子どもに胎内記憶や赤ちゃん時代の記憶はある?いつまでに聞くべき?

2025/08/07

おしゃべりができるようになった年頃の子が、時々「ママのお腹の中では〇〇だった」「赤ちゃんのとき〇〇だから泣いてたの」などと教えてくれることがあります。

お腹の中の記憶=胎内記憶はどの子も持っているのか?教えてくれた場合、それって本当なのか、それとも空想なのか?もしだんだん忘れてしまうのなら何歳頃までに聞けばいいのか?などの疑問について、20組の親子へのアンケートも参考に探ってみました。

なお今回の記事は医学的な根拠に基づいたものではなく、ママやお子さんたちの体験談をもとにしています。「うちの子はどうかな?」と楽しみながら気軽に読んでみてくださいね。

「胎内記憶」とは?教えてくれるのはいつごろ?

「赤ちゃんがぐずって機嫌が悪かったときに、妊娠中によく聞いていた音楽を流したらご機嫌になった」
「赤ちゃんに胎内音(お腹の中で聞こえるママの血流などの音)に似たザーザーとした音を聞かせると安心してよく眠る」

など、赤ちゃんや子どもはママのお腹にいた時のことを覚えているのではないか…と思わせる話を耳にしたことはありませんか?

この記憶のことを「胎内記憶(たいないきおく)」といいます。

赤ちゃんは生まれる前からすでに耳は聞こえているし、目も明るさを感じることができるので、中には音楽のメロディーや家族の会話、お腹の中の景色などを覚えている子がいても不思議はないのかもしれません。

しかし、子どもが自分の体験をあるていど筋道立ててママやパパに言葉で説明できるのは、早くても2歳頃から。しかも子どもや赤ちゃんにとっては毎日が新しい経験の連続で、やっと少しずつ言葉が話せるようになった頃には、お腹の中の記憶があったとしてもどんどん上書きされ、忘れてしまうのも無理もないでしょう。

そのため、もし聞いてみるなら、会話ができるようになったらできるだけ早い時期が良いと言われています。

以前、20組のママと3歳以上のお子さんを対象に行ったアンケートでも「お子さんはお腹の中のことを覚えていると思いますか?」という質問に対し、ほぼ全員にあたる19人が「いいえ」と回答しています。

赤ちゃん時代のことを覚えている子はわずか

一方で、生まれた後の赤ちゃん時代の記憶についてはどうでしょうか?

同じアンケートで、お腹の中ではなく生まれてから赤ちゃん時代の記憶があるかどうかを、ママからお子さんに聞いてもらいましたが、こちらも18人が「いいえ」という回答でした。

この「人は赤ちゃん時代のことをほとんど覚えていない」という現象は世界共通のようで「幼児期健忘」という名前もついています。

しかし、そんな中でも、いくつかは記憶が残っているのではないか…と思えるようなエピソードも寄せられています。

Mさん・当時4歳児のママ

「妹の家に遊びに行った時、イトコの使っている歩行器をみて、当時4歳の息子が、ぼくこれに乗ってたよね?と言ったことがあります。息子が生後9か月の頃に私が足をケガしてしまい、伝い歩きの息子が転んでもとっさに助けられないので買ったものです。しかし家が狭くてほとんど使えなかったので、私のケガが治ったらすぐ妹にあげてしまったのですが…息子は飾りのキャラクターの音の出し方もちゃんと覚えていて、驚きました」

Kさん・当時3歳児と0歳児のママ

「3歳離れた姉妹を育てています。0歳の妹が添い寝しないとなかなか寝ないのを見て、ある日、3歳の姉が、わたしは赤ちゃんのときママがくると楽しくなって目がさめちゃうから、1人のほうが寝やすかったな~と言うんです。思い返してみると、たしかに、ママは隣のお部屋にいるからねと声をかけて家事をしているといつの間にか寝てる赤ちゃんでしたね」

子どもの記憶、ホンモノ?それとも空想?

もし子どもが「生まれてくる前はお空の雲の上にいたの」「お腹のなかでママとトントンしてあそんだよ」「トンネルをとおって生まれてきたの」などと話してくれたら驚きますよね。

この記憶は果たして本当のことなのか、それとも絵本などで見た話を空想で自分のことのように話しているのか、疑問に思う人もいるかと思います。

アンケートの回答からは様々なパターンがあることが分かります。

Tさん・当時3歳児のママ

「SNSで、お腹の中や赤ちゃんのときの記憶を話してくれる子がいると知り、興味を持って3歳の息子に聞いてみたら、ママおこってた!等と話してくれて。おお!と思って、何回も聞いたり、夫がいる時に話させようとしていたら、ドロボウがきてママがやっつけたとか、だんだん話が変わってくるんですよね。小さいながらも親を喜ばせようとして話を盛ってるのかも…と申し訳ない気持ちになり、それ以来聞くのをやめました」

Hさん・当時4歳児のママ

「娘が幼稚園の頃、ある日突然、ママのお腹の中ではああだった、こうだった…という話をし始めたので、これがうわさの胎内記憶!?と、翌日幼稚園のママ友に話したら、なんと全員うちもうちも…と。どうやら、1人のお友だちにもうすぐ下の子が生まれるので、みんなでお腹の中のことを想像して盛り上がってたみたいです」

かと思えば、「お腹の中は温かくて、外に出たくなかった」という子が、実際に真冬に予定日を大幅に過ぎて生まれてきていたなど、本当なのかも?と思ってしまうようなエピソードも。

子どもには空想と現実の話を区別できない時期もあり、これらの話から、胎内記憶や赤ちゃん時代の記憶は本物なのか空想なのかを決めることは難しそうです。

しかし、いずれにしても、この話題をきっかけに、親子で生命や命の誕生について考えるのはとても素敵なことだと思います。

機会があれば、お子さんに一度は「お腹の中にいたときのこと、覚えてる?」と聞いてみるのも良いのではないでしょうか。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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