突発的な鋭く激しい痛みや、繰り返す痛みに悩まされる神経痛。
代表的な神経痛として、坐骨神経痛や肋間神経痛、三叉神経痛があります。
これらの神経痛は日常生活に大きな支障をきたすことが多いため、適切な対処が必要です。
市販薬には、鎮痛剤やビタミンB群を含む製剤、漢方薬などさまざまな選択肢があります。本記事では、神経痛の主な種類や市販薬の選び方、自宅でできるセルフケアの方法などを詳しく見ていきましょう。
神経痛には、大きく分けて「症候性神経痛」と「特発性神経痛」の2種類があります。症候性神経痛は原因が明確であるもの、特発性神経痛は原因不明で起こるものです。
「神経痛」という言葉は一般的によく用いられていますが、実は医学的な病名ではありません。通常は症状を指すものです。
坐骨神経痛は、背骨から足にかけて走る坐骨神経が何らかの原因で刺激や圧迫を受けて生じる痛みです。
お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みが生じやすくなります。右側か左側かのどちらか一方に症状が出ることが一般的です。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、妊娠などが原因としてよく知られています。
肋間神経痛は、肋骨に沿って走っている神経が刺激や圧迫を受けることで起こる痛みです。原因によって痛み方が異なり、「急に電気が走るような痛み」や「ジクジクとした痛み」と例えられることがあります。
痛みが現れる場所は、背中から脇腹、胸やおへその辺りが多いことが特徴です。大声を出したり深呼吸をしたりなど肋骨を動かす動作で痛みが増す場合があります。
変形性脊椎症や胸椎椎間板ヘルニアなどが原因のこともありますが、原因不明で発症するケースも珍しくありません。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経に異常が出ることで発症する神経痛です。神経痛の中でも患者数が多く、男性より女性の方がややなりやすいといわれています。
症状としては、鋭い痛みが顔面の片側に突然起こることが特徴です。脳腫瘍や脳動脈瘤など原因がはっきりしている場合は、原因に応じた治療を行う必要があります。
神経痛は、市販薬でも対処できます。すぐにでも痛みを取り除きたいのか、慢性的に続いている痛みを根本的に改善したいのかに合わせて適切な市販薬を選びましょう。
神経痛の急性期や強い痛みがある場合は鎮痛剤の使用が適しています。ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあり、素早く痛みを鎮めることが可能です。
慢性的な痛みに対しては、ビタミンB群を含む製剤が向いています。特にビタミンB12(メコバラミン)は末梢神経の機能回復効果があり、神経痛の改善に有効です。
市販薬の場合はビタミンB12単剤の商品はなく、多くはビタミンB1やビタミンB6なども配合された複合剤となっています。
神経痛の根本的な改善を目指す場合は漢方薬も選択肢となります。漢方薬は、自分の体質に合うものを選ぶことが大切です。
東洋医学では、神経痛の原因は体のバランスの乱れと密接に関係していると考えられています。漢方薬によりバランスを整え、体が正常に機能するようにすることで痛みの緩和が期待できます。
ここからは、神経痛に効果がある市販薬を紹介します。鎮痛剤、ビタミン剤、漢方薬をそれぞれ紹介しているので、自分に合ったものを選ぶ参考にしてみてください。
市販薬の中でも鎮痛効果が比較的高い鎮痛剤です。有効成分のロキソプロフェンナトリウム水和物が痛みの原因物質であるプロスタグランジンの賛成を抑え、神経痛に効果を発揮します。医療用のロキソニンと同じ成分が同じ量だけ配合されている市販薬です。
生薬の力で弱った胃の働きを高める効果も期待できるため、胃と腸の両方の不調に悩む方におすすめです。
有効成分 ロキソプロフェンナトリウム水和物 効能効果 ●頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
●悪寒・発熱時の解熱用法用量 15歳以上:1回1錠、1日2回まで
※症状が再度現れた場合は3回まで服用可公式サイト:ロキソニンS
有効成分のイブプロフェンが市販薬では最高濃度である200mg配合された鎮痛剤です。液体カプセルとなっており、素早く溶けて効果を発揮します。眠くなる成分が入っていないため、仕事中や学校でも使いやすいでしょう。
有効成分 イブプロフェン 効能効果 ●頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛
●悪寒・発熱時の解熱用法用量 15歳以上:1回1カプセル、1日2回まで
※症状が再度現れた場合は3回まで服用可公式サイト:リングルアイビーα200
医療用のカロナールと同じ成分が配合された鎮痛剤です。胃への負担が少なく、眠くなる成分が含まれていません。効果は比較的マイルドですが、中枢神経系に作用し速やかに鎮痛効果を発揮します。
