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顔のシミとレーザー治療(老人性色素斑など)

2022/12/12

一口に顔の〝シミ〟といっても、その中にはたくさんの病態があるため明確な定義はありません。

一般的には〝限局的な皮膚の色素の増加〟のことを指しており、いわゆる〝シミ〟に含まれる疾患として

  • 老人性色素斑(日光黒子)
  • 脂漏性角化症
  • 肝斑
  • 後天性真皮メラノサイトーシス/遅発性両側性太田母斑

などがあります。

シミの分類、シミの種類1)

〝シミ〟の内訳では、いわゆる〝シミ〟で来院される患者さんの60%は老人性色素斑(日光色素斑)で、次いで後天性真皮メラノサイトーシスが8%、扁平な脂漏性角化症が7%、その次に肝斑5%と続くと報告されています1)

なお、どのタイプのシミであれ、治療前後は丁寧に遮光しこする刺激を避け、必要に応じ美白剤の補助治療がないと、シミがぶり返したり、悪化したりすることもありますので、施術者に丁寧にカウンセリングを受けることをお勧めします。

老人性色素斑/日光色素斑、日光黒子とは

顔面や手の甲などの露光部(太陽光のあたる場所)に生じることの多い、点状~貨幣大くらいまでの大きさの境界が鮮明な円形に近い淡い褐色斑です。肌の色が白いかたがスポーツなどで若いころから日焼けを繰り返していると、比較的若いかたでも小さい茶色のシミが多発してくることがあります。

いわゆる〝シミ〟の訴えで皮膚科を受診するかたの60%が老人性色素斑/日光色素斑であるとされています1)。慢性的に紫外線にさらされることにより角質細胞のなかにメラニン色素が増加した状態であり、ほとんどの場合Qスイッチレーザーという治療を選択して照射すればおおむね色は薄くなります(一時的に炎症後の色素沈着を残すことがあります)(自費診療となります)。

ただし、肝斑を合併している方にQスイッチレーザーを照射するとシミは一時的に濃くなることがありますので、施術前の丁寧な確認が必要です。

ケミカルピーリングやレーザーではない光治療(IPLなど)でもある程度の効果が見込まれますが、効果が緩やかなうえ複数回の治療が必要になることが多いです。治療後に赤みや腫れが引いて化粧ができるようになるまでの期間をダウンタイムというのですが、ダウンタイムを望まない方はこのような負担のかからない治療が望ましいかもしれません。

美白剤を外用してもピーリング(角質をうすくはぎ取る)効果がないとこのタイプのシミには十分な効果は見込まれないとされています1)

脂漏性角化症(老人性疣贅)

脂漏性角化症は老人性色素斑がもりあがったものと考えてよく、紫外線にさらされることによって生じるお肌の角質細胞がもりあがりメラニン色素が増えたご年齢によるシミやイボのことをいいます。ご年齢による変化とはいえ20~30代以降でみられることもあります。

良性ですので放置してもよいのですが、整容的な希望があれば切除したり、液体窒素で冷凍凝固治療をしたり、レーザーで焼灼治療したりして除去は可能です。

悪性の可能性が確実に否定できない場合は一部皮膚を取って調べる生検という検査を行うこともあります

肝斑

肝斑は一般に紫外線暴露や妊娠、経口避妊薬の内服、こする刺激などをきっかけに生じるとされ、思春期以降の30代前後の女性に生じることが多いシミです。左右対称に生じることが多く、全体的に色調が均一な淡い褐色斑が頬骨部を中心として眼のまわりをさけて見られることが多くみられます。

本症の病態は炎症後の色素沈着に似ていて、メラニンの合成が増えている状態です2)。肝斑の治療には紫外線をさけることがもっとも重要で、美白剤の外用が治療の中心です。

肝斑に対するレーザートーニング治療は,QスイッチNd-YAGレーザーの 低出力照射によってメラノサイトを破壊することなくその機能・活動性を低下させることが主たる作用機序3)であり、肝斑に対するレーザートーニング治療は病態としての 肝斑を治癒させるものではなく,あくまで一時的な軽快を得るための治療法として有用であると宮田らにより報告され4)、適切に使用すれば症状を軽減する可能性が示唆されています。

ただしレーザートーニングには否定的な見解も多く5)、その効果や影響は経過を見て判断する必要があります。

肝斑はその他のシミとしばしば合併することがあり、肝斑にQスイッチレーザーを当てると逆にシミが濃くなることがあります。この場合、肝斑の治療を優先するのが原則ですが、正しく診断し正しい順序で治療を受けないとむしろ悪化することもありますので注意が必要です。

遅発性両側性太田様色素斑/後天性真皮メラノサイトーシス(ADM/FDM)

