おしりの穴がかゆいけど、病院に行くのは恥ずかしい……。でもかゆみを何とかしたい。そのようなときに便利なのが市販薬です。
市販では、おしりの穴がかゆいときに使える薬がいくつも販売されています。
原因によっては市販薬でも十分に対応できるので、自分に合う薬を見つけてみてください。今回は、おしりの穴がかゆいときに使える市販薬の選び方、かゆくなる原因、人気の市販薬などを紹介します。
おしりの穴がかゆくなる原因はさまざまです。ここでは、主な原因を5つ見ていきましょう。
おしりの穴付近に排泄物が付着したままだったり汗をかいて蒸れたりすると、かゆみの原因になります。拭き残しや肛門の内部に便が残っていると刺激になりやすいので注意しましょう。また、汚れを取ろうとしてトイレットペーパーで強く拭きすぎるのもよくありません。
石鹸の成分や下着の素材が合わず、接触性皮膚炎を起こすこともあります。女性の場合は、生理用品でかぶれてしまうこともあるでしょう。経血や汗、排泄物でかぶれるケースもあります。
痔になると、痛みだけでなくかゆみが出ることもあります。かゆみの原因となりやすいのが、いぼ痔と痔瘻です。いぼからの出血や粘液が肛門周辺を刺激してかゆみを引き起こします。また、痔瘻により膿が出ている場合も刺激となりやすく、かゆみを生じることがあります。
外陰腟カンジダやカンジダ性腟炎などもおしりの穴がかゆくなる原因です。感染しても症状が見られないこともありますが、人によっては肛門付近にも症状が出る場合があります。抵抗力が落ちている方、妊娠中の方などで見られやすいことが特徴です。
ぎょう虫は、大腸や直腸に寄生する虫のことを指します。肛門付近に卵を産み付けるため、かゆみが出やすいのです。
肛門がんとは、肛門管と肛門周囲にできるがんのことです。排便時の出血や痛みの他、人によってはかゆみが出ることがあります。
パジェット病とは、上皮内がんが進行したものです。赤みやかぶれ、かゆみなどを生じることがありますが、無症状の場合も少なくありません。
おしりの穴のかゆみを抑える効果がある市販薬には多くの種類があるため、どれを選んだら良いか迷ってしまう方が多いでしょう。症状の程度や使いやすさを確認して、自分に合うものを選んでみてください。
かぶれによるかゆみがつらい方は、ステロイド配合の塗り薬を選ぶとよいでしょう。ステロイドには抗炎症作用があるため、かぶれを抑えてかゆみを改善してくれます。
すぐにかゆみを止めたい方は、ステロイドにプラスして局所麻酔成分や抗ヒスタミン薬が入っているものを選ぶのがおすすめです。
おしりの穴に塗りやすい薬を選びたい方は軟膏や注入軟膏、薬を服用してかゆみの原因を抑えたい方は漢方薬を選ぶとよいでしょう。かゆみが治まるまで毎日使いやすいものを選んでください。
清涼感がある方がかゆみが治まりやすい方は、メントール配合のものがおすすめです。メントール配合のものはスーっとした使い心地のため、速やかにかゆみが緩和されます。
市販薬が使えるのは、以下のような原因でかゆみが起きているときです。
カンジダや肛門がんなど他の原因があるときは、市販薬は使用できないので注意してください。
ステロイド成分であるプレドニゾロン酢酸エステル、局所麻酔成分のリドカイン、傷の治りを助けるアラントイン、血行をよくするビタミンE酢酸エステルが配合された坐剤です。肛門の内部のかゆみに使用できます。
有効成分 ●プレドニゾロン酢酸エステル
●リドカイン
●アラントイン
●ビタミンE酢酸エステル
効能効果 いぼ痔、きれ痔(さけ痔)の痛み、出血、はれ、かゆみの緩和 剤形 坐剤 公式サイト:ボラギノールA坐剤
ステロイド成分のプレドニゾロン酢酸エステルをはじめ、局所麻酔成分のリドカインなどが配合された注入軟膏です。
肛門の内側に症状があるときは注入して使用してください。肛門周辺に症状があるときは、塗布して使用します。
有効成分 ●プレドニゾロン酢酸エステル
●リドカイン
●アラントイン
●ビタミンE酢酸エステル
効能効果 いぼ痔、きれ痔(さけ痔)の痛み、出血、はれ、かゆみの緩和 剤形 注入軟膏 公式サイト:ボラギノールA注入軟膏
ステロイドが配合されていないタイプの軟膏です。代わりに、炎症を抑えるグリチルレチン酸が配合されています。ステロイドが配合されていないため、妊娠中の方でも使用可能です。
有効成分 ●グリチルレチン酸
●リドカイン
●アラントイン
●ビタミンE酢酸エステル
効能効果 いぼ痔、きれ痔(さけ痔)の痛み、かゆみの緩和 剤形 軟膏 公式サイト:ボラギノールM軟膏