有効成分 アセトアミノフェン 効能効果 ●頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
●悪寒・発熱時の解熱用法用量 15歳以上:1回1錠、1日3回まで 公式サイト:カロナールA
有効成分のシアノコバラミン(ビタミンB12)が神経を修復するサポートをし、神経痛を改善します。エネルギーを作るのに必要なフルスルチアミン(ビタミンB1)も含まれているため、疲れにも効果的です。
有効成分 ●フルスルチアミン
●ピリドキシン塩酸塩
●シアノコバラミン
●トコフェロールコハク酸エステルカルシウム
●パントテン酸カルシウム
●ガンマーオリザノール効能効果 ●次の諸症状の緩和
眼精疲労、筋肉痛・関節痛(肩こり、腰痛、五十肩など)、神経痛、手足のしびれbr> ●次の場合のビタミンB1B6B12の補給
肉体疲労時、病中病後の体力低下時、妊娠・授乳期用法用量 15歳以上:1回2~3錠、1日1回 公式サイト:アリナミンEXプラス
メコバラミン(活性型ビタミンB12)が配合されたビタミン剤です。末梢神経を構成するタンパク質やリン脂質などの生成を促進し、末梢神経を修復します。末梢神経の修復を高める葉酸も配合されていることが特徴です。
有効成分 ●メコバラミン
●葉酸
●酢酸d-α-トコフェロール
●フルスルチアミン塩酸塩
●ピリドキシン塩酸塩効能効果 筋肉痛・関節痛(肩・腰・肘・膝痛、肩こり、五十肩など)、神経痛、手足のしびれ、眼精疲労(慢性的な目の疲れ及びそれに伴う目のかすみ・目の奥の痛み)の諸症状の緩和 用法用量 15歳以上:1回1錠、1日3回 公式サイト:ナボリンS
枝加苓朮附湯は、手足が冷えやすい方の神経痛に効果がある漢方薬です。体を動かすエネルギー源である「気」、熱を運ぶ「血」、体を潤す「水」の巡りを改善し、体を温めて痛みを緩和します
有効成分 桂枝加苓朮附湯エキス粉末M 効能効果 体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少なく、ときに動悸、めまい、筋肉のぴくつきがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛 用法用量 15歳以上:1回1包、1日3回
7歳以上15歳未満:1回2/3包、1日3回
4歳以上7歳未満:1回1/2包、1日3回公式サイト:枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
体を温めたり溜まっている余分な水分を取り除いたりすることで神経痛の痛みを改善する漢方薬です。特に腰から脚にかけての痛みに対して有効だとされています。神経痛の他、変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症にも用いられる処方です。
有効成分 疎経活血湯エキス粉末 効能効果 体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛 用法用量 15歳以上:1回1包、1日3回
7歳以上15歳未満:1回2/3包、1日3回
4歳以上7歳未満:1回1/2包、1日3回
2歳以上4歳未満:1回1/3包、1日3回公式サイト:疎経活血湯(そけいかっけつとう)
神経痛は、適切なセルフケアにより症状の緩和ができます。痛みが気になるとき、手元に薬がないときなどはセルフケアも試してみてください。
神経痛は動くと痛みが増すことが多いため、症状がひどい場合は安静にしましょう。急性期には十分な休息を取り、神経への負担を軽減することが大切です。安静にしても痛みが続く場合や痛みがひどくなる場合は整形外科や内科を受診してください。
神経痛の痛みをやわらげるためには、楽な姿勢をとることも重要です。坐骨神経痛であれば、横になると痛みが楽になることが多いでしょう。肋間神経痛は上半身を90度に起こし、クッションなどに寄りかかって前かがみの姿勢になると楽になります。
体が冷えると症状が悪化することが多いため、痛みがある部位はなるべく冷やさないようにしましょう。体が冷えないように衣類を重ね着する、入浴で体を温める、温かい飲み物を摂るなどの方法がおすすめです。
神経痛は自然に治ることもありますが、人によっては痛みを繰り返したり日常生活に支障をきたしたりする場合もあります。
鎮痛剤を服用しても症状が改善されない方、痛みが続いている方、しびれや麻痺を伴う方は早めに整形外科や内科を受診しましょう。
神経痛に効果がある市販薬には、主に以下の3つの種類があります。
すぐに痛みを緩和したい方は鎮痛剤、慢性的な痛みの対策がしたい方はビタミン剤や漢方薬が向いています。神経痛は原因不明で起こることも多いのですが、中には病気が原因のこともあるため、痛みが気になるときは早めに受診しましょう。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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