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市販薬にメジコンはある?効能効果や使い方の注意点を解説

2024/03/11

メジコンは、咳止めとして処方される薬です。

医療用には、「メジコン錠15mg」や「メジコン散10%」などがあります。「病院でメジコンを処方してもらって良く効いたから市販でも買いたい」「メジコンが欲しいけど病院に行く暇がないから市販薬で済ませたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、市販薬でもメジコンの取り扱いがあるのかについて解説します。市販薬と処方薬でメジコンにどのような違いがあるのか、効能効果や使い方の注意点なども紹介しているので参考にご覧ください。

メジコンは市販でも販売されている

医療機関で処方されるメジコンのうち、錠剤タイプのものは市販でも販売されています。商品名は「メジコンせき止め錠Pro」です。医療用と同じメジコンを市販でも購入したい方は、「メジコンせき止め錠Pro」を選ぶとよいでしょう。

「メジコンせき止め錠Pro」の主成分

主成分は、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物です。医療用のメジコンと同じ成分が配合されています。

咳止めの成分には、麻薬性のものと非麻薬性のものがあり、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は非麻薬性の成分です。咳を引き起こす咳中枢の働きを抑えたり、気管支を広げて呼吸を楽にしたりすることで咳を抑えます。

「メジコンせき止め錠Pro」の効能効果

市販の「メジコンせき止め錠Pro」がもつ効能効果は「咳」のみです。主に風邪を引いたときの症状に使えると思っていただけたら問題ありません。咳以外の症状には使用できないので注意しましょう。

市販薬と処方薬のメジコンの違い

メジコンは市販薬と処方薬のどちらも配合されている成分は同じです。そのため、処方薬の代わりに市販のメジコンを使うことができます。ただし、成分は同じでも剤形や1日量、効能効果に違いがあるので確認しておきましょう。

剤形の違い

市販薬には錠剤のタイプしかありませんが、処方薬には錠剤と散剤、シロップの3種類が存在します。メジコン配合シロップは、成人だけでなく小さな子どもから使うことが可能です。添付文書では、3か月の子どもから用法用量が設定されています。

  市販薬 処方薬
剤形 錠剤 錠剤、散剤、シロップ

1日量の違い

市販薬と処方薬のメジコンは、1日に服用できる量が異なります。市販されている「メジコンせき止め錠Pro」は、1日あたりデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物として90mgまで服用可能です。

一方で処方薬の「メジコン錠15mg」や「メジコン散10%」などは、120mgまで服用できます。同じ成分が使われている薬ではあるものの、市販薬のほうが1日に服用できる量が少ないことに注意しましょう。

  市販薬 処方薬
1日量 90mgまで可 120mgまで可

効能効果の違い

市販薬と処方薬とでは、効能効果にも違いがあります。市販薬の効能効果には咳のみしか記載がありませんが、処方薬の場合は肺炎や肺結核などにも使用できるのです。

適応となる効能効果が大きく違うため、処方薬の代わりに市販薬を使う場合は症状に適応があるのかをしっかり確認してから使用しましょう。

  市販薬 処方薬
効能効果 感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)

メジコンはオーバードーズに注意

残念ながら、誤った目的のためにメジコンを使っている方もいます。オーバードーズといって、過剰に薬を摂取することに使用しているケースがあるのです。

オーバードーズとは

オーバードーズとは、用法用量を守らず大量の薬の一度に服用することです。風邪薬や咳止めなどがオーバードーズによく使われています。

誤った使い方をされやすい成分は、「濫用等のおそれのある医薬品」として掲げられていますが、このなかにデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は含まれていません。現時点で該当の医薬品として掲げられているのは、次の成分です。

  • エフェドリン
  • コデイン(鎮咳去痰薬に限る)
  • ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)
  • ブロムワレリル尿素
  • プソイドエフェドリン
  • メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る)

濫用等のおそれがある医薬品には該当しないものの、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、高用量を服用することでNMDA受容体を阻害し催幻覚作用や解離作用を引き起こします。

