市販薬にヒアルロン酸の目薬はある?種類や購入方法を解説

2023/10/10

目の乾きによく処方される「ヒアレイン点眼液」。市販薬でも購入できたら便利ですよね。

ヒアレイン点眼液は、ヒアルロン酸が主成分の目薬として知られています。ハンディ扇風機を使ったりエアコンの風を受けたりして目の乾きに悩まされている方はとても多いのではないでしょうか。

これまでヒアレイン点眼液は、処方してもらわないと手に入りませんでした。現在は、同成分を含む目薬が市販でも購入できるようになっています。

しかし、処方薬と市販薬では効能効果に大きな違いがあるので要注意です。今回は、市販されているヒアルロン酸の目薬について、種類や効果、購入方法などを詳しく解説します。

ヒアルロン酸配合の「ヒアレイン点眼液」が処方薬では有名

ヒアルロン酸配合の目薬として有名なのがヒアレイン点眼液です。「ヒアレイン点眼液」という名前の目薬は、処方薬でしか取り扱いがありません。有効成分は精製ヒアルロン酸ナトリウムです。ヒアルロン酸の働きによりさまざまな症状を改善します。

ヒアレイン点眼液の効果

医療用のヒアレイン点眼液には、次のような効能効果があります。

  • シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼球乾燥症候群(ドライアイ)等の内因性疾患
  • 術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患

ドライアイで処方されている方はかなり多いでしょう。コンタクトレンズを装用中のゴロゴロ感や、眼に傷がついたときの保護剤としても処方されます。

ヒアレイン点眼液は処方箋が必要

ヒアレイン点眼液は医療用医薬品なので、処方箋が必要です。眼科を受診しなければ手に入りません。眼科を受診せずヒアレイン点眼液を購入したい方は、零売薬局を利用するとよいでしょう。

零売薬局とは、処方箋なしで一部の医療用医薬品が購入できる薬局のことです。ヒアレイン点眼液は零売しても良い医薬品に分類されているため、該当の薬局に行けば処方箋なしで購入できます。

市販薬ではヒアルロン酸配合の「ヒアレインS」が販売されている

ヒアレイン点眼液と同じ成分を含む目薬は市販でも販売されています。「ヒアレインS」という名前で販売されており、2020年9月16日から全国で発売が開始されました。

ヒアレインSはヒアレイン点眼液の代わりになるようなイメージをおもちの方が多いかもしれません。たしかに同じ成分が配合されている目薬ではあるのですが、効能効果には大きな違いがあります。

ヒアレインSはヒアレイン点眼液と同じ成分

ヒアレインSの主成分は精製ヒアルロン酸ナトリウムです。処方薬のヒアレイン点眼液には濃度が0.1%のものと0.3%のものとがありますが、ヒアレインSは0.1%のみの取り扱いです。まったく同じ成分を含んでいることから、ヒアレインSは市販でも購入できるヒアレイン点眼液とも言えるでしょう。

ヒアレインSの効能効果

ヒアレインSの効能効果は、次のとおりです。

  • 乾き、異物感(コロコロ・チクチクする感じ)、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感の緩和

ヒアレイン点眼液と同じ有効成分を含むヒアレインSですが、効能効果を見ると違いがあることがわかります。比較しやすいように表で見てみましょう。

ヒアレイン点眼液ヒアレインS
・シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼球乾燥症候群(ドライアイ)等の内因性疾患
・術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患
乾き、異物感(コロコロ・チクチクする感じ)、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感の緩和

ヒアレイン点眼液はドライアイに使用できますが、ヒアレインSは使用できません。ドライアイといえばヒアレイン点眼液のおもな使用用途でもあるので、ヒアレインSでも使用できると認識されている方が多いかと思います。

しかし、ヒアレインSにはドライアイへの効能効果がないのです。ドライアイと診断されておりヒアルロン酸配合の目薬を使用したい方は、ヒアレインSを購入するのではなく、眼科を受診して医師と相談しましょう。

