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多汗症に効く市販薬は?治療方法や原因について解説

2022/08/03

「じっとしているのに大量に汗が出てくる」「脇汗が気になって好きな服を着られない」

多汗症になると、周りは涼しそうな顔をしているのに自分一人だけ大量の汗をかく場面が多く出てくるため、学校や仕事などにさまざまな影響が出てきます。

普通の制汗剤を使っても汗を十分に抑えることは難しいため、きちんとした治療が必要です。今回は、多汗症に使える市販薬について見ていきましょう。

そもそも多汗症とは?

手からしたたるほど汗が出る、じっとしているのに体がほてって大量に汗をかいてしまう。このような症状が出るのが多汗症です。シャワーを浴びたかのように頭から汗が出たり、素足で歩くとすべってしまったりするほど足の裏から発汗が見られることもあります。

多汗症の種類

多汗症には、何も原因がないのに発症する原発性多汗症と、ほかの疾患が原因で起こる続発性多汗症とがあり、原発性多汗症はさらに次のように細かく分類することが可能です。

  • 原発性腋窩多汗症
  • 原発性手掌多汗症
  • 原発性足底多汗症
  • 原発性頭部顔面多汗症

多汗症の原因

原因としては次のものが代表的です。

〈原発性多汗症の原因〉
  • 精神的な緊張
  • 辛いものを食べる
  • 自律神経バランスの乱れ
〈続発性多汗症の原因〉
  • 薬の副作用
  • パーキンソン病
  • 不安障害

このほかにもさまざまな原因があります。原発性多汗症の場合は、遺伝が原因の可能性もゼロではありません。中国の多汗症の患者のうち、17.9%に家族歴があったという研究結果もあります。

多汗症の診断基準

次の6つの項目のうち、2つ以上あてはまる場合は多汗症だと診断されます。

  1. 最初に症状がでるのが25歳以下であること
  2. 対称性に発汗がみられること
  3. 睡眠中は発汗が止まっていること
  4. 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
  5. 家族歴がみられること
  6. それらによって日常生活に支障をきたすこと

多汗のエピソードとは、たとえば授業中に滝のように一人だけ汗をかいてしまったり、手汗がすごくて紙が破れてしまったりなどのことです。汗によって何かしら影響が出ている場合は、多汗のエピソードがあると見なして問題ないでしょう。

多汗症と汗っかきとの違い

多汗症は、運動をしていてもしていなくても関係なく大量の汗をかきます。大して気温が高くなくても、精神的なストレスで汗だくになってしまうこともあるでしょう。

一方で汗っかきは、体温調節を行う際に多めに汗をかいてしまう方を指します。多汗症はれっきとした病気の1つですが、汗っかきは単なる体質です。

多汗症に使える市販薬

市販で多汗症の治療を行う場合は、医薬部外品の塩化アルミニウム液もしくは漢方薬を使用します。すぐに汗を止めたい方は塩化アルミニウム液、徐々にでもいいから多汗症を改善していきたい方は漢方薬を選ぶとよいでしょう。

塩化アルミニウム液

塩化アルミニウム液は、汗腺に蓋をすることで発汗を抑えるものです。塩化アルミニウム液の使用は、「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版」においてそれぞれ次のように推奨度が分類されています。

多汗症の種類推奨されている塩化アルミニウム液の濃度推奨度
原発性腋窩多汗症10~35%B(行うよう勧められる)
原発性手掌多汗症20~50%B(行うよう勧められる)
原発性足底多汗症20~50%C1(行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)
原発性頭部顔面多汗症10~20%B(行うよう勧められる)~C1(行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)

脇や手のひらの多汗症には、比較的汗止めの効果が出やすいようです。薬局やドラッグストアでは、オドレミン(濃度:13%)やテノール液(濃度:3.9%)などが手に入りやすいでしょう。

ネットショップが利用できる環境の方は、えびす調剤薬局から販売されている塩化アルミニウムベンザルコニウム液(濃度:20%)もよい選択肢となります。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

防已黄耆湯は、多汗症の治療に用いられる代表的な漢方薬の1つです。水分代謝に働きかけ、体内にたまっている余分な水分の排泄を促します。不要な水分を体から取り除くことで、汗を抑えるものです。体力が中等度で汗をかきやすく、筋肉にしまりがない方に向いています。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