メジコンのオーバードーズで自殺に至った例も

厚生労働省によると、メジコンの主成分であるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物による薬物乱用は、2000~2006年にかけて相談件数が3倍にも増加したそうです。高用量を摂取したことで暴行や自殺、殺人に至った例も報告されています。

メジコンは用法用量を守って服用しよう

メジコンの主成分であるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、濫用等のおそれがある医薬品には分類されていません。しかし、高用量を服用することで催幻覚作用や解離作用を示します。依存症になる可能性もあるため、必ず用法用量を守って服用してください。

メジコン以外で咳に効く市販薬

メジコン以外にも、咳に効く市販薬が販売されています。ここでは一例を紹介しましょう。

アネトンせき止め錠

アネトンせき止め錠は、咳中枢に働きかけて咳を抑えるコデインリン酸塩水和物が主成分の薬です。このほかに、気管支を拡張するdl-メチルエフェドリン塩酸塩、アレルギー症状を抑えるクロルフェニラミンマレイン酸塩、頭痛や不快感を抑える無水カフェイン、痰を出しやすくするセネガ乾燥エキスも配合されています。

成分名 コデインリン酸塩水和物、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、無水カフェイン、セネガ乾燥エキス
効能効果 咳、痰
用法用量 15歳以上:1日3回、1回3錠
12歳以上15歳未満:1日3回、1回2錠
公式サイト:アネトンせき止め錠

パブロンSせき止め

咳中枢に働き咳を抑えるジヒドロコデインリン酸塩が主成分の薬です。痰を出しやすくするブロムヘキシン塩酸塩や気管支を広げるdl-メチルエフェドリン塩酸塩、アレルギー症状を抑えるマレイン酸カルビノキサミンなども配合されています。

成分名 ブロムヘキシン塩酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、無水カフェイン
効能効果 咳、痰
用法用量 15歳以上:1日3回、1回2カプセル
12~14歳:1日3回、1回1カプセル
公式サイト:パブロンSせき止め

ストナ去たんカプセル

ストナ去たんカプセルは、痰に特化した薬です。痰の粘りを調整するL‐カルボシステインと痰をサラサラにして出しやすくするブロムヘキシン塩酸塩が配合されています。咳そのものを止める成分は配合されていません。

成分名 L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩
効能効果 痰、痰のからむ咳
用法用量 15歳以上:1日3回、1回2カプセル
8~14歳:1日3回、1回1カプセル
公式サイト:ストナ去たんカプセル

咳を予防する方法

咳が出始めると、なかなか止まらない方が多いのではないでしょうか。つらい咳の症状に悩まされないようにするためには、予防を行うことが大切です。

うがいをする

日頃からうがいをするようにしましょう。喉についたウイルスや細菌などを洗い流し、同時に喉にうるおいを与えて乾燥を防ぐ効果があります。

マスクを着用する

人混みに行くときや風邪が流行しているときは、マスクの着用がおすすめです。ウイルスや細菌を吸い込みにくくするほか、のどの乾燥を防ぐ効果もあります。

部屋を加湿する

空気が乾燥しやすい季節は、加湿を行いましょう。喉が乾燥するとウイルスや細菌を排出する力が弱まり、感染しやすくなります。加湿器を使ったり濡れたタオルを干したりして空気が乾燥しないようにしてください。

このような症状があるときは内科や呼吸器内科を受診しよう

以下のような症状があるときは、市販のメジコンなどを使わずになるべく早く内科や呼吸器内科を受診しましょう。

  • 息苦しさがある
  • 咳をすると胸が痛くなる
  • 高熱が出ている
  • 痰に血が混ざっている
  • 痰の粘り気が強く出しにくい

まとめ

市販薬でもメジコンの取り扱いがあります。「メジコンせき止め錠Pro」という商品は、処方薬のメジコンと同じ成分が含まれた薬です。主成分であるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が咳中枢に働きかけて咳を鎮めます。

メジコンは咳を止めるのにとても役立つ薬ですが、誤った使い方をしているケースも少なくありません。必ず用法用量を守って使用してください。息苦しさがあったり痰に血が混ざったりしているときは、市販薬を使い続けず早めに内科や呼吸器内科を受診しましょう。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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