ヒアレインSの購入方法

ヒアレインSは、2023年8月11日時点で要指導医薬品として販売されています。要指導医薬品とは、医療用医薬品から市販薬に転用されたばかりで、販売や使用に注意が必要な医薬品のことです。そのため、ネット通販での購入はできません。

また、店舗で購入する場合は薬剤師と対面で直接説明を受ける必要があります。購入できる個数は1人1点までです。薬剤師がいるドラッグストアや薬局で説明を受けなければいけないため、購入しやすい目薬とは言いづらいかもしれません。

しかし、今は要指導医薬品でもいずれ第一類医薬品や第二類医薬品へと分類が落ちていくことが一般的なため、しばらくすればほかの医薬品と同じように購入できるようになると考えられます。

ネットでも購入できるヒアルロン酸に似た目薬は?

「ヒアルロン酸に似ているものでいいので、ネットで購入できる目薬はないの?」と思われている方もいるでしょう。薬局やドラッグストア、眼科に行く時間が取れない方は、ネットで購入できる目薬のほうが便利ですよね。

ヒアルロン酸配合の目薬は購入できませんが、乾き目に使えるほかの商品でしたらネットでも購入できます。

ソフトサンティア

ソフトサンティアは、防腐剤が配合されていない人工涙液です。防腐剤が入っていないため、開栓後は10日以上過ぎたら中身が残っていても破棄してください。涙と近い性質をもった成分が、乾きや異物感などの不快な症状を改善します。

配合成分塩化カリウム
塩化ナトリウム
効能効果 ハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感、涙液の補助(目のかわき)、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)
公式サイト:ソフトサンティア

ドライエイドEX

角膜を保護するコンドロイチン硫酸エステルナトリウムが配合された目薬です。粘土が高くとろりとしています。涙液の膜を作るようにうるおいをとどめてくれるため、乾き目が気になる方におすすめです。

配合成分コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
ヒドロキシエチルセルロース
塩化カリウム
塩化ナトリウム
効能効果 涙液の補助(目のかわき)、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感
公式サイト:ドライエイドEX

Vロートドライアイプレミアム

思わず目を閉じたくなるほどの乾き目にも対応できる目薬です。塩化カルシウム水和物と硫酸マグネシウム水和物が涙に含まれるミネラルを補給し、ポビドンが角膜を保護します。

配合成分塩化カルシウム水和物
硫酸マグネシウム水和物
ポビドン
効能効果 涙液の補助(目のかわき)、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感

目の乾きを改善する方法

目の乾きに目薬を使うのも良いですが、日常生活でできる対策を行うのもおすすめです。

目を休ませる

まずは目を休ませましょう。パソコンやスマートフォンを見続けていると、無意識のうちにまばたきの回数が減ります。1時間に1回はパソコンやスマートフォンから離れ、15分程度の休憩を挟むようにしてください。

意識してまばたきをする

目の乾きが少ない方は、まばたきの回数が少ない傾向にあります。まばたきしているつもりでも目が完全に閉じていない方もいるため、しっかりと目を閉じるように意識しましょう。目をぎゅっと閉じて開くのを何度か繰り返すと、マイボーム腺から油分が出て乾き目が改善されます。

目を温める

目を温めると、マイボーム腺の詰まりが改善されるため乾き目の改善につながります。蒸しタオルやホットアイマスクを使って時々で良いので目を温めるようにしてみてください。

このようなときは眼科を受診しよう

市販の目薬を1か月ほど使用しても乾き目が改善されない場合は、眼科で診てもらいましょう。乾き目のタイプによっては、市販薬を使ってもあまり効果が出ない場合があります。

また、単に涙液が不足しているのではなく何か病気がある可能性も否定できません。乾き目の原因を明らかにするためにも、早めに眼科を受診しましょう。

まとめ

市販薬でもヒアルロン酸配合の目薬が販売されています。ヒアレイン点眼液と同じ成分を含んだヒアレインSが代表的な商品です。

ただし、ヒアレインSは乾き目には使えるもののドライアイには使用できません。ドライアイと診断されている方でヒアルロン酸の目薬を使いたい場合は、眼科を受診するか零売薬局を利用しましょう。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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