広島の頼れる病院・クリニック、ドクターを探すならファミリードクター |
病院・クリニック 3,945件掲載中! (2022年06月24日現在)

体のはなし

2022/06/08

私たちの体は食事をしないと、エネルギーが切れてやがて生命が維持できなくなります。 食欲と言う機能はとても大切な働きをしているのです。

あなたはなぜ食事をするのですか? 食事の時間になったから? お腹が空くから?

某テレビ局のチコちゃんが言うように『ボーと生きてるんじゃないよ?!』と叫びたいところですが、私たちは深く考えもせず、現代では大方の人が「時間が来たから食事をしなきゃ」と思って食べていると思います。

時間になっても食欲がなく食べないでいると、やせ細り、病気になります。でも、また食べ始めれば体力も回復し、パワーが戻ってきます。人間は体外から、生きるために必要なさまざまな物質を食事によって取り込み、生きるために不可欠な物質へと変換し続けているのです。

人間の体の仕組みを何となくでも知っていますか?

時々映像で紹介されることがありますが、『神様にしか作れない!!』とただただ感心して見入ってしまいます。

体はとても複雑で、小さな工場がいくつも内蔵されていますが、最小単位は細胞です。古くなった細胞は分解され、新しい細胞と入れ替わります。細胞が集まって組織を作り、組織が集まってそれぞれの器官を作り独自の働きをしています。

古くなった細胞が分解されたらそれを補うための栄養摂取が必須です。そのために食欲という生命活動を維持するための大事な機能が備わっています。食欲や摂食行動というのは脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされています。感覚情報や血糖値の低下などにより摂食中枢が刺激されると空腹感を感じ食欲が高まり、摂食行動を促すことになります。実はその昔、食欲と言うのは胃で調節されていると考えられていたことがあるようです。しかし、胃を摘出した方でも食欲を感じることから、他の器官で調節されているのだろうという事になったようです。食事をすることで血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されると、満腹感により食欲は自然と低下するようになっています。

では、なぜ食事が出来なくて低栄養になったり、食べ過ぎて病気になったりするのでしょうか?
私の好きな『貝原益軒先生』(※100年以上も前に自らが実践した健康の勧めともいうべき『養生訓』を著した儒学者)によれば、

  • 酒は微酔にのみ、半酣をかぎりとすべし。
  • 食は半飽に食ひて、十分にみつべからず。酒食ともに限を定めて、節にこゆべからず。

また食事の中身については

  • 凡ての食、淡薄なる物を好むべし。
  • 肥濃油膩の物多く食ふべからず。
  • 生冷・堅硬なる物を禁ずべし。

心は楽しまなければいけないが、からだは動かして休ませ過ぎてはいけないと言い、だいたい自分の体を甘やかしすぎてはいけないと言っています。

いくら時間に余裕があっても決まった時間に起きて、決まったように動くことが大切です。

酒もほろ酔い程度でやめておきましょう。また、これが重要なところですが、『食事半飽に食ひて。十分にみつべからず』です。食事は腹八分(若者の中では死語に近い言葉かもしれませんが)ではなく、半分くらいで良いと言っています。酒も食事も自分で食べる量を決めてそれ以上は食べないことにするのも大切だと思います。満腹になればよいとばかりに目の前にあるものを次々見境もなく食べていると胃袋はだんだんに伸びて、大きくなってしまいます。また、勢いよく食べることで、満腹中枢が作用する前に沢山の食物を胃袋に詰め込んでしまうことになります。

また、食事の中身については、『すべてのものは味の薄い物を好んで食べ、味の濃い物や脂っこいものはたくさん食べてはいけない』としています。そして、冷たい物や硬い消化の悪い物も食べないようにしようと言っています。

節度を守り、すべてに細心の注意を払い、やりたい放題にしない過ちのないように心がけるという事がとても大切なことのように思います。

一番簡単なことは、まず食べたい放題に食べるのではなく、自分にとっての適量を知って、太っていれば今より食べる量を減らす努力をすることです。

食事はいつ、だれと、どのように食べているか

食事はいつ、だれと、どのように食べているかで、体への栄養状態に大きく関わってきます。

近頃は昔のように家族そろって食事をする機会が少なくて、『孤食』のスタイルが増えています。

自分で管理がしにくい高齢者や子供にとっては、少なからず心身の健康状態に影響を及ぼすと言われています。成人であっても好きな物を好きな時に食べるような食習慣が続けば、この食の乱れは、すぐに健康状態に影響が出ると言うわけではありませんが、長期的にみると、偏りがやがて少しずつ健康な体へのマイナス要因となって弊害が表れてきます。

では、望ましい食習慣とはいったいどのようなことをいうのでしょうか?

繰り返し何度も言っていることですが、『適切な量』と『適切な内容』、また『規則正しい時間』、そして何より『美味しいと思って食べること』ではないでしょうか?

食事が十分にできていなくて「低栄養ではないか?」と思われる状態は、日々入れ替わっている爪や髪の毛に顕著に表れてきます。爪の伸びる速度は指先を使う頻度によりますが、爪が薄くて、さじ状に爪の真ん中がへこんでいるのは、鉄欠乏性貧血が疑われるそうです。また、髪の毛は低栄養状態では、乾燥し、光沢が失われ退色します。重度の場合は細くなり、抜けやすくなります。栄養状態の悪い人の皮膚も乾燥し、弾力が失われます。ビタミン類が不足している場合には皮膚炎をおこしやすかったり、発疹を起こしやすかったりします。私の子供のころはクラスの中に『おでき』とよばれる吹き出物ができたり、『青っぱな』を垂らしている子供が常に数人はいたような気がします。今思えば、きっと栄養状態が悪かったのでしょう。

現代では一般的には栄養不良の人を目にすることは少なくなりました。しかし高齢者など、寝たきりで低栄養になると長時間同じ体制で横になっているので、体とベッドの接触部分の末梢血管が閉塞して壊死を起こすことで褥瘡(いわゆる床ずれ)が出来ます。これは食事が思うように摂れず、栄養状態の悪い方に起こります。時間はかかりますが、特別な栄養補助食品を使って、少しづつ栄養状態を良くしていくしかありません。このような低栄養の状態では疾病も回復には時間がかかりますし、褥瘡の傷自体もなかなか治癒しません。

このように私たちの体は私たちが体外から摂取する食物によってできており、この体にとって必要な栄養素を適切に摂取することで我々は体という一大工場を上手に動かしているのです。 過不足なく上手にエネルギーを補給しましょう。

次回は食物の摂りすぎで少々太りすぎになっている方(肥満状態)、摂りすぎたエネルギー源を脂肪となって蓄えておられる方のメカニズムについて書いてみたいと思います。

 コラムニスト紹介

管理栄養士  伊藤 教子 


長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。

【経歴・資格・所属学会】
※経歴
広島大学大学院保健学研究科修士課程修了
介護施設、病院勤務を経て、現在内科糖尿病専門医院にて栄養食事指導に従事。

※資格
管理栄養士 / 日本糖尿病療養指導士
高血圧循環器予防療養指導士 / 栄養相談専門指導士

※所属学会
日本病態栄養学会 / 日本糖尿病学会
日本高血圧学会 / 臨床栄養協会

 ランダム記事

column/btn_column_page
トップ