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あせもに使える市販薬は?選び方や自宅でできる予防方法を解説

2021/08/12

汗をかきやすい状態が続くと、知らぬ間にポツポツとできているあせも(汗疹)。かゆみを生じたり見た目が気になったりするため、できれば早めに治したいものです。

しかし「しっかり汗を拭いているつもりなのに治らない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。とくに小さな子どもにあせもができると、早めに治してあげたいと思いますよね。

今回はあせもができる原因から予防する方法、症状に合わせた市販薬の選び方などをご紹介します。

あせもで見られる症状

あせもは、症状の出かたによって主に3つのタイプにわけられます。

水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

白っぽい小さな水ぶくれがたくさんできるものです。白ではなく透明なケースもあります。肌の表面に水滴のような水ぶくれができ、押すと破けて中の液が出てくることが特徴です。かゆみや赤みが出ることはありません。

紅色汗疹(こうしょくかんしん)

よく見られるあせもが、この紅色汗疹です。小さな赤いポツポツができ、かゆみを伴います。時にはヒリつきを感じることもあるでしょう。

深在性汗疹(しんざいせいかんしん)

紅色汗疹よりもやや大きなポツポツができるものです。紅色汗疹が繰り返しできることで、深在性汗疹に発達します。紅色汗疹とは違い、かゆみは伴いません。

あせもができる原因

あせもは、汗をかくことそのものが原因となるわけではありません。また、あせもの種類によっても原因が少しずつ異なります。

汗が詰まる

基本的にどのあせもも、排出された汗が詰まることで起こるものです。大量に汗をかくことで汗管に汗が詰まったり、皮膚の表面にある汚れが汗管を塞いだりすることで汗が排出されにくくなります。

すると皮膚の中に汗がたまり、たまった汗が周囲の組織を刺激することで赤みやかゆみなどの症状を引き起こすのです。皮膚の深いところで汗が詰まると紅色汗疹に、浅いところで詰まると水晶様汗疹になります。

汗が長時間にわたり肌に触れている

通気性の悪さもあせもの原因です。吸水性や速乾性が低い素材の服や肌に密着しやすい服を着ていると、あせもができやすくなります。サポーターやギプス、ベルトなどの締め付けも原因です。

大人よりも子どもであせもができやすいのは、大人と子どもで汗腺の数が変わらないことが関係しています。汗腺の密度が子どものほうが高いため、どうしてもあせもができやすくなるのです。

あせもに効果がある主な成分

あせもに使えるお薬には、主に次の成分が使われています。製品によって配合されている成分が違うので、自分の症状に合ったものを選びましょう。

ジフェンヒドラミン

かゆみを発生させる原因となるヒスタミンの働きを抑える成分です。かゆみや赤みを抑える一般的な成分で、虫刺されや湿疹の薬にも配合されています。

酸化亜鉛

ジュクジュクした患部に使われる成分です。皮膚からの分泌物を吸収する働きがあります。また、皮膚を保護したり炎症を和らげたりする効果もあることが特徴です。

酸化亜鉛が配合されているお薬は塗ると皮膚が白くなります。白くならない塗り薬がよい方は、酸化亜鉛が配合されていないものを選びましょう。

ステロイド

ステロイドはジフェンヒドラミンよりもさらに強くかゆみや赤みを抑える成分です。プレドニゾロンやヒドロコルチゾン酪酸エステルなどが配合されています。

赤ちゃんの肌は大人よりも未熟でステロイドが吸収されやすいため、ベタメタゾン吉草酸エステルやフルオシノロンアセトニドなど強めのステロイド成分は避けましょう。

グリチルリチン酸

炎症を抑える働きのある成分です。赤みが気になる場合は、グリチルリチン酸が配合されたものを選ぶとよいでしょう。

あせもに使える市販薬の選び方

あせもの薬を選ぶとき、パッケージに「あせも」と書いてある薬をなんとなく選んでいませんか?あせもと書いてあるので使えないことはありませんが、どのような成分が配合されているのかを見ることで、より症状に合った製品を選べるようになります。

