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膀胱炎を防ぐには

2022/11/04

女性の多くに起こる病気の1つは尿路感染症。尿路感染症の中で膀胱炎は有名な病気の1つです。

一部の患者さんでは膀胱炎を繰り返すことも多く、なんとか予防する方法がないかどうか困っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、以下のことを紹介します。

  • 膀胱炎とは
  • 膀胱炎の症状
  • 膀胱炎の治療
  • 膀胱炎と女性
  • 再発する膀胱炎への対応
  • 再発する膀胱炎の予防

腎盂腎炎まで症状が進行すると、急性腎盂腎炎・慢性腎盂腎炎も起こしうる膀胱炎。記事を通じて、膀胱炎の再発予防について考えましょう。

尿路感染症とは

尿路感染症は、女性に頻度の高い細菌感染症です。女性全体の10%が毎年感染し、女性の40%から60%以上が生涯に一度は感染するといわれています。再発も多く、1年以内に半数近くが2回目の感染を起こしてしまうために注意が必要です[1][2]。

膀胱炎の症状

膀胱炎の典型的な症状としては、頻尿、尿意切迫感、恥骨上部の不快感、排尿困難などです。多くの患者さんは抗菌薬の内服によって症状が改善しますが、細菌が膀胱から腎臓まで逆流しているケースや体が弱っているケースでは発熱をともなった腎盂腎炎に症状が進んでしまうことも。膀胱炎の原因菌は大半が大腸菌で、次いでクレブシエラ菌です。大腸菌以外の原因菌はプロテウス菌、エンテロバクター菌、腸球菌などがあげられますが、原因菌は尿培養検査によって確定されます[3][4]。

膀胱炎の治療

治療を行わなくても、水分を積極的にとることによって健康な女性患者さんは20%程度の確率で自然に治ると言われています。しかし、多くの方は抗生物質の内服が必要です。膀胱炎に用いる抗生物質は尿検査の結果や菌の抗生物質への効き目を考えて決定されるため、主治医の先生のアドバイスに従ってください。

膀胱炎が女性に起こりやすい理由

女性には膣があるほか、直腸・膣と尿道口までの距離が短いため会陰は汚染されやすい場所。また女性は男性に比べて尿道が短く、膀胱に細菌が到達しやすいことも女性が膀胱炎にかかりやすい理由で、女性が尿路感染症にかかる割合は男性の4倍~30倍にもなると言われています[5]。閉経前の女性は膣内の乳酸菌濃度が高いために膀胱炎をもたらす菌の増殖を防ぐことが可能ですが、閉経に伴って会陰付近のPHがアルカリ性になると、菌が増殖しやすくなることにも注意が必要でしょう。

再発する膀胱炎への対応

膀胱炎を再発してしまう方には、単純に膀胱炎を繰り返してしまっているケースと、膀胱炎になりやすい理由があって膀胱炎を繰り返しているケースとがあります。繰り返す膀胱炎に対しては検査を行い、膀胱炎になりやすい原因があるようならば取り除いてあげることが重要でしょう。膀胱炎を繰り返す原因として主なものは、以下の通りです[6]。

  • 性別(女性)
  • 婦人科の病気の併発
  • 膣炎
  • 妊娠
  • 高齢(閉経後)
  • 性的活動が活発
  • 糖尿病
  • 膀胱結石がある
  • 膀胱・尿路の解剖学的異常
  • 悪性腫瘍(膀胱がんなど)
  • 尿道カテーテルが入っている
  • 排尿障害
  • 失禁
  • 慢性的な下痢

すべての原因を調べる必要はありませんが、繰り返す膀胱炎に対しては主治医の先生に相談のうえ必要な検査をしてください。

再発する膀胱炎の予防

では、明らかな原因のない繰りかえす尿路感染症を防ぐ方法はないのでしょうか?アメリカ合衆国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services: HHS)の1部門であるThe Office on Women's Health (OWH)では、いくつかの方法が紹介されています[7]。明確なエビデンス(証拠)が示されていない方法もありますが、お金をかけずに取り組むことのできる方法もあるため参考にしてください。

必要なときに排尿する

尿が膀胱に長くとどまるほど、細菌が繁殖する時間が長くなります。尿意を感じたらあまり我慢せずトイレに行くようにしましょう。

性行為の前後には排尿する

性交後は膀胱内の細菌が10倍にも増えるとも言われており、性交後の排尿は有効かもしれません。また性交渉と膀胱炎の発生率、殺精子剤(クリームなど)の使用と尿路感染症の関係性は指摘されているため、常に会陰を清潔に保っていただくことは有効でしょう[8]。

排尿後は前から後ろへ拭くように

明確な予防効果は示されていませんが、排尿後は肛門から前にではなく、前から後ろに拭くことで菌を尿道に引き寄せることを防げるのではないかと考えられています。

水分を多くとる

1日にグラス6から8杯以上の水分を摂取して膀胱内の細菌を洗い流すようにしていただくと膀胱炎の予防となるほか、尿路結石の予防となると紹介されています。

また患者さんからよく聞かれる質問として多いのが、サプリメントの膀胱炎の予防効果や温水洗浄便座が会陰を洗い流す効果についてです。

サプリメントの有用性

膀胱炎の予防のためにビタミンCやクランベリが有効であったという報告がある一方、有効ではなかったとの報告も[9][10]。個人的にはクランベリーやビタミンCなどをサプリメントや健康食品で摂取するには費用負担が多く、また酸っぱい味を我慢できるかどうかには個人差があります。果物などで無理なく摂取してみる分には良いのではないでしょうか。