10~30歳代の女性にみられる、顔面の頬骨部や両側の額部、鼻翼部にみられる淡い褐色から紫褐色の島状の色素斑で、真皮内にメラノサイトの増えた状態です。肝斑とは異なりレーザー治療が高い効果が見込まれます6)。一方でただしくADMと診断されず肝斑と混同されていれば、何度も効果の緩やかな治療を受けることになります。

以上述べましたように、〝シミ〟も病態や治療が様々で診断と治療は必ずしも簡単ではありません。

〝シミ〟のうち最も多い老人性色素斑や後天性真皮メラノサイトーシスであればレーザーがよく効くのですが、これもさまざまな機種があるため、正しい診断のもとに有効性の高いレーザーを用いることが望ましいでしょう。

また、特にシミとしてもっとも多くみられる老人性色素斑に対して美白外用剤はさほど治療効果が高くないことは知っておくべきでしょう。肝斑と後天性真皮メラノサイトーシスはまったく異なる病態ですが合併することも多いですし、治療の順序も大切ですので、正しい診断のもとに正しく治療を受けることが大切です。

美容の領域にはさまざまな治療がありますが、その症状の病態や病理病態学見地から施術の必要性を選択している深く理解した専門家かどうか、正しく病名を診断できているのか、治療を受ける側は吟味して治療を受けるクリニックを見極める必要があるかもしれません。

たくさんの種類と病態がある〝シミ〟を正しく理解、診断してもらい、適切な診療を受けきれいな肌を取り戻していただきますよう願っています。

※この文章に書かれた内容と臨床写真の経過は筆者の経験と知識等に基づいて書かれたもので、必ずしもすべての症例に当てはまるわけではありません

参考文献
1) 渡部晋一: 日皮会誌, 129: 1619-1625, 2019
2) 川口雅一: 日皮会誌, 129: 2125-2135, 2019
3) 中野俊二: PEPARS, 110: 53-58, 2016
4) 宮田成章: 日本レーザー医学雑誌, 39: 137-140, 2018
5) 葛西健一郎: 日皮会誌, 129: 1627-1632, 2019
6) 鈴木春恵: 日本レーザー医学雑誌, 31: 30-35, 2010

 コラムニスト紹介

紙屋町やなせ皮ふ科クリニック 院長  栁瀬 哲至 


みなさま、はじめまして。
このたび2023年4月、紙屋町に皮ふ科を新規開業いたします。
私は広島大学病院や広島総合病院で皮膚科の基礎を研修後、東京虎の門病院に国内留学する機会を頂き、診断学やレーザー、皮膚外科の研鑽を積みました。広島大学病院ではたくさんの重症なやけどや皮膚がん患者の皆様の手術・治療を最前線で行う一方で、大学院では悪性黒色腫など皮膚がんの新規診断法の研究にも従事しました。尾道総合病院、安佐市民病院では地域基幹病院の部長としておよそ10年間勤務し、お子さんからご高齢のかたまで診察し、皮膚のかゆみからアトピー性皮膚炎、乾癬、じんましん、膠原病にいたるまで、特に治療が難しい患者の皆さまを対象に最前線で治療に取り組んで参り、また皮膚がんや皮膚の良性腫瘍をはじめとした手術も数多く執刀いたしました。
開業後は、以下のことをお約束したいと思います。

①常に高い専門性をもち正しい検査と診断のもと、わかりやすいご説明をいたします。
②医師、スタッフともに患者の皆さまに寄り添ったあたたかい診療を心がけます。
③ネットやアプリから順番を予約でき、なるべくお待たせしない診療を心がけます。
④肌の若返りや脱毛、シミ取りなどの美容診療もご希望に応じて対応します。
⑤さまざまな皮膚のできものの手術にも対応します。

皮膚の治療を通じて、患者の皆さまを明るく元気にしたいと考えています。よろしくお願いいたします!

専門分野
皮膚外科、皮膚悪性腫瘍、乾癬、アトピー性皮膚炎、レーザー治療

【経歴・資格・所属学会】
【略歴】
修道高校卒業
2002年 広島大学医学部医学科卒業 
2002年 広島大学医学部附属病院 研修医(秀道広教授)
2003年 公立三次中央病院 研修医
2004年 JA廣島総合病院皮膚科(部長:古谷喜義先生)
2006年 虎の門病院皮膚科(部長:大原國章先生)
2008年 広島大学病院皮膚科 助教
2010年 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 
2014年 JA尾道総合病院皮膚科 部長
2017年 広島市立安佐市民病院皮膚科 副部長
2018年 同上部長
2022年 広島市立北部医療センター安佐市民病院皮膚科 部長(名称改変)
2023年 紙屋町やなせ皮ふ科クリニック 開院予定

【資格】
日本皮膚科学会 認定専門医・指導医(専門医番号:07923)
難病指定医

【所属学会】
日本皮膚科学会
日本形成外科学会
日本乾癬学会
日本皮膚悪性腫瘍学会
日本皮膚外科学会
日本熱傷学会 
日本アレルギー学会
日本美容皮膚科学会 ほか

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