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読み聞かせの効果でもっと子育てをハッピーに

2022/09/26

保育園や幼稚園、育児本やサイトなどで「子供の心のすこやかな成長のために、絵本の読み聞かせをしましょう」という言葉を見かけることはありませんか?

でも、具体的に読み聞かせがどう子供のためになるのだろう……と疑問に思っているママ・パパもいるのではないでしょうか。

今回は、読み聞かせが親子にもたらすハッピーな効果や、よくある読み聞かせの疑問について解説します。

読み聞かせは子供の育ちに良い影響がいっぱい

「赤ちゃんや1歳くらいの子には絵本の意味やストーリーも分からないし、効果なんてあるの?」

と思う人がいるかもしれません。

しかし、読み聞かせ中の親子の脳のはたらきを観察した研究によると、ママやパパの声を聞いているとき、子供の脳内では喜怒哀楽の感情を司る「大脳辺縁系」が活発に活動していたといいます。

このことから、たとえ意味がわからなくても、絵本の読み聞かせ行為そのものが子供のゆたかな心を育むことが分かります。

また、子供が少しずつ成長するにつれ、絵本に登場する生き物や食べ物の名前を覚えたり、「寒くなると水が凍るのはなぜ」といった科学の知識や、あいさつなど社会のマナー・ルールを自然に学べるようにもなります。

さらに、話の展開を予想することで想像力が高まったり、お話のエピソードを通して「こういうことが起きると人は悲しくなるんだな」と他人を思いやる心が生まれたり。

子供の情緒の発達に絵本はとても効果的なんですね。

参考

読み聞かせで大人にもこんなメリットが!

上記の研究では、読み聞かせ時の大人は、子供とは違い「前頭前野」の活動が活発になっていたそうです。

前頭前野の働きが良いと、思考力・創造力・コミュニケーション能力が上がり、感情のコントロールがうまくいくのだとか。仕事にも、家事や子育てにも役立つ能力ばかりですよね!

また、読み聞かせの時は子供を膝に座らせたり一緒に寝そべって読んだりするかと思いますが、こういったスキンシップは別名「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれる「オキシトシン」の分泌をうながします。

オキシトシンは、ストレス反応をやわらげたり情緒を安定させたりするほか、最近ではなんと肥満の抑制やIQが高くなる可能性まで報告されています。

とはいえ、そんなに難しく考えずとも、親子で同じ本を眺めてかわいい絵や美しい色彩を味わいお話の世界を楽しむひとときは素晴らしいコミュニケーションで、子供が幼い日々のすてきな思い出になる……というのは誰でもうなずけるのではないでしょうか。

参考

読み聞かせがもっと楽しくなるポイント

最後に、読み聞かせの時間がもっとハッピーになるコツを紹介します。

上手でなくても大丈夫

「読み聞かせのよさは分かったけど、そんなに上手に読めないし、なんだか苦手意識があって……」

というママ・パパもいるかと思いますが、声優さんのように上手に読む必要はまったくありません。また登場人物ごとに声色を変えたりもしなくて大丈夫です(得意な人はもちろん楽しんで下さいね)。

子供にとってなにより大切なのは、ママやパパと一緒にお話を読む時間を共有したことです。

同じ本ばかり「読んで」と言われたら

読み聞かせを通じて知識や発想を広げてあげたいのに、何回でも子供が同じ本を読んでと持ってくることがあります。

そんなときは「別の本にしたら?」「これは何回も読んだでしょ」と言ってしまいそうになりますよね。

でも、子供が同じ本を読んでとせがむときはぜひ、何度でも読んであげて下さいね。大人はちょっと飽きてしまうかもしれませんが、子供の心の中では、自分の大好きな絵本をママやパパが認めてくれて、受け入れてくれたという喜びが生まれます。

またその体験は、その後、弟妹や友達などの好きなものを認めて尊重するという姿勢にもつながります。

そしてこれはおまけの効果ですが、何度も読み聞かせをするうちに、お気に入りのセリフや主人公の名前などを手がかりに、ひらがなやカタカナを覚えてしまう子も多いですよ。

おわりに

残った家事で忙しいとき、クタクタで眠いとき、読み聞かせする気力すらないこともありますよね。

しかし、文字が読めるようになると「絵本を読んであげる」といっても聞いてくれない子もたくさんいます。また小学生になると漫画やゲームの方が楽しくなり、絵本に見向きもしなくなる子も。

毎日なんてとても無理かもしれませんが、ときどきで構いませんので、ぜひ子供と一緒に絵本を開き、かけがえのない親子時間を楽しんで下さいね。

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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