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すぐに告げ口する子の心理〜隠れた「本当の気持ち」とは?

2023/11/10

子供たちが人間関係を身につける過程で、ケンカやトラブルはつきものです。

でも、中には事あるごとに「○○ちゃんが押した~」「弟がおもちゃ返してくれない」と大人に報告しに来る子がいますよね。

もちろん本当に大人の手助けが必要なこともありますが、あまりにも頻繁だと「また?」「自分たちで解決してみたら?」と思ってしまうママ・パパもいるかもしれません。

今回は、すぐに言いつけに来る子・告げ口する子の心の中にある本音、おすすめの対応などを紹介します。

なぜ告げ口するの?子供なりの理由や心理

同じように遊んでいても、ほとんど告げ口らしきものをしない子もいれば、何度も来る子もいます。

皆さんが小学生の頃を思い出してみると、もめた時にすぐに先生に報告する子は「また先生に言いつけてる」と冷めた目で見られることも多かったのではないでしょうか?

しかし、そこには子供なりの理由や心理があります。

告げ口する理由や心理

1.前後の因果関係が整理できない

子供が誰かにケンカのいきさつを説明するときには、発達の段階にともなって伝え方が変わっていきます。

個人差もありますが、小さい子ほど自分だけの視点で、例えば「おもちゃを取られた」とだけ言い、成長するにつれて「つぎ貸してって言われたのに、忘れてずっと使っていたら急に取られた」「自分も悪いけど、取る前にひとこと言ってほしかった」等と説明できるようになります。

告げ口にくるときには、もしかして大人の助けを借りて状況を整理したいという思いがあるのかもしれません。

2.正義感やルール意識が強い

自分はきちんとルールを守っている自覚があり、正義感の強い子は、他の子がルールを守らないのが許せないと感じることがあります。

直接言っても聞かない相手に業を煮やし、大人に注意してもらって場のルールが守られることで安心する子もいます。

3.手っ取り早く欲求を叶えたい

おもちゃを独り占めしたくて、友だちの親に言いつけたところ「こら!貸してあげなさい」と友だちが叱られて、手っ取り早く自分の手に入った…という成功体験から、何度も繰り返してしまう子もいます。

4.大人にほめられたい

「Aくん、手洗ったあとにズボンでふいたよ!」と言いにくる子は、本当はAくんを叱ってほしいのではなく、ちゃんとハンカチでふいた自分をほめてほしいだけかもしれません。

5.なぐさめてほしい

同じく「Bくんに押された~」と言いにくる子は、Bくんを叱ってほしいのではなく「押されてイヤだったね」「仲良く遊びたかったね」という共感やなぐさめが得られればそれで満足なのかもしれません。

子供の告げ口、どう対応したらいい?

お子さんがあまりたびたび言いつけにくると「それぐらいでいちいち言いに来ないの!」「自分たちでなんとかしなさい」などと返してしまいたくなりますよね。

ですが、できれば子供の気持ちを否定せず、少しずつ自力で解決していけるようにしていきたいもの。

上記で解説したタイプ別に、おすすめの声かけを紹介します。

「前後の関係が整理できない」タイプには…

比較的年齢の低い子が多いと思いますので、まずは「そう、おもちゃ取られちゃったの」などと繰り返し、次に「じゅんばんこしてた?」など短い質問をして、少しずつ状況を整理していきます。

最後に「どうしたらいいと思う?」と聞いてみると、「もういっかい、次かしてねって頼んでみる」など、自分で行動を決められる子も多いでしょう。

「正義感が強い」タイプには…

「みんなが○○しないんだよ!」と腹を立てて言いにくる子にも、「まあまあ」「そんなムキにならずに」等というのではなく、まずは「○○ちゃんはお約束を守ろうとがんばってるんだね」と認めてあげたいですね。

その上で「お約束のこと忘れちゃう子もいるかもしれないね」「やさしく教えてあげてみて」「どうしてもダメならまた教えてね」と伝えるとともに、子供たちの様子も観察してみましょう。

いつでも即大人が注意する必要はありませんが、子供にばかり注意役を担当させるのも望ましくないからです。

「欲求を叶えたい」タイプには…

もしわが子の友達が「○○ちゃんのお母さん、○○ちゃんがおもちゃ貸してくれない」等と言いにきたら、無条件に「○○!貸してあげなさい!」と叱ってしまう人は多いかもしれません。

しかし、中には明らかに自分の欲求を叶えるため一番有効な相手としてその子のママに言いにくる子もいます。

この場合も、少し時間を置いてそっと遊んでいる様子を見ていると、本当に大人に訴えるべき状況なのかどうかが分かると思います。それに応じて「そっか、じゃあもう少ししてからもう1回、つぎかしてねって言ってみてくれる?」など返事してあげると良いですね。

「ほめられたい」「なぐさめられたい」タイプには…

「なぐさめてほしい」タイプの子にも、まずケガなどがないか確認したうえで、同じく気持ちを受け入れて「押されてイヤだったね」などと共感してあげると良いですね。

ほめてほしいタイプの子には、その場で「ハンカチで手を拭く○くんは偉いね」とほめるのも悪くはないのですが、そうすると「ズボンで手を拭くAくんは偉くない」とつながってしまいやすいのが難点。

それよりも、日頃からその子ができていることを気にとめておき、なんでもない時に「今日もハンカチでお手々拭いたの。いつもえらいね」というほめ方のほうがおすすめです。

おわりに

「告げ口」「言いつける」というととても卑怯なイメージがあります。

しかし、自分の思い通りに事を運ぶためにしょっちゅう大人を利用している、友だちが注意されるのを面白がっている……という様子でなければ、その子なりのやむを得ない理由や思いがあることも多いもの。

まずは、子供の訴えに対して、表面的な内容とともに「この子はいま、本当はなにを求めているんだろう?」と少し考えてみると、最適な対処方法が見つかるのではないでしょうか。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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