「3人目どうしよう…」「欲しいけど悩む…」大学無償化や100万円支給は本当?

2025/09/24

結婚前は子どもは3人欲しい!と思っていたけれど、いざ2人目まで生まれてみると、「3人目どうしよう…」と迷ってしまうご夫婦は少なくないといいます。

3人目を悩んでしまう理由はさまざまですが、なかでも経済面での心配が特に大きいことも分かっています。3人目育児の支えとなるような「大学の学費無償化」や「出産一時金100万円」なども耳にしますが、実際のところどのような内容と条件なのかを調査しました。

また世間で「やめた方がいい」と言われる背景や、それでも3人のお子さんを幸せに育てているママ・パパからの声も紹介します。

3人目を迷う最大の理由はやはり「お金がかかるから」

明治安田生命が実施した意識調査(2017年)によると、2人のお子さんがいる男女への「さらに子どもを欲しいかどうか」という質問に対し、4人に1人(24.3%)が「欲しいが難しい」と答えています。※1

その理由としてもっとも多かったのは「教育費がかかるから(1位)」「生活費がかかるから(2位)」で、やはり、教育費を筆頭に非常にお金がかかるため、3人授かっても全員に十分な教育を受けさせてあげられないかもしれない......という不安が大きいことが分かります。

また「3人目は欲しいと思わない」と答えた人は67.1%で、はじめから「子どもは2人」と決めている夫婦も多いものの、もし収入が倍増、あるいは教育費や生活費が非常に安くなったとしたら「それなら3人欲しい」と方針が変わる家庭も少なくないのではないでしょうか。

このような隠れたニーズも含めると、経済的な理由で3人目をあきらめる夫婦はかなり多いことが予想されます。

大学無償化、100万円支給はいつから?

こうした高額な教育費を原因とする少子化対策の一環として、令和7(2025)年度から、子どもが3人以上いる世帯(多子世帯)へ、大学の授業料を無償化する制度が拡充されました。※2

たとえば、大学生・高校生・中学生の3人きょうだいを育てている場合、第一子の授業料として年間70万円(入学金26万円)が支援されます。親の所得による制限はありませんが、私立大学などで年間の学費が70万円以上の場合、超えた分は自己負担となります。

また、第一子が就職した場合は人数にカウントされなくなりますので、この制度を見越して3人の子どもを希望しても、きょうだいの年が離れているとあまり効果がない点も要注意です。

一方、「3人目を出産すると100万円支給される」というニュース等を見かけ、「本当?」と驚いた方もいるかもしれません。

たしかに、山梨県北杜市や、茨城県利根町(現在は終了)など、一部の自治体では3人目の赤ちゃんが生まれると総額100万円が分割で給付されますし、企業によっては独自の福利厚生制度として祝い金100万円が贈られます。SoftBank社の場合、5人目ではなんと500万円にもなるとか。

ただ今のところ、国から一律に「3人目が生まれると100万円支給」という制度は存在しません。

2025年時点で存在する制度としては、出産一時金が50万円、児童手当として3人目以降は第2子までの倍額(月額30,000円)が高校生まで受け取れるため、3人目が生まれた年は100万円近く(86万円)になる……という話が、どこかで変化して伝わっているのかもしれないですね。※3

お金以外で「3人目はやめた方がいい」と言われる理由

3人目を迷う背景で圧倒的に多いのはやはり「お金がかかりすぎる」ですが、それ以外にも、次のような理由から「やめておいた方がいい」と言われることも。

  • 寝かしつけやお世話が3人分重なると、疲労や睡眠不足など親の身体的な負担が限界を超える
  • 共働きの場合、病気のときの休業や保育園・習い事・塾の送迎などが多すぎて正社員でのキャリア継続が難しくなる
  • 30代に入って第一子を出産した場合、第三子は40歳前後で妊娠出産することになり、妊娠中の合併症や産後の回復など身体的リスクが高い
  • 日々の家事育児に時間をとられ、1人1人の子に丁寧に向き合うのが難しくなる可能性がある

たしかに、身体的にも仕事の面でも心配な面はあり、そこをクリアできるかどうか十分に検討してから決めているという人が多いようです。

「3人目迷ったけど、よかった」というママ・パパの声

最後に、過去に3人以上のお子さんがいるママ・パパを対象に行ったアンケートから、「迷ったけど、3人目ができて良かった」という声をいくつか紹介します。「自分たちにできるのかな…」と迷っている方はぜひ参考にしてくださいね。

Jさん・3児のママ

「経済的には厳しかったのですが、上の子がとても弟妹をほしがっていたので決心しました。妊娠が分かったときは大喜びだったし、生まれてからも3人仲良く、私も久しぶりの赤ちゃんがかわいくてたまりません」

Sさん・3児のママ

「上の子2人が赤ちゃんをあやしたり、お風呂上がりに身体を拭いてくれるなどとても可愛がっていて、ちょっとしたお世話を頼めるのが助かってます!」

Iさん・3児のパパ

「結婚時は夫婦で子どもは3人欲しいと話していました。が、実は2人目が生まれたとき、僕が昇進直後で、家や子どもを妻に任せっきりにして離婚の危機に…。3人目は諦めかけたのですが、やはり妻ももう1人という気持ちが強かったので、職場の改善に取り組み、チームの皆が安心して育児に参加できる体制を作りました。その後生まれた3人目も上の子たちの育児や家事も、今では夫婦で協力してやっています」

Fさん・35歳・5歳児と3歳児と0歳児のママ

「第3子は児童手当が1.5倍になったり、保育料が減免されたり、自治体独自のクーポンがもらえたりと、経済的な負担軽減があるので思ったより負担額が少なくて助かってます」
アンケート時期:2022年10月
アンケート人数:男女50人
アンケート手段:インターネット

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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