4歳頃までの小さい子は、食事や遊びが思い通りにならないと怒って物を投げることがあります。
「人にぶつかると危険」「物が壊れてしまうかも」「食べ物を粗末にする子になってほしくない」…と心配してやめさせようとするものの、なかなか効果がなく悩んでいるママ・パパもいるかもしれません。
今回は、1~2歳と3~4歳、それぞれの年齢の子どもが物を投げる心理と、家庭でできる対処法について考えてみます。

生まれたばかりの赤ちゃんは思うように手足を動かすことができませんが、成長につれてどんどん色々な動きを覚えていきます。
「物を投げる」もその1つ。
遊んでいるだけに見えますが、実は「物を手につかみ、強く前に振り出すタイミングで手を離すと、遠くに飛んでいく」という一連の動きや、どのくらいの重さ・力ならどこまで飛ぶのかを試しながら運動能力が発達している段階なんです。
ただ「壊れてしまうかも(ガラス製品など)」「社会的に投げてはいけない(食べ物など)」などはまだ判断できず、投げたときの周囲の反応で少しずつ覚えていきます。
そのため、赤ちゃんが物を投げはじめたら、まずは危険なものは遠ざけ、食べ物などは大声で叱ったりせず、そのつど「これは投げたらいけないよ」と短く真面目な顔で伝えましょう。
1歳半頃からは、「もっと遊びたいのにテーブルに座って食事するのがつまらない」「何度やってもお兄ちゃんのように積み木をうまく積めない」などに腹を立てて物を投げることも増えてきます。
この場合、自分がいま何に腹を立てているのか言葉で伝えられないために物を投げて表現しているので「もっと遊びたかったね」「お兄ちゃんみたいにしたかったね」と気持ちを言葉にして代弁してあげるのがおすすめです。
2歳くらいになると、個人差はありますが、投げていいもの・いけないものがあることが理解できてくるため、ゲーム感覚でいろいろな物を渡して「これは投げてもいいのかな?」と子ども自身に選ばせるのもいいですね。
たとえば大きめのカゴや段ボールを2つ用意して、一方はそのまま、一方はふわふわのクッションなどを敷きます。ボールやサイコロ・風船などは投げてもいい箱へ、フォークなどの食器やぬいぐるみ、当たると痛い積み木などは投げてはいけない箱へそっと入れるようにします。正解したらたくさんほめてあげてくださいね。

3歳や4歳になると、人に当たると危ないものや壊れるものはほぼ区別できるようになりますが、だからといって、腹が立ったりテンションが上がったりしたときに自制できるかというと話は別。
まわりに危険が及ぶ場合は、すぐに駆け寄って抱きかかえたり手を握ったりして止めましょう。感情的に怒鳴ったりはせず、真剣に「危ないからやめなさい」と目を見て伝えます。
悪ふざけや反応してほしいためにおもちゃや脱いだ服などを投げてしまう場合は、やめさせようとして躍起になると、ますます「相手にしてもらえる」と物を投げる行動を強化してしまいかねません。
そのつど冷静に「物は大切に扱おうね」と短く伝えるのは必須ですが、いったんそこまでで良しとしましょう。「今後二度とさせない」を目標にすると必要以上に強く叱ることになり親子ともにイライラが増してしまいます。
かわりに、脱いだ服を投げなかったときは見逃さずに「今日はちゃんと脱いでたたんだね!素敵!」おもちゃを優しく扱っていたら「ロボットさん、そっと箱に入れてあげたの?優しいね!ほら、ロボットさんもアリガトウって言ってるよ」とほめてあげるのがおすすめです。
また、家事の途中などなかなか難しくはありますが、描いた絵を「見て見て~」と言われたら振り向いて「ほんとだ!きれいな色がたくさん使ってあるね」などと短時間でも意識を集中してあげるのも、気を引きたいがために物を投げるのを防ぐ効果があります。
子どもは年齢が低いほど時間の概念が未熟なため、目の前のことが今すぐ思い通りにいかないと怒ったりかんしゃくを起こしたりします。
またストレスがたまった時も大人のように「ちょっと贅沢なスイーツを食べる」など気軽に発散する方法がありません。
そんなときに物を投げるのは、良くないことではありつつも「人を叩いたりしてはいけない」と理解できているわけで、むしろ順調に成長している証拠ともいえます。
もちろん危険な時は真剣に叱る必要はありますが、「今すぐやめさせなければ」と焦りすぎず、気持ちを言葉で代弁してあげたり、気分転換の方法を教えたり、手助けをしながら見守って行きたいですね。
私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。
娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。
親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。
しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。
まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。
より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。
現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。
かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。
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