「天使の4歳児」とは?「4歳の壁」説もあるらしい

2025/05/29

幼児のイヤイヤ期や反抗期の大変さを表す時によく言われる「魔の2歳児」や「悪魔の3歳児」。

しかし、それが過ぎて4歳になる頃にはぐっと聞き分けがよく育てやすくなる子も多く、最近ではそれを指して「天使の4歳」と呼ぶこともあるそうです。

とはいえ、実際に子育てしている人からは「そんなの嘘!」はたまた「4歳の壁もたいへん!」という声なども聞かれます。

今回は、4歳児の心と身体の発達の仕組みから「天使」と呼ばれる理由をお伝えします。

魔の2歳児・悪魔の3歳児に続く「天使の4歳」

本来、どんな子もみんな天使のようにかわいい面を持っている…のですが、4歳になった子がことさら天使に見えると口々に言われるのは、そこまでの道のりがなかなかハードだったことの裏返しでもありますよね。

魔の2歳児

いわゆる「イヤイヤ期」にあたる2歳児については、以前から「魔の2歳児」とも言われ、手を焼いているママ・パパをよく見かけます。

はじめはお世話されるだけだった赤ちゃんが、少しずつ歩けるようになり、手先も器用になってできることが増えてくると、身の回りのことを「自分でやりたい」「自分で決めたい」という意志が生まれてきます。

ただ、自分ではできるつもりでも、まだまだ身体の発達上できないこともたくさんあります。また保育園に遅れそうな朝、急に「牛乳を自分でコップに注ぎたい」と言い出しても、99%こぼすことが予想される場合、なかなか思い通りにさせてあげられなかったりしますよね。

自分の思いをまだ言葉で言い表せない子も多いので、失敗したり思い通りにならなかったりすると感情を爆発させてかんしゃくを起こしたり、大泣きしたりしてしまいます。

悪魔の3歳児

さらに、3歳になるとやってみたいことや自分なりのこだわりが増え、叱られそうなイタズラをわざとやってみたりします。

2歳代よりも体力がついているので、何十分も暴れて泣くこともあり、スーパーなどでかんしゃくを起こすと抱っこして連れ出すのも一苦労で、「悪魔の3歳児」と呼ばれることも。

本来、こういったイヤイヤ期や反抗期は、今後の人生できちんと自分の意志を持ち、それを相手に伝えて交渉していくための大切な段階です。

まわりの大人は押さえつけて黙らせるのではなく、子どもの言い分を聞いたり「こうしたかったんだよね」と気持ちを代弁したりしながら気長に付き合うしかないのですが、忙しい毎日の中ではなかなか大変で、相当の忍耐力が必要です。

それが毎日のように続くと、思わず「魔の2歳児」「悪魔の3歳児」と言いたくなってしまうのかもしれませんね。

天使の4歳児

もちろん上記には個人差があり、全ての子が「魔」といわれるような激しい反抗期を過ごすわけではありませんが、おおむねこの大変な時期を乗りこえると、

  • 会話の能力が発達し、自分の要求や気持ちを言葉で伝えられるようになる
  • 先の見通しが立つようになり、いま要求が叶わなくても「また今度」と我慢できるようになる
  • いろいろなことが自分でできるようになり、行動が落ち着いてくる

といった段階が訪れ、親にとっては格段にやりやすくなると考えられます。

こういった成長への喜びをこめて「天使の4歳」という呼び名ができたのではないでしょうか。

「4歳の壁」とは?

ところが、それとは反対のような「4歳の壁」という言葉も存在します。

  • 行動が乱暴になる
  • 「バカ」「〇ね」など汚い言葉を使う
  • 作り話や嘘を口にするようになる
  • わがままになる

乱暴な言葉づかいや行動をするのは、より「やりたいこと・やりたくないこと」が明確になってきたものの、すべてを丁寧に説明することはまだまだ難しいので、攻撃的な言葉や動作で表現してしまうからだと考えられています。

また、作り話や嘘は幼児から小学校低学年までの子によく見られる行動ですが、想像力や言語能力が発達し、思い浮かんだことや願望を事実のように話せるレベルになってきたからとも言えます。

とはいえ、まだまだ4歳なので、甘えたい気持ちもたくさんあり、それが「今までできていたことをママやって~と言ってくる」「エレベーターのボタンを自分が押したかったといって怒って泣く」など、わがままと思える行動で表われることもあります。

心身ともに成長してくる時期で親としても安心な一方、感情のコントロールはまだまだ幼児のものであり、そのバランスの崩れた状態が「4歳の壁」と呼ばれているのですね。

子どもの成長は一定のペースで進むわけではなく、「イヤだイヤだ」と怒って泣いてばかりの時期、落ち着いてニコニコ過ごす時期、かと思えば急に乱暴な言葉を連発し出す時期…と階段状に成長していき、ときには後戻りにも思えることすらあります。

またこの時期は下に弟や妹が生まれ、急激な環境の変化や寂しさから一時的に荒れたり扱いにくくなったりする子も。

どれも成長の過程で起こってくる変化であり、これさえすればすぐに解決!という方法は残念ながらありませんが、「最近しっかりしてきたから」とあれこれ求めすぎず「この子自身も揺れ動いているんだな」と受け止めながら、できるだけ子どもの思いに耳を傾けて見守りたいですね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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