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バランスの良い食事とは

2022/01/26

健康のために『バランスの良い食事をしましょう』っていうけど「バランス」の良い食事ってどんな食事でしょうか?

私は、日々クリニックで糖尿病、高血圧、脂質異常症等の患者様に食生活の状況をお聞きし、「△△のような食品が食べ過ぎですね」とか「○○のような食品が足りませんね」などとお話させていただいています。また、高齢の患者様には、「食事量が増えない時は、肉や魚のようなおかずから先に食べてくださいね」などとアドバイスをしています。

メタボ健診などの、健診結果票に「バランスの良い食事をしてください」と書いてあったりしますが、皆さんはどのような解釈をしておられますか?
『健康のために、何をどれだけ食べたら良いか?』ということを分かりやすく示すために、2005年に厚生労働省と農林水産省の合同で食事バランスガイドが策定されました。

※画像をクリックするとPDFが開きます。

私もコラムを書く中で以前、食事バランスガイド(コラム:食事バランスガイド)をお示ししたことがあります。

『お水も運動も大切ですよ』とコマのイラストを模して作ってあります。国によってはピラミッドで表しているところもあります。一般の人にも分かりやすいように食卓で目にする食事の状態にして示してあります。1日に食べると良い目安の多い順から上から、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」というような順番で示されています。この食事バランスガイドのミソは例えば乳製品や主菜の量が増えてしまったら、コマはバランスを崩して倒れてしまうという意味を表しています。
1回あたりの食べる量をSV(サービング)という単位で1つ2つと数えやすいように示しています。そして、菓子や嗜好飲料はコマのひもになって、「楽しく、適度に」と添えてあります。

つい最近まで、『栄養3・3運動』という健康な生活を維持するための食生活のあり方を示す言葉が語り継がれていました。年配の方は耳に残っておられるかと思います。
『栄養3・3運動』の3・3は「3食・3色」を意味し、朝・昼・夕の3食にそれぞれ3色をそろえてしっかり食べましょうという基本的な考え方を表しています。3色とは食べ物に含まれる栄養素の働きによって、「赤色」「黄色」「緑色」の3つのグループに分けて、「赤色」は肉、魚、卵、大豆、牛乳などの血や肉を作る食品と、「黄色」はご飯やパン、イモ類、砂糖、油などのエネルギーのもととなる食品、「緑色」は野菜や海藻、果物などで体の調子を整える食品です。この考え方は、小学校か、中学校の家庭科の時間に習ったような気がします。今でも、簡単で分かりやすいので、指導用に使われているところもあるのではないでしょうか。

赤色・黄色・緑色の揃った『栄養3・3運動』

この「栄養3・3運動」は実は、とても歴史が古くて、昭和27年に広島県庁の技師の方が提唱したのが始まりだったようです。私もこの話は4、5年前に保健所勤務の管理栄養士さんに伺って、なんだか誇らしいような気持ちになりました。この当時はまだ戦後の食料不足の時代ですから、今のように変則的な食事の人は少なく3食・3色だけで十分な指導になったことでしょう。しかし現在でも3食食べて、その都度3色そろえましょうというのは、簡単ですがとても分かりやすい方法だと思います。

先日、保健指導のためのWebセミナーを受講しましたが、生活習慣病の予防や、治療のためにはやはり日々の食事が重要です。たとえ受診して薬の処方があったとしても、それだけでは治療できません。服薬を適切に続けることと、3度の食事に気を配る必要があります。

今、糖質制限をされている方は主菜が多くなり過ぎていませんか?糖質制限をすると確かに体重は落ちます。しかし長い目で見た時、主菜が増えることは脂質異常症などを引き起こしたりしないでしょうか? まだ糖質制限の永年にわたる研究結果はでていません。炭水化物を摂りすぎるのは明らかに良くないですが、極端な制限も問題です。

『栄養3・3運動』は戦後の食糧難時代に始まったものですが、単純でとても分かりやすいと思います。3食、できれば規則正しく食べて、その都度できるだけ主食・主菜・副菜をそろえて食べましょう。量は今より体重が増えるようなら、食べる量が多いのでしょう。量を控える事や、活動量を増やす工夫をしてみましょう。

次回はコロナ禍で買い物に行く回数も減ったことでしょうから、どこにでもある材料でバランスの良い食事を作る工夫を考えてみたいと思います。
高齢者やお料理初心者の中学生から独身男性まで、バランス調理実践編です。

コラムニスト

管理栄養士  伊藤 教子 

長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。

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