稚園や保育園から小学校低学年くらいのお子さんが、ある時から急に汚い言葉を連発したり、言葉遣いが悪くなったりしてビックリ……という経験はありませんか?
原因は色々ありますが、親としては「お友だちを傷つけたり、嫌われたりするのでは」と心配になったり、「どこまでは大目に見て、どこから叱るべき?」など迷ったりしてしまうかもしれません。
そこで今回は、お子さんの言葉遣いで困った経験のあるママ・パパへのアンケートも参考にしながら、最適な対処方法を考えてみたいと思います。
前はそんなことはなかったのに、ここ最近急に子どもが汚い言葉を使い出した、乱暴な口調になった……という場合、その原因は、年齢や状況によっていくつか考えられます。
子どもの語彙(話せる単語)数は、2歳になった時点で300語程度で、3歳になる頃には約1,000語、4歳で約1,500語まで増えるといわれ、単純計算して毎日1~2個ずつ新しい言葉を覚えていることになります。
ただし、なかには意味がよく分かっていないまま響きが気に入って連発しているケースもあります。いきなり叱りつけず「それはよくない言葉だから言わないようにしようね」と真面目な顔で伝えましょう。
また、この時期の子どもは周囲の言動を模倣・吸収することで成長していくので、子どもに使ってほしくない言葉は大人も使わないように意識したいですね。
3歳頃になると、子ども同士で遊ぶことも増えますが、まだまだ一番相手をしてほしいのはママやパパという子がほとんど。
家事や下の子のお世話などで忙しそうにしているママやパパに「ねえねえ」「これ見て」といってもあまり振り向いてもらえないのに、大声で「バーカ!」などの悪い言葉を叫ぶと振り向いてもらえるので、よくないと分かっていても連発してしまう子も。
また「おしり」「うんち」などのいわゆる「下ネタ」ワードを子どもが大喜びするのは昔から変わらぬ法則ですよね。言ってはいけないことほど言いたくなってしまうのは人の心理ですし、大人の「何言ってるの!」という慌てた反応も子どもにとっては面白くうつります。
世の中には、それを受け入れた「おしり〇〇」「うんち〇〇」といったタイトルの絵本やアニメなどもたくさんあります。しかし社会的な問題にならないのは、どんなに面白がって連発しても、ほとんどの子が数ヶ月以内に卒業してしまうことを、多くの大人が(自分の経験からも)知っているからかもしれません。
4歳を過ぎると、家庭はもちろん保育園や幼稚園などの集団生活でも、言葉による意思疎通がメインになってきます。
クラスメイトがよく使っている言葉や流行語、TVやアニメ、YouTubeなどの影響を受け、似てくることもあります。
また小学校3~4年生の「ギャングエイジ」と呼ばれる年代では、判断・行動の基準が、それまでの親や家庭から同年代の仲間へ移ります。
「急に子どもの言葉遣いが変わった」とびっくりすることもあるかもしれませんが、それ自体は正常な成長の過程です。注意するのは、誰かを傷つけたり尊厳を傷つけるような言葉を言った時だけにとどめておきましょう。
最後は少し注意が必要なパターンです。
単に言葉遣いが悪いだけなら上記のような原因が考えられますが、ドアや椅子を蹴るなど態度も乱暴になってきたり、汚い言葉を口にしている時の表示や目つきがいつもと違ったりする場合、なんらかのストレスを抱えている可能性も。
下にきょうだいが生まれて寂しい思いをしている、園や学校でトラブルが起こっているなどで、自分の気持ちをうまく表現できず、乱暴な言葉で発散しているのかもしれません。
家で思い当たることがない場合、園や学校の担任に相談し、最近の様子を聞いてみるのもよい方法です。
子どもが汚い言葉ばかり使うと、聞いていて不愉快なだけでなく「これがクセになったら大変」「早いうちに何とかしなきゃ」と焦ってしまいますよね。
しかし、以下のような対応は逆効果になることも。
すぐにやめさせようとするあまり、大声で叱ったり叩いたりすれば、恐怖心から一時的に子どもはいうことを聞くでしょう。しかしそれでは根本的な解決にはならず、親の見ていない場所では「バカ」「〇ね」などと口にし続けるかもしれません。
また、人前で感情的に怒鳴られると恥ずかしさや反抗心が先に立ち、「気持ちのいい言葉遣いをしてほしい」というママやパパの真の願いが子どもの心に届かなくなってしまいます。
なぜその言葉がいけないのか、子ども自身が理解・納得できるよう、落ち着いて伝えたいですね。
子どもの口調が気に入らないときに、やめさせようとして「なにそれ」「変なの~」とからかうと、子どもは傷つき自己肯定感も下がってしまいます。
また、2~3歳頃までの子はまだ自他の区別が完全についていません。自分が言われたら嫌な気持ちになることを体感させようと「〇〇ちゃんのバーカ」とマネしても「これがママの気持ちなのか」とは理解できず、単に「大好きなママに意地悪された」という悲しい気持ちや不信感だけが残りかねません。
最後に、過去お子さんの言葉遣いが悪くなって困った経験のあるママ・パパを対象に実施したアンケートから、効果があった方法や声がけをいくつか紹介します。
急に子どもの言葉遣いが悪くなると、親としては心配になってしまいますよね。
しかし表面上だけ直そうとするのではなく、言葉遣いを「子どもの成長や心のバロメーター」と捉えてみると、その子に合った対応が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
親自身の言葉遣いも意識しつつ、長い目で見ながら、自分も周りも幸せになる言葉の使い方を子どもに伝えていきたいですね。
私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。
娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。
親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。
しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。
まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。
より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。
現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。
かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。
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