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体にいい?? フィトケミカルってどういうもの?

2022/01/21

健康に良い影響を与えると言われているフィトケミカル。知っていますか?

「フィト」=植物 「ケミカル」=化学成分という意味です。フィトケミカルとは、植物が紫外線や外敵から身を守るために作り出した物質のことで、香りや色、辛味、渋みなどのもとになっています。

必須栄養素には含まれないものの、その成分は免疫力の低下や老化の原因である活性酵素を減らす強力な抗酸化力や免疫力を高める力があり、適量摂取することで健康に役立つと考えられているのです。

フィトケミカルの種類は数千以上にのぼり、ブルーベリーに含まれるアントシアニン、緑茶のカテキン、大豆イソフラボンなどがよく知られています。

フィトケミカルの種類と代表的な食材!

イソフラボン

大豆など、マメ科の植物に含まれる。イソフラボンは、強い抗酸化作用をもつポリフェノールの一種。女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることから更年期障害や骨粗鬆症の予防に効果があるとされている。

摂取のコツは、大豆の欠点は消化が悪いことです。豆腐や豆乳など加工品で摂取すると良いでしょう。

アントシアニン

ナスやブルーベリーなどに含まれる色素成分。目の網膜の色素ロドプシンの再合成を促す。強い抗酸化作用もあり老化やがんの予防効果も期待できます。

リコペン

トマトなどに含まれる色素成分。強力な抗酸化力作用があると言われている。 さらにトマトはβ-カロテン、ビタミンC、Eと三代抗酸化ビタミンを含み、血液を健康にして動脈硬化や老化防止に役立ちます。

β-カロテン

人参、かぼちゃなどに含まれており、老化防止、皮膚や粘膜、目の健康維持に役立ちます。 油と一緒に摂取するとカロテンの吸収率がアップする。

クロロフィル

ほうれん草やピーマンに含まれ、抗酸化作用、コレステロール上昇抑制作用などがある。さらにピーマンの香り成分であるピラジンには、血栓を予防し、血液をサラサラにする効果が期待されています。

アリシン

ねぎやニンニクなどに含まれる。強力な抗菌・殺菌作用があるほか、高い疲労回復作用でも知られている。 ビタミンB1が、豊富な食材(豚肉等)と組み合わせると吸収率アップ。

カテキン

緑茶の渋みの主成分。抗がん作用に加えて、血圧や血中コレステロールの上昇抑制作用、抗菌・抗ウイルス作用、抗アレルギー作用も期待されています。

リモネン

レモンなど柑橘類の皮に含まれる香り成分。免疫力向上、リラックス効果があるとされている。多くの有効成分は果皮にあるので、農薬や防かび剤を使わない国内産で皮ごと活用するのが良いでしょう。

メントール

ミントに含まれる成分。清涼感があり、抗菌・抗ウイルス作用があるとされる。

フコイダン

わかめなど海藻などに含まれるぬめり成分。食物繊維の一種で、血中コレステロール上昇抑制作用、抗がん作用、抗アレルギー作用があるとされている。

フィトケミカル豊富レシピ

フィトケミカルは頑丈な細胞膜に包まれているため、そのまま食べるだけでは吸収効率が悪く、加熱調理によって吸収効率が上がります。調理後のフィトケミカルは水に溶け出しているので、煮汁ごと食べられるスープや煮物がおすすめです。

野菜たっぷりラタトゥイユ(作り置き4人分)

材料

なす 2個
ピーマン 2個
玉ねぎ 1個
パプリカ(黄)1個分
ホールトマト缶1缶(400g)
にんにくの薄切り1かけ分
コンソメ 小さじ1
ローリエ あれば1枚
塩 少々
こしょう 少々
オリーブオイル 大さじ2

栄養価(1人前)

エネルギー 117kcal
タンパク質 2.5g
脂質 6.5g
炭水化物 15g

アレルギー

《メーカーによる違いあり:コンソメ(乳・小麦・牛肉・大豆・鶏肉)》

作り方

  1. なすは3cm幅の半月切る。玉ねぎは2cm角に切り、ピーマン、パプリカは乱切りにする。
  2. フライパンにオリーブオイルを弱火で熱し、玉ねぎ、にんにくを入れ、全体に油がまわるまで炒める。
  3. パプリカ・ピーマン・なすを加え、中火でしんなりするまで丁寧に炒める。
  4. トマトは粗くつぶして缶汁ごと加え、コンソメを加えて、サッと混ぜ合わせフタをして弱火で20分ほど煮る。汁気が足りないようであれば、途中水適量(分量外)を加える。
  5. フタを取り、1~2分軽く混ぜて、塩・こしょうで味を調える。

野菜のレモンスープ

材料

人参 50g
玉ねぎ 20g
ほうれん草 10g
レモン果汁 大さじ1
コンソメ 小さじ1/2
水 300ml
塩胡椒 少々
オリーブオイル 少々

栄養価(1人前)

エネルギー 51kcal
タンパク質 1.1g
脂質 2.3g
炭水化物 8.8g

アレルギー

ごま・大豆(サラダ油)

作り方

  1. 人参、玉ねぎを細切りにする。ほうれん草を一口大に切る。
  2. 鍋にオリーブオイルを熱して人参と玉ねぎを炒め、水、コンソメを加えて3〜4分煮る。
  3. 人参と玉ねぎに火が入ったら、ほうれん草を加えさっと煮る。
  4. 塩胡椒で味を整え、レモン汁を加えて火を止める。

特定のフィトケミカルを摂取するのではなく、バランスよくいろいろな種類を摂取することが大切です。
日々の生活のなかで意識して取り入れてみてください。

コラムニスト

管理栄養士  天野 裕葵 

給食委託会社で病院の献立作成や厨房業務に携わった後、フリーランス管理栄養士として栄養コラム執筆やレシピ開発、栄養価計算などを行なっています。
私は、管理栄養士が国家資格にも関わらず社会的地位が低いことに疑問を感じています。もっと世の中に貢献できることがあるはずです。管理栄養士の活躍が人々の毎日を健康にすると信じております。
私は、管理栄養士の専門性を活かし、栄養学の楽しさを知ってもらう、興味を持ってもらうことが大切だと感じております。
そして、栄養学を通して「食の大切さ」を伝えてゆき、「健康な毎日」の実現に繋げていきたいと思っております。


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