暖房で乾燥する原因は？乾燥のデメリットや対策方法を解説

冬は暖房を使う機会が増えますが、気づかないうちに湿度が大きく下がり、肌荒れやのどの不調につながることがあります。乾燥を放置すると、ウイルスが繁殖しやすくなったり、脱水を招いたりする可能性もあるので注意が必要です。

この記事では、暖房で乾燥が起こる原因や、空気が乾燥した状態で過ごすデメリット、今日からできる対策方法について詳しく解説します。

暖房を使用すると空気が乾燥する理由

暖房を使用すると、室内の湿度が急激に下がりやすくなります。湿度が下がる原因として知られているのが、次の2つです。

それぞれ詳しく解説します。

相対湿度が下がるから

暖房を使用すると空気が乾燥するのは、相対湿度が低下するためです。相対湿度とは、空気がどれだけ水分を含んでいるかを示す割合のことを指します。冬の外気は水分量が少なく、室内に取り込む時点で湿度が低い状態です。

この冷たい空気をエアコンやストーブで温めると、空気が保持できる水分量が増えるため、同じ水分量でも湿度が下がります。

エアコンの仕組みの影響で空気中の水分量が減るから

エアコン暖房で乾燥が進むのは、相対湿度の変化だけでなく、エアコンの仕組みによって空気中の水分が失われやすいためです。

エアコンは室内の空気を吸い込み、熱交換器を通じて温めてから再び室内に戻す仕組みで働いています。この循環過程で、空気中の水分が一部失われることがあるのです。

乾燥した空気の中で過ごすデメリット

暖房によって湿度が下がった室内で長く過ごすと、体調面や生活環境にさまざまな悪影響が生じます。乾燥した空気は、肌やのどの水分を奪ったり、不快感を与えたりするため注意が必要です。

のどや肌が乾燥しやすくなる

乾燥した空気の中では、のどや肌の水分が失われやすくなり、日常生活で不快感が生じやすくなります。空気中の湿度が低いと、肌の表面にある水分が蒸発しやすくなり、かさつきやすくなります。

また、のどの粘膜も乾燥によって潤いを保てなくなり、声枯れや痛みが出やすくなることもあるでしょう。特にエアコン暖房は風が直接当たりやすく、肌表面や粘膜の水分が急速に奪われるため、乾燥を感じやすくなります。

乾燥が進むと、湿疹、肌荒れ、ひび割れなどの皮膚トラブルにつながることもあるため、暖房の使用時には湿度管理がとても大切です。

ウイルス感染症にかかるリスクが増加する

空気が乾燥すると、ウイルス感染症にかかりやすくなるという大きなデメリットがあります。湿度が低い環境では、空気中のウイルスが長く漂いやすくなるのです。

また、のどや鼻の粘膜が乾燥すると、外から侵入するウイルスや細菌を防御する力が弱くなってしまいます。粘膜には異物を排除する働きがありますが、乾燥によってその機能が低下すると、ウイルスが体内へ入り込みやすくなるのです。

