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赤ちゃんの「クーイング」「喃語」ってどんな意味?

2022/06/15

赤ちゃんは、生後しばらくすると「あー」「うー」とかわいい声を出し始めます。この声をクーイングといいますが、これにはなにか意味があるのでしょうか?

また、その後にあらわれるのが「ブブブ」「ダー」などの「喃語(なんご)」と言われるもの。

今回は、クーイングや喃語でわかる赤ちゃんののどや口の動きと言葉の発達について解説します。

赤ちゃんの初めての声「クーイング」とは

ヒトは他の哺乳類と比べてさまざまな機能が未熟な状態で生まれてきます。

声もその一つで、生まれたばかりの赤ちゃんは、快・不快やお腹が空いたときの表現として泣くことしかできません。

しかし、生後1~2か月頃、少しずつ声帯やのどの筋肉が発達してくると、きげんのいい時などに「あうー」「うっくん」といったかわいい声を出すようになります。

この声が、英語で鳩の鳴き声を表す「coo(クー)」に似ていることから「クーイング」と呼ばれています。

ただ、それぞれの音声に決まった意味があるわけではなく、この時期の赤ちゃんは自分ののどから音が出ることに気づき、何度も練習している段階と考えられています。

「喃語(なんご)」にはどんな意味がある?

一方、生後3か月を過ぎた赤ちゃんは口元の筋肉や舌の動きがどんどん発達してきます。

クーイングでは、ほぼ母音(アイウエオ)しか出すことはできませんが、そこに唇や舌の動きが加わるとさまざまな子音が出せるようになり、これを「喃語(なんご)」といいます。

なかでも唇の開閉で生まれる「ブーブー」「マンマ」などの音は特徴的な音が出るので、赤ちゃんはおもしろがって何度も口にすると考えられています。

日本語でも赤ちゃんの声を「バブバブ」と表現しますが、面白いことに英語でも「babbling(バブリング)」と名付けられているんですよ。

ただし、この時期の喃語は、「ブーブー」が車、「マンマ」がご飯などの明確な意味を持っているわけではないようです。

赤ちゃんが意味のある単語を言えるようになるのは早くて生後9か月頃といわれ、もっとも多いのは1歳前後からとなっています。

「ワンワン」などの単語に意味があるかどうかは、指さしができるようになる時期がひとつの目安。

「マンマ」と言いながら離乳食や食べ物を指さしていたり、外出時や絵本で動物を見た時に「ワンワン」と指さしているようなら、赤ちゃんが意味を理解して話していることが分かりますね。

参考

クーイングや喃語が出ないとき

赤ちゃんの声の出し方は発達につれて変化していきますが、その表れ方には個人差も大きく、他の子と比べて声を出すことが少ない、クーイングはさかんに声を出していたのに喃語はあまり言わない…...といった赤ちゃんもいます。

「音が聞こえていないのでは?」と心配になるかもしれませんが、日常の物音に反応するようであれば基本的には心配ありません。

現在は7割程度の産院で、出生時に音に対して耳や脳が反応しているかをチェックする「聴覚スクリーニング検査」を行っていますが、実施されたかどうか分からない場合は母子手帳の「新生児聴覚検査」の欄を確認してみましょう。

また、あやしたときに喜んで笑う様子が見られるのであればコミュニケーションにもおおむね問題はなく、あまり声を出さないのはその子の個性の範囲内と考えて良いでしょう。

参考

クーイング・喃語へのおすすめの対応

赤ちゃんがクーイングや喃語を話し始めたら、ママやパパはどのように答えてあげると良いでしょうか?

赤ちゃんは、はじめのうちは偶然に口から出た音を繰り返しながら練習しているだけですが、その間にも周囲の言葉をどんどん吸収していきます。

ママやパパが特別なトレーニングなどをする必要はありませんが、赤ちゃんがクーイングで声を出したときに側にいれば、「はあい」「どうしたの」「ご機嫌だね」などやさしく返事をしてあげましょう。

それがゆくゆくは「会話」のベースになっていきます。

喃語にも同じように笑顔でうなずいたり、「そうなの、よかったね」「ママも大好きよ」のように会話風の返事をするのもおすすめです。

米国の大学で行われた研究では、赤ちゃんの喃語に対してその意味がわかったように返事してあげると赤ちゃんは喜んでもっと大人に話しかけるようになり、言葉の発達も進んだ……という結果が報告されています。

参考

おわりに

クーイングも喃語も、赤ちゃん時代の一時期だけ聞くことのできるかわいい貴重な声です。

ぜひ、やりとりを楽しみながら成長を見守ってあげて下さいね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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