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市販のステロイドの種類は?選び方や強さ、正しい使い方を解説

2023/09/04

ステロイドは皮膚のかゆみや虫刺されなどに使われる薬です。

市販薬にはステロイドが配合されたものが多く販売されているため、「どれを選んだらいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

ステロイドはどれも同じに見えるかもしれませんが、種類によって強さが異なります。今回は、市販のステロイドの種類や選び方、強さについて詳しく見ていきましょう。市販で購入できるステロイドの商品も紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

市販にステロイドの内服薬はある?

ステロイドには、外用薬と内服薬の2種類があります。「ステロイドの内服薬はありますか?」と聞かれることも多いのですが、市販では外用薬のみしか扱いがありません。

内服薬は市販されていない

ステロイドの内服薬は市販されていないため、手に入れるためには処方箋が必要です。関節リウマチや肺炎、皮膚病やアレルギー性疾患などさまざまな症状に使われるステロイドの内服薬ですが、市販では服薬管理が難しいため販売されていないのです。内服薬が必要な場合は、医療機関を受診してください。

外用薬なら市販でも購入できる

内服薬は医療機関のみでの取り扱いですが、外用薬なら市販でも購入できます。ただし、すべてのステロイドが市販で購入できるわけではありません。

ステロイドには5つの強さがあり、市販されているのは「strong(強い)」「medium(普通)」「weak(弱い)」の3種類のみです。

ステロイドの分類

上でも少し触れた通り、ステロイドには強さによって以下のように5つのランクに分類されています。

ステロイドの強さ おもな成分
strongest(もっとも強い) クロベタゾールプロピオン酸エステル
ジフロラゾン酢酸エステル
strongest(もっとも強い) クロベタゾールプロピオン酸エステル
ジフロラゾン酢酸エステル
very strong(とても強い) モメタゾンフランカルボン酸エステル
フルオシノニド
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
strong(強い) ベタメタゾン吉草酸エステル
フルオシノロンアセトニド
プロピオン酸デキサメタゾン
medium(普通) プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
ヒドロコルチゾン酪酸エステル
トリアムシノロンアセトニド
weak(弱い) プレドニゾロン
ヒドロコルチゾン酢酸エステル
プレドニゾロン酢酸エステル

一番強いのは「strongest(もっとも強い)」です。「strongest(もっとも強い)」と「strong(強い)」は医療機関でしか取り扱いがありません。市販されているステロイドでもっとも強いのは「strong(強い)」です。

ステロイドを含む商品は多く販売されていますが、種類によって強さが違うため、よく見て購入する必要があります。

市販のステロイドの選び方

市販のステロイドを選ぶ際、パッケージの印象だけで購入していませんか?ステロイド選びでは、「どこの部位に使用するのか」「どれくらいの強さか」「どのような剤形か」を確認することが大切です。

使用する部位で選ぶ

ステロイドは、体の部位によって吸収効率が大きく異なります。皮膚が薄い陰嚢や頬、前頭などでは吸収率が高くなり作用が強くでることがあるため、あまり強すぎないものを選びましょう。市販薬では使用部位が限られていることも多いため、使いたい部位に塗れるのかも確認することが重要です。

ステロイドの強さで選ぶ

ステロイドには強さによって5つのランクがあります。一般に2歳未満の子どもならweak(弱い)、幼児から小学生ならmedium(普通)、大人ならstrong(強い)が目安です。

ただし、症状によってどのランクが適するのかが異なります。年齢によらず上記とは違うランクのステロイドが使われることも少なくありません。症状の強さや年齢によって適切なランクのステロイドを選ぶ必要があります。

剤形で選ぶ

虫刺されや湿疹などに塗りたいときは塗り薬、痔に使いたいときは座薬、頭皮に使いたいときは液剤のように使用部位に合わせて剤形を選びましょう。

塗り薬には、さらに軟膏とクリームがあります。患部を保護したい方、皮膚が弱い方は軟膏、ベタつきが苦手な方はクリームがおすすめです。

市販で購入できるステロイドの種類

では、市販で購入できるステロイドの塗り薬をランク別に紹介します。

4-1.strong (強い)

フルコートf

フルコートfは、市販薬ではもっとも強いstrong (強い)に該当するステロイドです。主成分としてフルオシノロンアセトニドが配合されています。抗生物質のフラジオマイシン硫酸塩も配合されているため、患部の細菌増殖を防ぐことも可能です。軟膏タイプなので皮膚の刺激が少なく、ジュクジュクにもカサカサにも使用できます。

公式サイト:フルコートf
ベトネベートN軟膏AS

市販でもっとも強いランクであるstrong (強い)に該当するステロイドです。ステロイド成分のベタメタゾン吉草酸エステルに加えて、抗生物質であるフラジオマイシン硫酸塩も配合されています。患部を保護する効果に優れた油性基材を使っているため、ジュクジュクしている部分にも使用可能です。

公式サイト:ベトネベートN軟膏AS

medium(普通)

リビメックスコーワローション

下から2番目のランクであるmedium(普通)に該当するステロイドです。主成分としてプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが配合されています。ローションタイプなのでサラっとしており、ベタつきません。塗り薬が使いにくい頭部にも使用できます。

コートf AT軟膏

medium(普通)に該当するプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが配合されたステロイドです。このほかに、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールや、血行を良くするトコフェロール酢酸エステル、麻酔作用のあるリドカインも配合されています。子どもでも使用可能です。

公式サイト:コートf AT軟膏

weak(弱い)

コートf MD軟膏

もっとも弱いランクであるweak(弱い)に該当するプレドニゾロンが配合されています。炎症を抑えるグリチルリチン酸も配合されており、赤ちゃんから使用できることが特徴です。小さな子どもの虫刺されやかぶれなどに使える薬を探している方に向いています。

公式サイト:コートf MD軟膏
テラ・コートリル軟膏a

テラ・コートリル軟膏は、weak(弱い)に該当するヒドロコルチゾンを主成分として含んだステロイドです。このほか、抗生物質であるオキシテトラサイクリン塩酸塩も配合されています。

ニキビ治療に購入される方もいますが、ステロイドはニキビを悪化させることがあるため使用しないようにしてください。

市販のステロイドの正しい使い方

ステロイドは、とても便利な薬です。しかし便利であるからこそ、正しい使い方をしなければトラブルを招く原因となります。

用法を守る

どのステロイドを使う際も、必ず用法用量は守って使用してください。症状が良くなってきたら徐々に使用回数を減らしたり、弱いランクのステロイドに切り替えたりしましょう。いきなり使用を中止すると、かえって症状が悪化する可能性があります。

適量を使用する

塗る量が少ないと、十分な効果を発揮できません。塗り薬の場合は、FTUと呼ばれる単位を目安に使いましょう。大人の人差し指の1関節分(=1FTU)で両手のひら2枚分の範囲に塗ることができます。

長期間にわたり使用しない

市販のステロイドを1週間程度使っても症状が改善しない場合は、薬が合っていないと考えられます。ランクが合っていないかもしれませんし、そもそもステロイドでは治らないものかもしれません。自分で判断することはできないため、この場合は医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしてください。

まとめ

ステロイドには内服薬と外用薬とがありますが、市販では外用薬の扱いしかありません。強さに応じて5つのランクがあり、市販ではstrong(強い)、medium(普通)、weak(弱い)の3種類が販売されています。

ステロイドを使用する場合は必ず用法を守り、適量を塗るようにしましょう。1週間ほど使用しても症状が改善しない場合は、そのまま市販薬を使い続けずに医療機関を受診してください。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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