冬に風邪やインフルエンザが流行しやすいのは、気温だけでなく湿度の低下も影響しています。

知らず知らずのうちに脱水になる場合がある

暖房を使っている室内は湿度が低くなりがちですが、皮膚や呼気、粘膜から気づかないうちに水分が失われる「不感蒸泄」という現象があります。

不感蒸泄だけでも、1日に失われる水分量は600～800mlにも及ぶため、知らず知らずのうちに脱水状態になってしまうことが少なくありません。

汗ばむほどの発汗がなくても室内の乾燥により体内の水分が静かに減少しており、しかも冬場はのどの渇きを感じにくいため、飲水量が自然と少なくなります。

その結果、普段と同じように過ごしているのに脱水気味だったという状態になりやすく、頭痛やめまい、倦怠感、集中力の低下などを招く可能性があります。

暖房の使用による空気の乾燥を改善する方法

暖房によって乾燥しやすくなった室内環境を改善するには、湿度を意識的に高める工夫を行うことが重要です。

湿度を40～60％に保てば、のどや肌の乾燥を防ぎ、ウイルスの活動を抑えやすくなります。ここでは、日常生活で取り入れやすい3つの乾燥対策を紹介します。

加湿器を使う

加湿器は、水蒸気やミストを空気中に放出し、湿度を手早く上げられるアイテムです。エアコン暖房を長時間使用している部屋では湿度が30％を切ることも珍しくありません。

そのようなときに、加湿器の機種にはスチーム式、超音波式、気化式などがあるので、部屋の広さや用途に合わせて選びましょう。

室内干しする

室内干しは、洗濯物の水分が自然と室内の湿度を上げてくれるため、簡単にできる加湿方法の一つです。

加湿器がない場合でも取り入れやすく、電気代もかからないため、経済的負担もありません。天気が悪い冬場に外で干すより洗濯物も早く乾き、湿度も程よく保てます。

加湿機能付きの暖房を使用する

加湿機能付きの暖房を使用する方法も乾燥対策として有効です。暖房と加湿を同時に行うため、暖かさを保ちながら湿度を適切に維持できます。

特に加湿機能を搭載したエアコンやファンヒーターは、室内全体を効率よく温めながら湿度を補ってくれるため、乾燥を感じやすい時期にぴったりです。

暖房による乾燥ダメージを軽減する方法

暖房の使用で乾燥が進むと、日常生活の質を下げるさまざまなトラブルが起こりやすくなります。室内の湿度を上げる工夫も大切ですが、身体そのものを乾燥から守る対策を取り入れることで、より快適に過ごせるようになるでしょう。

こまめに水分補給する

乾燥ダメージを軽減するためには、体内の水分バランスを保つことが重要です。冬は夏ほど喉の渇きを感じにくいため、水分補給を意識しないと体内の水分が不足しやすくなります。

特に暖房を使用している環境では、不感蒸泄が増えるため、本人が気づかないうちに体内の水分が減っていることがあります。寒い季節もこまめに水分を摂るように心がけましょう。

保湿ケアをする

乾燥した空気の中では、肌表面の水分が蒸発しやすく、バリア機能が低下します。そのため、保湿ケアを行い、肌に必要な水分を補給しましょう。

入浴後や洗顔後は特に乾燥が進みやすいため、できるだけ早く保湿剤を塗ることが大切です。クリームや乳液、保湿力の高いワセリンなどを活用すると、肌表面に膜ができ、水分が蒸発しにくくなります。

マスクを着用する

マスクを着用すると、のどや鼻の粘膜を守る効果が期待できます。マスクの内側は呼気によって湿度が保たれているため、粘膜の乾燥を防ぎ、外気の乾燥した空気が直接のどに当たるのを避けることが可能です。また、マスクの着用は感染症対策にもつながります。

暖房による乾燥対策に関するよくある質問

最後に、暖房による乾燥対策に関するよくある質問にお答えします。

加湿器を使わずに湿度を上げる方法はありますか？

加湿器を使わずに湿度を上げる方法で代表的なのは、洗濯物の室内干しです。洗濯物に含まれる水分が蒸発することで、室内の湿度が自然に上がり、暖房による乾燥を防げます。

乾燥しにくい暖房機器はありますか？

エアコンは便利ですが、空気を循環させるため乾燥しやすい傾向があります。一方で、オイルヒーターや床暖房は空気を直接吹き出さないため、湿度が奪われにくく、乾燥を感じにくいことが特徴です。

まとめ

暖房を使用すると空気が乾燥するのは、相対湿度が下がることや、エアコンの仕組みによって空気中の水分が失われることが主な理由です。

乾燥した空気の中で過ごすと、のどや肌の不快感が増えるだけでなく、ウイルス感染症のリスクが高まったり、気づかないうちに脱水状態になったりする可能性があります。

そのため、室内の湿度を上げる工夫や、身体の保湿ケアを同時に行うことが重要です。暖房が欠かせない季節を快適に過ごすために、日常的にできる乾燥対策を取り入れて、のどや肌を守りながら健康的な室内環境を整えていきましょう。