温水洗浄便座は膀胱炎の予防に有効か

陰部を洗う機能が付いたトイレについて、ウォシュレットはTOTO、シャワートイレはLIXILの登録商標で、一般的な呼び名は「温水洗浄便座」です。温水洗浄便座を使うと肛門や会陰周囲を紙で皮膚をこすって傷つける必要がないほか、陰部を温水で湿らせることで簡単に汚れを拭くことが可能です。温水洗浄便座は膀胱炎の予防に有効ではないかと考えられてますが、温水洗浄便座の使用にあたってはいくつかの注意が必要です。

まず、きちんとメンテナンスがされていないとノズル部分が汚染されてしまいます[11]。下痢などでノズルが汚染された場合、ノズル部で菌が繁殖することも。一般的にはノズルの清潔さと温水の清潔さとは影響はないとされていますが、定期的な清掃・メンテナンスはもちろんのこと、自宅で使うものはノズル洗浄機能が付いた商品を検討いただくのも良いでしょう[12]。

一方、温水洗浄便座を使うと菌が膀胱に入り込むのではないかという指摘も。7759名を対象とした調査では、温水洗浄便座の使用によって膀胱炎などの泌尿器感染症は増加しませんでした[13]。 ただし、排便後にまず紙で拭いてから肛門の洗浄をおこなう方が再発率が低かったとの意見は複数あるため、参考にしてください[14][15]。

まとめ:適切な膀胱炎予防と医療機関の受診を

今回紹介した方法はあくまで膀胱炎予防の1例です。また、適切な予防をおこなっていても膀胱炎は起こるもの。繰り返す膀胱炎を放置すると、腎盂腎炎や尿路結石のリスクも高まります。必要に応じて早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

参照
  1. Sakamoto S, et.al. Chronological changes in epidemiological characteristics of lower urinary tract urolithiasis in Japan. Int J Urol. 2019 Jan;26(1):96-101.
  2. Alperin M,et al. The mysteries of menopause and urogynecologic health: clinical and scientific gaps. Menopause. 2019 Jan;26(1):103-111.
  3. Behzadi P, et.al. A survey on urinary tract infections associated with the three most common uropathogenic
    bacteria. Maedica (Bucur). 2010 Apr;5(2):111-5.
  4. Yamaji R, et.al. A Population-Based Surveillance Study of Shared Genotypes of Escherichia coli Isolates from Retail Meat and Suspected Cases of Urinary Tract Infections. mSphere. 2018 Aug 15;3(4)
  5. 5. Foxman B. Epidemiology of urinary tract infections: incidence, morbidity, and economic costs. Am J Med. 2002 Jul 8;113 Suppl 1A:5S-13S.
  6. Bono MJ, et.al. Urinary Tract Infection. [Updated 2022 Jun 15]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2022 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470195/
  7. A FACT SHEET FROM THE OFFICE ON WOMEN’S HEALTH: Urinary Tract Infections
  8. Scholes, D. et al. Risk factors for recurrent urinary tract infection in young women. J. Infect. Dis. 182, 1177–1182 (2000).
  9. Murphy, F. et.al. Ascorbic acid as a urinary acidifying agent. 2. Its adjunctive role in chronic urinary infection. J. Urol. 94, 300–303 (1965).
  10. Jepson, R.et.al. Cranberries for preventing urinary tract infections. Cochrane Database Syst. Rev. 10, CD001321 (2012).
  11. 尾崎昌大.多剤耐性緑膿菌による温水洗浄便座洗浄ノズルの汚染事例.日本環境感染学会誌 33(6): 285-289. 2018
  12. 佐藤久美. 耐性菌対策を考慮した温水洗浄便座ノズルの清掃方法の検討.医療機器学 85(2): 156-156, 2015
  13. Asakura K, et al. Relationship between bidet toilet use and hemorrhoids and urogenital infections: a 3-year follow-up web survey. Epidemiol Infect. 2018 Apr;146(6):763-770.
  14. 公平昭男. 再発性膀胱炎と温水洗浄便座の使用方法との関連についての検討.泌尿器外科.22(9). 1217-22. 2009. P1219
  15. 久保倉晶子. 再発性膀胱炎患者への温水洗浄便座使用方法の指導. 泌尿器ケア. 20(11): 1204-1208. 2015. P1206

 コラムニスト紹介

  紗来 


医師、泌尿器科専門医、性機能専門医、性感染症専門医、抗加齢専門医、医学博士。都内での初期研修・後期研修ののち、大学・基幹病院での臨床・研究に従事。国内外の論文(エビデンス)をもとにした一般向けのわかりやすい医療記事の執筆が得意。趣味が高じてファイナンシャルプランナー2級・福祉住環境コーディネーター3級を取得。

【経歴・資格・所属学会】

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