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【体験談から知る】転校が子どもに与える影響とは

2023/12/22

例年、12月から年度末の3月にかけては企業の異動シーズンですね。それに伴ってお子さんが転校するご家庭もあるかと思います。

引っ越しは膨大な手続きの連続で親も本当に大変ですが、友達と離れて新しい環境に1人で入っていく子供にとっても大きな影響があります。

特に、初めての転校では、どんな影響があるのか予測できず、不安に思っているママ・パパも多いのではないでしょうか。

そこで、お子さんの転校経験のある保護者の皆さんにアンケートを取り、良かったことや大変だったこと、親はどんなフォローをしてあげられるのか…などについて教えてもらいました。

「転校して良かったこと」の体験談

まずは「心配していたけど、こんな点が良かった」という体験談を紹介します。

Yさん・当時5歳と2歳の兄弟のママ

「夫の会社では単身赴任も選べたのですが、まだ子供たちが小さかったので、親子が一緒に過ごせる時期は短いと思い、家族で引っ越しを選びました。今は中学生と高校生ですが、部活で忙しく父と子で会話ゼロの日もあるくらい。特に夫にとって、あの頃一緒に暮らせて良かったと思っています」

Sさん・当時小学1年生の女の子のママ

「最初に住んでいたエリアの小中学校はやや荒れていて、学級崩壊がたびたび起きていると近所の方から聞いていました。ちょうど一戸建てを購入するか迷っていたのですが、なかなか決断できずにいて。しかし、入学後にクラスの子から暴言や暴力など色々あって子供が不安定になってしまい、2年生になるタイミングで転校しました。心配していましたが、みるみる友だちもできて、のびのび通っている子供を見て、思い切って転校してよかったと思います」

転校当時5年生だったお子さんが中学生になってから、こんな話を聞いたという人も。

Uさん・当時小学5年生と3年生の姉弟のママ

「長女がいうには、当時クラスの女子がグループで固まり対立していて、他のグループの子と話したり一緒に帰ったりするだけで翌日無視されるような環境だったそうです。また、低学年の頃は引っ込み思案だったのでそのイメージがついてしまい、高学年になってもなかなかはっきりモノを言えなかったと。転校先ではそういう先入観がなく最初から自分らしくいられたそうです。その時は何も聞かされていませんでしたし、明るく過ごせていてよかった…くらいに思っていたのですが。良い方に環境が変わってくれてよかったです」

「転校で大変だったこと」の体験談

続いて、ママやパパがお子さんの様子をみていて「大変だった」「あまり良くなかった」と思ったことを聞かせてもらいました。

Mさん・当時小学校3年生の女の子のママ

「繊細なタイプの子なので、新しい環境に慣れるまでいつも時間がかかるんですね。家も近所の環境も変わり、大きな緊張感とプレッシャーを感じていたと思います。通い出してもなかなか慣れずに、前の学校に戻りたい…とよく泣いていました。ようやく2学期の中頃から打ち解けてきた感じでした」

Hさん・当時6年生・4年生・1年生の兄弟のママ

「わが家は夫の仕事の関係で子供たちは3回転校したのですが、だんだんと、友だちと離れるのが悲しいから初めから深く付き合わずドライな感じになってきて。長男は転校後1年で卒業式だったのですが、とくに感慨もないと言っていて申し訳なかったです」

その他、授業や行事などでも思わぬ不便が生まれることがあります。

Kさん・当時中学1年生と小学5年生の兄妹のママ

「上の子は中学生で、前の学校の方が授業が進んでいたので良かったのですが、下の子の小学校では進んでいて、追いつくのが大変でした。1ヶ月ほど補習で対応してもらえて助かりましたが、そうでなければ引っ越しでお金がかかったうええにさらに塾の費用もかかるところでした」

Nさん・当時中学2年生と小学6年生の姉妹のパパ

「急な人事異動で年度途中で転校することになり、次女の修学旅行が前の学校ではまだで、新しい学校ではもう終わっていたんです。これはかわいそうだと思い、妻が前の学校のお友達を誘って、テーマパークへ1泊旅行に行っていました」

アンケートでは、その他にも、スポ少での指導方針やポジションの変化、方言を笑われ傷ついた、転勤が多く大型犬などのペットをあきらめたなど、色々な経験談が寄せられました。

おわりに

転校が子供に及ぼす影響は単純に良い・悪いと決められるものばかりではなく、
「家族と過ごす時間は持てたものの、幼なじみがいない」
「土地ごとの違いに慣れるのは大変だったけど、幅広い価値観が身に付いた」
など、コインの表裏のような関係にあります。

仕事などの都合上転校せざるを得ない場合は、できるだけ良い面に目を向けつつ、お子さんが「分からないことが多くて困っている」「疎外感を感じている」「抜け落ちた学習単元がある」といった影響が出ていないか、保護者と学校が連絡を取り合いサポートしてあげたいですね。

  • アンケート実施時期:2021年10月
  • アンケート実施人数:男女100名
  • アンケート実施手段:インターネット

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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