「根気強い子に育てたい」と願うママ・パパへ。そこには意外な事実も…

2025/09/12

すぐに物事を投げ出さず、じっくりと取り組む根気強い子・粘り強い子に育てたい……と思うママ・パパは多いのではないでしょうか。

有名スポーツ選手や、学業で優秀な成績をおさめた人はみんな根気よくコツコツ努力を重ねてきたイメージがありますよね。

しかし、どうやって根気のある子に育てればいいのかを調べてみると、そこには意外な事実もありました。

根気強さは、生まれつきの要素も大きい!

親から子へ「こんな子に育ってほしい」という希望は、以前から「思いやりがある」「協調性があってみんなと仲良くできる」などがアンケート上位を占めています。

最近は時代の変化を反映してか「自分の意見を言える」「主体的に行動できる」なども増えてきていますが、それ以外によく挙げられるのが「根気がある」「粘り強い」というもの。

atama plus株式会社が2023年に発表したアンケート調査結果では「保護者が子どもになってほしい大人像」の11位に「粘り強い」がラインクインしています。※1

スポーツや芸術・勉強などで結果を出すためには、地道なトレーニングや日々の努力が欠かせません。ぜひ、わが子にも根気強さを身につけてほしいと思いますよね。

しかし「根気強く物事に取り組む子」は、実は育て方より生まれつきの気質が大きい部分もあるのです。

放っておいても1つのおもちゃで延々遊んでいる赤ちゃんとすぐに飽きてキョロキョロする赤ちゃんがいることからも、なんとなく納得できるのではないでしょうか?

アメリカで行われたTCI調査(気質性格検査を使った大規模調査)では、遺伝子タイプを3つに分け、「CC型」の人が忍耐力が高い傾向にあることが分かっています。※2

日本国内でこの分類に基づいて行われたゲノムデータ解析では、日本人の41.9%がこのCC型でした。一方で、標準的な忍耐力とされるCT型の人は約48.8%。つまり2人に1人は特別忍耐力が高いわけではないことになります。※3

もちろん人の性格や気質は遺伝だけで決まるわけではありませんが、別々の生育環境で育った双子の性格や行動パターンを調べた別の研究でも、驚くほど似た行動を取るという報告が多数あり、私たちが思っているよりも「生まれつき」の力は強いのかもしれません。

根気がない子・飽きっぽい子の強みもある

最近の子は辛抱が足りない、すぐに投げ出す…といった言説を見かけると「ウチの子は根気がなくてダメだ」と思うかもしれませんが、そういう子にも裏を返せばたくさんの長所があります。

  • 好奇心が強い
  • 新しい発見や発想ができる
  • 機転が利き判断力がある
  • 変化を恐れない
  • ものごとに執着しない

特に、人間関係のトラブルやブラックな職場環境など、与えられた環境が自分に合わない・無理してまで続ける意義が見いだせない…といった場合、目の前のものにとらわれず新しい場所を探して移動できるのは1つの強みでもあります。

でも…もう少しだけ根気強くなってほしいなら

子どもの根気強さはある程度は生まれつきで、大きく変えられない...とはいえ、親としては「なんでもすぐに”やーめた”では将来が心配…」「コツコツがんばって成功した体験を積んでほしい」など、お子さんのことを思えばこそ、もう少し根気強くものごとに取り組めるようになってほしいとも思いますよね。

でも、いきなり「最後まで投げ出さずやりきる」は難しいもの。まずは「もう少しだけ取り組む」を目指してみてはどうでしょうか。

ここでは、過去に実施したアンケートから、子どもが「もう少しだけやってみる!」と粘り強さを発揮した体験談をいくつか紹介します。

当時5歳の女の子

「自宅でのピアノ練習。ピアノの前に座ってもすぐ飽きて席を立ってしまうことが多く...そこで、ここまでなら頑張れそうというラインを本人に決めさせてみたところ、以前よりも投げ出さず取り組めるようになりました」

当時小学2年生の男の子

「スポ少でサッカーをしていたのですが、反復練習がつまらないからやめたいと言い出しました。そこで、それぞれの練習をすると〇〇が上手になってゴールが決まるよ、ボールを奪われないようになるよ…という目的を説明したところ、納得して続けられるように」

当時小学6年生の男の子

「キャンプで火を起こす時、いつもは何でもめんどくさがる息子が、一生懸命うちわであおいだり、枯れ枝を入れたらいいんじゃない?と拾いに走ったりとイキイキしていて、こんな一面もあったんだとびっくりしました。たまにはちょっと不便なくらいが、やりがいあるのかも」

また「この子は根気や集中力がないとばかり思っていたら副鼻腔炎になっていて。治療すると宿題や工作などに根気よく取り組む時間が増えました」という声も。小さい子ほど、不快感をじょうずに説明できないこともあるので、最近急に根気がなくなってきたと思ったら、慢性疾患を疑ってみることも必要かもしれません。

おわりに

根気強さだけではなく、いろいろな長所や強みは人それぞれ。

もちろん根気強いに越したことはありませんが、生まれつきの気質の差もあることから、必要以上に伸ばそうとするのは難しいかもしれません。

親にできることとしては、子どもが夢中になれることを一緒に見つける、なぜそれをやるといいのかを分かりやすく伝えるなど、サポート程度がちょうどいいのではないでしょうか。

参照資料

アンケート

調査時期:2022年11月
調査手段:インターネット
調査対象:小学生~高校生の育児を経験した男女50人

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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