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膵臓の嚢胞について

2020/06/01

健康診断で膵臓に水の袋があるって言われました!大丈夫でしょうか?

なんの症状もないのに健康診断で膵臓に嚢胞があるって言われました!と心配される方がいらっしゃいます。膵臓がんだったら怖いなと不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。今回はそんな膵臓の嚢胞についてお話します。

以前膵がんについてお話させていただきましたが、膵がんになりやすい要因で家族歴(ご家族が膵臓がんにかかった)や遺伝性疾患の他に合併疾患を挙げさせていただきました。その合併疾患の1つに膵嚢胞があります。

膵嚢胞は大きく分けて腫瘍性膵嚢胞と非腫瘍性膵嚢胞に分けられます。主な嚢胞の種類を下記に示します。

非腫瘍性病変

急性もしくは慢性の膵炎に伴う嚢胞
膵液ろう後の嚢胞(交通事故などの外傷や手術によって膵臓の管が切れた後の嚢胞)
など

腫瘍性嚢胞

膵管内乳頭粘液腫瘍
粘液性嚢胞腫瘍
しょう液性嚢胞腫瘍
など

全くピンときませんねぇ。すみません。

非腫瘍性嚢胞と言われるものは嚢胞自体に悪性度、つまりがん(癌)化の危険はありません。しかし慢性膵炎の場合はそれ自体に膵がんのリスクがあるので専門の先生にちゃんと診てもらったほうが良いでしょう。

健診でたまたま見つかる嚢胞で圧倒的に多いのが腫瘍性嚢胞の膵管内乳頭粘液腫瘍、通称IPMNと言われるものです。その名の通り腫瘍の一種です。ただそれにも種類があります。膵臓のなかには膵管という膵液の通り道があり、幹に相当する「主膵管」から、枝に相当する「分枝膵管」が分かれています。主膵管から発生する腫瘍が主膵管型IPMN、分枝膵管から発生するものが分枝型IPMNです。

主膵管型IPMN

分枝型IPMN

主膵管型IPMNは癌になる可能性が高いため早めの手術が必要です。

健診で指摘される場合、圧倒的に頻度が高いのは分枝型IPMNです。分枝型IPMNの多くはがんになる可能性が10年間でも2〜3%程度とされているため定期的に経過をみていくことになります。分枝型IPMNでもその形や大きさによって悪性度が異なるので専門医の判断が必要です。またその経過観察中に嚢胞ががん化したり、嚢胞とはちがう膵臓の部位にがんが発生することもあるため定期的な精密検査(CTやMRI、内視鏡検査など)が推奨されています。いずれのIPMNの場合でもちゃんと専門の先生に相談された方が良いでしょう。

忘れてはいけない嚢胞ですが、既に膵がんができていてその影響で嚢胞ができることがあります。健診で行う腹部超音波(エコー)検査では嚢胞はわかるけど、小さな膵がんは見つからないということもあります。膵がんの恐ろしさを考えると、嚢胞を指摘された患者さんは専門医への相談と1度は精密検査を受けられるべきだと思われます。

最後に

やっぱり膵臓の話はわかりにくいなぁと思われた方。嚢胞を指摘されたら消化器の専門医にご相談ください。いやいや膵臓の検査もしたことないけどなんだか心配だなという方、まずは腹部超音波(エコー)をお勧めします。心配だからしっかり調べたいという方は人間ドックで腹部のCT(造影剤を用いた方が正確です)やMRIといった検査をご相談されてはいかがでしょうか?

どうしたら良いかわからない方は、かかりつけの内科の先生に是非ご相談くださいね。

 コラムニスト紹介

小田内科 院長  忌部 航 


当院は昭和26年に創立して以来地元に根差した医院です。大きな病院に行くのは抵抗をお持ちでも「ちょっと小田で診てもらってきんさいや〜」と言われ受診される患者さん、診察時に「あんたのちっちゃい頃よぅ知っとるで」と私の記憶にないことまで話をされる患者さん、私が診察室に座っているとこの医院のもつ歴史、皆様からの期待を感じます。
これまでは東京で消化器内科を専門とし内視鏡検査やエコー検査を中心に診療を行ってきました。その経験を活かし最新の経鼻内視鏡(胃カメラ)やエコーを用いて辛くない検査を行い、患者さんにあった医療の提供を目指しています。また高血圧や糖尿病といった生活習慣病、インフルエンザなどの感染症も適切に診療し皆様に信頼されるかかりつけ医でありたいと思います。

【経歴・資格・所属学会】
※経歴
平成19年3月
金沢大学医学部卒業
平成19年4月
三井記念病院
平成21年4月
国立国際医療研究センター
平成25年4月
福島県立医科大学 会津医療センター
平成27年4月
国立国際医療研究センター
平成31年1月
小田内科勤務
令和元年5月
小田内科院長

※学会・専門医
医学博士
日本内科学会:総合内科専門医
日本消化器病学会:消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会:日本消化器内視鏡学会専門医
日本膵臓学会

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