は、結膜下出血の可能性があります。結膜下出血は時間の経過とともに自然と改善していくので、とくに目薬をさす必要はありません。
目の奥がずんと重く、疲れているときはビタミンB12が配合されている目薬を選んでみてください。レンズの厚みを調整している毛様体という筋肉の働きを活発にすることで、疲れ目を改善します。ピントが合わずぼやけているときは、ピント調節機能があるネオスチグミンメチル硫酸塩もよいでしょう。
ものもらいや結膜炎を起こしているときは、抗菌目薬を選びましょう。一般的なボトルに入っているタイプと、1回使い切りのタイプとがあります。
かゆみを抑える成分としては、次のものが代表的です。
細菌感染が原因の場合は、かゆみ止めの成分ではなく抗菌成分が入った目薬を使用しましょう。
ぼやけて目がかすむときは、ピント調節機能があるネオスチグミンメチル硫酸塩や、毛様体の働きを助けるビタミンB12が配合された目薬がおすすめです。まれに視力低下が原因でかすみ目になることもあるため、症状が続くときは眼科を受診しましょう。
ここからは、目薬についてよく聞かれる8つの質問について見ていきましょう。目薬といえども立派な薬です。正しく使っていく必要があります。
コンタクトレンズにも使えるものでしたら、使用しても構いません。一般にソフトコンタクトレンズはコンタクト用のみ、ハードコンタクトレンズはどの目薬でも使えると言われています。
ソフトコンタクトレンズで一般的な目薬が使えないのは、レンズが目薬の成分を吸着してしまうためです。また、成分によってはレンズが変形してしまうことがあります。
諸説ありますが、開封後は3か月ほど使用できます。ただし、製品によっては10日しか使えないもの、1か月しか使えないものなどもありますので、注意事項をしっかり読みましょう。
必ずしも両目に点眼しなければならないわけではありません。しかし、ものもらいは細菌感染症によって起こるものです。片目にできていたら、もう片方の目にも感染する可能性は考えられます。予防のために両目に点眼しておくと安心です。
冷蔵庫で保管しても構いませんが、必ずしも冷蔵庫に入れておく必要はありません。冷やすときは、凍らないように気をつけましょう。成分が変質したり、容器が破損したりする恐れがあります。直射日光が当たらず涼しい場所で保管ができるなら、とくに冷蔵庫へ入れる必要はないでしょう。
いくつかの目薬をさす必要があるときは、間の間隔を5分以上あけてください。時間をあけずに目薬をさすと、目薬の成分が十分に吸収されなくなってしまいます。治療が円滑に進まなく原因にもなるため、最低でも5分以上はあけましょう。
基本的に用法用量の範囲内でしたら、妊娠中や授乳中でも問題なく使えます。ただし、抗炎症成分のプラノプロフェンという成分だけは使用を避けましょう。プラノプロフェンは胎児と母体とをつなぐ動脈管を収縮させて、栄養や酸素の供給に影響をもたらす可能性があります。
刺激が強いからといって、疲れ目に効くとは限りません。清涼成分によって一時的な爽快感は得られますが、清涼感がある=疲れ目に効いているわけではないのです。目の疲れが気になるときは、ビタミンB12が配合されている目薬が一般的によく使われています。
着色しているわけではありません。赤い色はビタミンB12の色です。ビタミンそのものの色なので、安心して使用してください。ほかに、黄色の目薬もあります。こちらはビタミンB2の色です。
目薬を正しく使えている方は、実はあまり多くありません。ここでしっかりと、正しい使い方を覚えておきましょう。そうすることで目の健康を守ることができます。
市販の目薬は、多くの製品が長期に連用することを想定していません。5~6日ほど使っても症状が気になる場合は、眼科を受診するようにしましょう。とくに気をつけたいのが、血管収縮薬が配合されている場合です。連用することで血管収縮剤が原因の充血を起こすことがあります。
目薬の先端が目やまつげに当たらないように点眼しましょう。雑菌が繁殖する原因となります。目薬に浮遊物や濁りができた場合は雑菌が繁殖していると考えられるので、使用は避けてください。
目薬を常備薬として、家族で使う薬箱に入れている方もいるかもしれません。しかし、目薬を複数人で使い回すのはよくありません。雑菌が繁殖したり、目薬を介して感染症がほかの人にうつったりする可能性があります。
複数人で使いたい場合は、ボトルではなく使い切りタイプのものを準備しておくとよいでしょう。
何滴もさしても、さしすぎた分は吸収されることなく流れていきます。目薬が無駄になってしまうので、さすのは一滴で十分です。
市販には限られた目薬しかありません。また、1つの目薬にいくつもの成分が配合されていることが多く、不必要な成分を使ってしまうことも少なくありません。そのため、市販の目薬を5~6日ほど使っても症状が改善しない場合は、漫然と使い続けずに眼科を受診しましょう。
目薬は、症状に応じた成分が配合されているものを選ぶことが大切です。パッケージやCMの印象だけで購入すると、症状にマッチした目薬を選びづらくなります。
一般に開封後の目薬は3か月ほど使用できます。それ以上経つと雑菌が繁殖し、感染症を起こすことがあるので使用を避けましょう。
また、目薬を冷蔵庫に保管する必要はありません。複数の目薬を使う場合は間の時間を5分ほどあけてください。目薬はついつい使い方がなおざりになりがちです。正しい使い方、選び方をして目の健康を守りましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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