『食生活指針』や盛んに言われている『食育』を考えてみて、もっとシンプルに基本に戻ってみました。
健康生活を手に入れるために示された『食生活指針』についていろいろ書いてきました。
『正しい食生活』ってなんだろうと考えてみました。『食育』の中身についても細かく考えてみました。確かに正しい食生活がその後の人間形成に影響するでしょうし、大げさに言えば性格にすら影響があるかもしれません。 しかし、実は「規則正しい生活」ができているか。きちんと「3食」食べているか。そして適度な運動ができていて、この問いに自信を持って「はい」と答えられれば、さほど問題はないのです。
本来、人間は自分の体に必要な物は食べたくなるようにできているのですから。
これは野山の虫や動物と同じだと思います。つい体力や若さに任せて、体内時計を無視して、不規則な生活になってしまっているのでしょう。幸か不幸か、いつでも思うときに食事ができる環境があるのですから。
細かなノウハウの前に、まず規則正しい生活について考えてみた方がよさそうです。規則正しい生活は心と体の土台を作ります。「健康に良いとわかっていてもなかなか実践できない」そんな方もこの辺りで一度、規則正しい生活について真剣に考えてみませんか。
主な生活習慣病は規則正しい生活を送ることで、事前に防げる場合が多いのですから。 平成の30年間で、ずいぶん生活が変わってきたように思います。現代人は忙しさに振り回され、規則正しい生活をすることが困難になっています。それが『やむを得ないこと』『仕事の為には当たり前なこと』になっていないでしょうか? 中には「家庭生活を優先します」と公言される方もいらっしゃいますが、もっと自然に誰でも実践できる、規則正しい生活ができないでしょうか?
規則正しい生活は「起床」→「朝食」→「昼食」→「夕食」→「就寝」という、睡眠と食事に支えられた等間隔のリズムによって作られます。これを個々人の仕事などの時間と考え併せて、ベストなタイミングを作ります。特に食事と睡眠を「いつ」「どのように」取るかをぶれないように決めることです。
昔は、大人と子どもの空間がはっきりと区別されていました。子どももそんなものだと思っていたので、特に不満にも思いませんでした。ですから、午後8時にはもう夢の中でした。
平成27年の厚労省の統計によると、午後9時過ぎに乳幼児を寝かせるという家庭が多いようです。大人の空間に子どもがいるのをたびたび見かけます。そして、幼児と思えるような幼子がソフトドリンクに濃い味付けのメニューを普通に食べています。午後10時にもなると「大丈夫かしら?」とおばあちゃん世代の人間は眉をひそめることもしばしばです。私の子育て中は、よほどのことがない限り飲みの席は遠慮したものです。忘年会などは夕食を準備して、夫に子供を頼んで出席しました。カレーやシチュー、おでんなどが決まったように登場したと思います。コンビニや総菜売り場もなかったので、夕食は用意しておかなければ、夫や子どもはお腹を空かせることになりますから。
規則正しい生活こそが、生きていく上で非常に重要な「生体リズム」を整えることになります。そこをきちんとしておけば、我々は自分に必要な食品や、食事の量も自分の体が知っているのではないでしょうか?
生体リズムとは、人が生まれながらに体内に備えているリズムのことです。体にとって最も自然な、負荷のない状態を指し、赤ちゃんや子どもは、この生体リズムを本能的に最優先して行動しています。よく末っ子がご飯の時間にうとうとして、茶碗に顔を突っ込んで眠ったり、階段の途中で寝ていたことを思い出します。 『食育』で教えられる、食事をするための細かなノウハウの部分は、今の家庭で教えることが出来ないならより豊かな食生活の為に、最低限は教えた方が良いでしょう。
急激な社会の変化は、欧米式の食生活の輸入や食生活の多様化をもたらしましたが、ぶれない基本のところができていないと、伝統的な食文化の喪失や正しい食の知識(親から食事を通して教えられてきたものも含め)を持たない人の増加などにより、肥満や生活習慣病を抱える人が増えています。子供のころに、食事の重要性や、心身の成長や健康の保持・増進のために望ましい栄養や食事の摂り方を理解し、自己管理できる力を身につけることはとても重要なことです。その知識は生涯にわたってその人の健康を支えることになるのですから。
次回は食事の指導をしていて気になっている『食習慣』について書いてみたいと思います。
『良い習慣』『悪い習慣』いろいろあります。
長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。
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