のぼせて体が熱くなりぶわっと汗をかいてしまうような方に向いている漢方薬です。熱を冷まし、全身に栄養を運ぶ血(けつ)を補うことで体のバランスを整えて汗を抑えます。体力が中等度以下でのぼせやすく、疲れやすさやイライラしやすいなどの症状がある方向けです。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、体を動かすための必要なエネルギーの循環をよくし、こもった熱を冷ますことで汗を落ち着かせます。脳の興奮を抑える働きもあるため、不安や不眠、子供の夜泣きなどにも効果的です。体力が中等度以上あり精神的な要因で汗をかきやすい方に向いています。

医療機関で行われるその他の多汗症治療

市販薬で多汗症を対処しようとすると、塩化アルミニウム液か漢方薬くらいしか方法がありません。しかし、医療機関を受診すれば治療の選択肢は大きく広がるものです。「親に相談しづらい」「誰にも知られたくない」と思われる方もいるかと思いますが、多汗症をしっかり治療していくためには受診をおすすめします。

ワイプ製剤・塗り薬

保険適用の新しい多汗症治療薬として、ラピフォートワイプやエクロックゲルがあります。どちらも汗を出す司令塔であるアセチルコリンの働きを抑えるものです。

原発性腋窩多汗症、つまり脇汗の治療に使用できます。根本的に多汗症を治すものではありませんが、1日に1回脇に塗るだけで汗を抑えられるので、多汗症による精神的ストレスも同時にかなり減らすことができるでしょう。

イオントフォレーシス

「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版」では、原発性手掌多汗症と原発性足底多汗症に対してイオントフォレーシスの治療が推奨されています。

イオントフォレーシスとは、手や足を水道水にひたし微弱な電流を流す治療です。電流によって生じた水素イオンが汗腺に働くことで発汗を抑えます。

1回の治療につき10~20分ほどかかり、5回ほど治療を行うと効果を実感できることが多いようです。一般的には、2~3週間に1度の治療を10回ほど続けます。即効性はありませんが、大きな副作用が出にくいことが特徴です。

内服薬

原発性頭部顔面多汗症では、内服薬の使用が推奨されています。抗コリン作用によって強制的に発汗を抑えるプロバンサイン、自律神経の働きを整えるグランダキシンなどが代表です。

基本的にはイオントフォレーシスや次に紹介するボトックス注射が無効な場合に用いられます。「このタイミングだけは絶対に汗をかきたくない」という場合のお守りとして処方されることもあるため、医師に相談してみるとよいでしょう。

ボトックス注射

ボトックス注射は脇や手、足や頭など全ての部位の多汗症に使用できる治療です。汗が気になる部位にボトックス注射を行うことで、発汗を促す物質の産生を抑制し汗を抑えます。1回注射を行うだけで4~9か月ほど汗が落ち着いた状態が続くため、生活の質を大きく上げることができるでしょう。

手術

症状の程度が重く、多汗症を根本的に治療したいと考えている方には手術が勧められることもあります。汗腺や交感神経を取り除いてしまうため、高い効果が期待できると言われています。しかし、代償性発汗といって手術した部位以外のところの発汗量が増えてしまうこともあるため、メリットとデメリットをよく考慮したうえで受けることが大切です。

市販薬を1か月程度使っても効果がなかったら受診しよう

市販でも多汗症の治療は行えますが、限られた方法しかありません。1か月ほど治療しても十分な効果が見られない場合は、皮膚科を受診して治療を受けることをおすすめします。

未成年の方は親に相談しづらいこともあるかもしれませんが、きちんとした治療を受けることで汗の悩みは大きく減らすことが可能です。

まずは、勇気をもって相談するところから始めてみましょう。また、多汗症の裏にはほかの疾患が隠れているケースもまれにあります。健康を守るためにも、医療機関を受診することが大切です。

まとめ

多汗症になると、自分だけ汗だくになるので精神的にもかなり負担を感じながら毎日を送ることになります。市販では汗腺に蓋をする塩化アルミニウム液や、汗をかきやすい体質を改善する漢方薬がメインの治療法です。

これらの治療を行っても十分に汗が止まらないようでしたら、皮膚科の受診をおすすめします。専用の塗り薬やワイプ製剤、イオントフォレーシスや内服薬などさまざまな治療法があるため、きっと自分に合うものが見つかるでしょう。

 コラムニスト紹介

薬剤師ライター  岡本 妃香里 


薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

【経歴・資格・所属学会】
薬学部薬学科を卒業後、大手ドラッグストアで薬剤師として勤務。調剤やOTC医薬品を担当する。2018年にフリーランスとして独立し、現在は育児をしながら執筆業に専念。医薬品や健康食品、サプリメントから美容系まで、暮らしを健康にする情報を発信している。化粧品検定1級、スポーツファーマシストの資格も取得。

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