2025/05/09

育児相談などでよく言われる「ママは困ったらどんどん周囲の人を頼りましょう」というアドバイス。

たしかにその通りではあるのですが、いざ困った場面になると「こんなこと頼んだら迷惑じゃ…」「頼んで嫌な顔をされるくらいならガマンしよう…」など、誰にも頼れないと感じている人は意外と多いんです。

今回は、似たタイプの先輩ママのアンケートも参考にしながら「人に頼るのが苦手」な人の育児の乗り切り方を考えます。

子育てで「人に頼れない」理由とは

育児は大人相手の仕事とは違って予想もつかないことの連続。お子さんの対応を優先していると家事が回らなくなったり、きょうだいの病気が続いてしまったりで「誰か助けて~!」という瞬間が何度も訪れます。

しかしそんな時、よく育児サイトや検診のアドバイスなどで言われるように、家族やママ友・ご近所・自治体などに適切に頼れている人はいったいどのくらいいるのでしょうか?

以前に筆者が実施したアンケートでは、「育児で困ったとき、夫以外に頼る人が近くにいる」と答えた人は50人中18人と、全体の1/3しかいませんでした。

なかなか人を頼れない理由としては、以下のような点が挙げられています。

子どもが心配で預けられない

この理由は、特に祖父母世代が近くに住んでいるにも関わらず、短時間子どもの面倒を見てもらうことができないという人に多く見られました。

Mさん・当時1歳児のママ
「息子が歩き始めの頃、夫の実家で見ておくよと預かってくれたのはいいのですが、実際は全然見てくれていなかったんです。玄関の段差から落ちて大泣きしたり、ふと見るとタバコの吸い殻が手の届くところに置きっぱなしだったりと危なくて。改善をやんわりお願いしたものの、直後だけしか効果がなく、とても預けられないと感じました」

ここまで極端ではなくても、「ホコリがたまっている実家に敏感肌の子どもを預けるのは心配…かといって毎回、掃除して!とも言いづらい」という人や「1歳児にスナック菓子やチョコレートはまだ食べさせたくないのに、頼んでも聞かずに与えてしまう」など、育児方針が合わないため、預けるのをためらってしまう人も少なくありませんでした。

相手も大変だからと遠慮してしまう

よく顔を合わせ、子どものことも分かっているママ友同士でも、いざ頼るとなると難しいもの。

kさん・当時0歳児のママ
「どこの家も子どもがぐすったり夕食作りで手が離せない時間帯ってほぼ同じですよね。預かってしまうとそれが2倍になるわけで。私も本音では預かりたくないし、他の人にもなかなか頼めません」

またこんな声もありました。

Sさん・当時3歳児のママ
「下の子の妊娠中、妊婦健診が上の子の同伴禁止の病院で連れて行けず、夫も仕事を休めなかったので、ママ友に上の子を預かってもらったことが。引き受けてもらったものの、ちょっと迷惑そうな顔をされたことがあって。やっぱり私が厚かましかったんだと自分を責めてしまい、その後は誰にも頼めなくなってしまいました」

親として後ろめたく思ってしまう

Tさん・当時1歳児のママ
「上の子の時は専業主婦だったこともあり、子どもの世話は全部私がしないといけないと思い込んでいました。たまに預かり保育などを利用すればよかったのですが、当時はベビーフードさえ贅沢や怠慢だと思い込んでいたので、家にいるのに子どもを預けるなんてありえないと自分で自分を縛っていましたね」

体験談「こうしたらうまく頼れるようになった」

一方、同じアンケートで「夫以外にも頼れている」と答えた人からは、最初はうまく人を頼れず抱え込んでしまっていたものの、ちょっと考え方を変えたら頼れるようになったという体験談も寄せられました。

育児以外のことで頼ってみた

子どもを預けるのはハードルが高くても、他のことなら意外と頼みやすいことも。

Hさん・当時4歳児と2歳児のママ
「夫の出張中に、子どもたちが2人とも熱を出し、買い物にも行けなくなったときに、ママ友に買ってきてほしいものをLINEで頼んだら、快く引き受けてくれて本当に助かりました」

愚痴を言える時間を作った

毎日が家事育児で精神的にいっぱいいっぱいの時には、実際に手伝ってもらわなくても、愚痴を聞いてもらうだけでも十分頼りになります。

Uさん・当時2歳児と0歳児のママ
「夫に愚痴をいうと、正論でアドバイスされてケンカになってしまったり、疲れているのにとうんざりした顔をされたり...なので、同じ立場のママ同士や学生時代の友人など、共感的に話し合える相手と時々ランチに出かけていました」

「次がある」と、あきらめず相談した

特に慣れない初めての育児で、夜もあまり寝られず心身ともに限界…と相談した窓口で「様子を見ましょう」「とにかくお母さん、がんばって!」で済まされてしまい「相談するんじゃなかった」と言う声も時に耳にします。

しかし親身になって話を聞いてくれる担当者ももちろんたくさんいます。「毎回こんな風ではない、次がある」と思い切って別の場所へ相談したところ、必要な支援につないでもらえた人もいました。

断りやすい頼み方を工夫した

勇気を出して頼ったのに断られてしまったら、がっかりするだけではなく「そんな頼み事をした自分が非常識な人間のように思えてしまうから頼る勇気が出ない」という人も。

しかし、ある時からこんな風に言うようにしたそうです。

「忙しかったら遠慮なく断ってね!私もそのほうが気が楽だから」

すると、相手の都合が悪かった時も「今回はごめんね!でも次も遠慮なく声をかけてみて」と返ってくるようになり、すいぶん心が軽くなったそうです。

おわりに

「人に頼るのが苦手」という人は、責任感や自立心が強く、人の立場を思いやれるすてきな人でもあります。

しかし、自分が倒れてしまうほど大変なことになる前に、少しだけ頼ってみるのは長い目で見るときっと親子のためになるはず。

今回の記事で紹介した体験談で「これならできるかも」というものがあれば、ぜひ試してみてくださいね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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