ステロイドが配合されている軟膏です。局所麻酔成分のリドカイン、抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンマレイン酸塩、殺菌成分のセチルピリジニウム塩化物水和物など多くの有効成分が配合されています。血管収縮剤も配合されているので出血が気になる方にも有効です。
有効成分 ●プレドニゾロン酢酸エステル
●リドカイン
●クロルフェニラミンマレイン酸塩
●アラントイン
●トコフェロール酢酸エステル
●セチルピリジニウム塩化物水和物
●ナファゾリン塩酸塩効能効果 きれ痔(さけ痔)、いぼ痔の痛み、かゆみ、はれ、出血の緩和および消毒 剤形 軟膏 公式サイト:ジーフォーL軟膏
ステロイドが配合されているタイプの軟膏です。l-メントールが配合されているため、清涼感があります。局所麻酔成分のアミノ安息香酸エチルも配合されているので、かゆみだけでなく痛みが強い方にもよいでしょう。
有効成分 ●アミノ安息香酸エチル
●リドカイン
●酢酸ヒドロコルチゾン
●酸化亜鉛
●l-メントール
●イソプロピルメチルフェノール
●アラントイン
●酢酸トコフェロール効能効果 きれ痔(さけ痔)、いぼ痔の痛み、かゆみ、はれ、出血、ただれの緩和および消毒 剤形 軟膏 公式サイト:メンソレータムリシーナ軟膏A
ステロイド成分のヒドロコルチゾン酢酸エステルがしっかりと炎症を抑えます。局所麻酔成分のリドカイン、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン塩酸塩なども配合されており、かゆみを素早く抑えてくれるでしょう。
有効成分 ●ヒドロコルチゾン酢酸エステル
●ジフェンヒドラミン塩酸塩
●リドカイン
●イソプロピルメチルフェノール
●トコフェロール酢酸エステル効能効果 きれ痔(さけ痔)、いぼ痔の痛み、かゆみ、はれ、出血の緩和および消毒 剤形 軟膏 公式サイト:オシリア
乙字湯(おつじとう)は、いぼ痔やきれ痔などを改善する効果がある漢方薬です。血の流れを良くして腫れを抑え、傷の治りを早くします。便の通りを良くする効果もあるため、排便時の痛みを緩和するのにも効果的です。
有効成分 乙字湯エキス 効能効果 体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向のあるものの次の諸症:痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘、軽度の脱肛 剤形 顆粒 公式サイト:乙字湯
市販薬を1週間程度使ってもかゆみが改善されないとき、また掻きすぎて痛みが出ているとき、血がにじんできているときなどは早めに肛門科へ相談してください。この他、気になることがある場合も医師に相談しましょう。
最後に、おしりの穴のかゆみに関するよくある質問にお答えします。
坐薬が形を保ったまま便と一緒に出てきた場合は、再度坐薬を挿入してください。挿入から10~15分ほどで排便した場合は4時間ほど空けてから次の分を使用しましょう。
ステロイドが配合されていない薬であれば、妊娠中でも使用できます。ただし、乙字湯は子宮収縮作用のあるダイオウが含まれているため、妊娠中の使用は避けてください。
おしりの穴に使える市販のカンジダ薬はありません。カンジダが疑われる場合は、肛門科へ相談してください。
かぶれや痔などが原因であれば、おしりの穴のかゆみを市販薬で対応することができます。カンジダや肛門がんなどが疑われる場合は、受診して医師の診察を受けてください。
おしりの穴がかゆくなる原因にはさまざまなものがあります。自分で原因を見極めることが難しい場合もありますので、かゆみが気になるときは受診して診てもらうのがおすすめです。一時的なかゆみでしたら市販薬を使用しても問題ありません。
薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。
「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」
こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。
市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。
そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。
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