患部がジュクジュクしているとき

水疱がたくさんできていたり患部がジュクジュクしていたりするときは、酸化亜鉛が配合されたものを選んでみてください。分泌物を酸化亜鉛が吸着するため、皮膚をサラサラな状態に保ちます。

ただし、酸化亜鉛が配合されているものは塗布した部分が白くなるため、外出するときや目立つところの使用にはあまり向いていません。

赤みが強く炎症がおきているとき

赤みが強いときは、抗炎症効果をもつステロイドが配合されたものを選ぶとよいでしょう。すぐに赤みを抑えてくれるため、症状が長引いたり悪化したりするのも予防できます。

症状がひどくなる前にステロイドを使ったほうが治りやすいと言われていますが、どうしても抵抗がある場合はジフェンヒドラミンやグリチルリチン酸などが入っているものを選んでみてください。

白くならない市販薬が欲しいとき

白くならないあせもの薬が欲しい方は、酸化亜鉛が配合されていないものを選びましょう。日焼け止めを塗ると肌が白っぽくなるのも、実は酸化亜鉛の影響です。配合されている成分を見て酸化亜鉛が入っていなければ白くなる心配はありません。

赤ちゃんや子供に使うとき

赤ちゃんや子どものあせもに使えるものを探している方は、ステロイドが入っていないものや、入っていても弱い成分のものを選ぶとよいでしょう。ステロイドが入っていない代表的な製品にはポリベビーやムヒベビーがあります。

ポリベビーは酸化亜鉛が配合されている製品です。何か月から使えるのかについて公式サイトには書かれていませんが、赤ちゃんからでも使えるお薬として知られています。

ムヒベビーは酸化亜鉛を含まない塗り薬です。クリームタイプは生後1か月から、液体タイプは生後3か月から使用できます。赤みやかゆみが目立つ場合は、弱いステロイドが配合されたコートf MD軟膏を使うのもよいでしょう。

自宅であせもを予防する方法

あせもは一度できるとなかなか治らなかったり、治ったと思ったら違う場所にできたりと厄介な存在です。汗をかかないようにすればあせももできませんが、生活スタイルによっては汗をかかずに過ごすことが難しい場合もありますよね。室温や服を調節して汗をかきにくいようにしたうえで、次のような方法をあせもを予防していきましょう。

汗をこまめに拭く

汗が皮膚の表面に長い間残っていると、汗の出口を塞ぎやすくなります。そのため、汗をかいたらこまめに拭くことが大切です。トントンとタオルを皮膚にあてて汗を吸わせるように拭くと皮膚に傷がついて肌荒れを起こすのを防げます。

通気性のいい服を着る

かいた汗ができるだけ早く蒸発できるように、通気性のいい服を着るように心がけてください。肌にぴったりと密着するようなものは避け、綿やポリエステルなどの素材のものを選びましょう。髪の毛が長い方は、結んでおくと首もとや額のあせもを予防できます。

皮膚を清潔に保つ

皮膚の表面にたまっている汚れを落とすためにも、皮膚を清潔に保つことが大切です。汚れが汗管を塞ぐとあせもができやすくなるため、汗をかいた日は必ずシャワーを浴びて体をきれいに保ちましょう。

体を洗いすぎると皮膚のバリア機能の低下を招くこともあるので、多くても1日に2回程度にとどめるのがおすすめです。

このような症状が出たら皮膚科へ

患部が化膿しているときは皮膚科を受診しましょう。化膿しているということは、あせもの症状が進んでいる状態です。市販薬にある抗生物質入りの塗り薬を使うこともできますが、適した治療を行うためにも皮膚科の受診が推奨されています。

また、あせもが広範囲にできていたり、市販薬を1週間ほど使っても症状が改善しなかったりした場合も皮膚科を受診してください。

まとめ

あせもは汗の出口が塞がったり、汗が肌に長時間触れていたりすることで起こるものです。こまめに汗を拭いたり通気性のいい服を着たりすることで予防できます。市販薬でもあせもの治療ができるので、症状に合った成分が配合されているものを選びましょう。

ただし患部が化膿していたり市販薬で症状が落ち着かなかったりする場合は早めに皮膚科を受診するようにしてください。

公式サイト

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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