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食生活を便利にした添加物「食品添加物について」

2021/05/13

食品添加物には指定添加物とそのほかの添加物があります。身体への影響は未知な部分もあるなかで添加物はなぜ使われているのでしょうか?

食品添加物には指定添加物とそのほかの添加物があります。添加物はなぜ使われているのでしょうか?

添加物は食品の味をよくしたり、色をつけたり、日持ちをよくし食中毒を防止し安全に食べる目的で使われています。
現代の生活の中で「安く」「早く」「手軽に」食べられるようにする為必須なものなのです。日本で使用が認められている食品添加物は、厚生労働省が安全性と有効性を確認した「指定添加物」とそのほかの添加物とに分けられます。

指定添加物とは、国が使用してよいと認めたものです。

その他に使用可能な添加物は、使用経験の長い天然添加物である「既存添加物」、動植物から得られる香料の「天然香料」、通常は食品として使われている「一般飲食物添加物」です。

主な食品添加物の種類と用途

食用赤色2号(アマランス)、β-カロテン

食品を着色し、色調を調整する
かき氷のシロップ、ゼリー、清涼飲料水、マーガリン

亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム

ハム、ソーセージの色調・風味を改善する。
ハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ、イクラ、たらこ

次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム

食品を漂白し、白くきれいにする
かんぴょう、ドライフルーツ、こんにゃく粉、天然果汁、缶詰チェリー

アスパルテーム、サッカリンナトリウム

食品に甘味を与える
清涼飲料水、冷菓、菓子、農畜産加工食品全般

クエン酸、乳酸、二酸化炭素

食品に酸味を与える
清涼飲料水、冷菓、ゼリー、キャンディー、漬物

L -グルタミン酸ナトリウム

食品に旨みを与え、味をととのえる。
一般食品

酢酸エチル、チオール類

食品に香りをつけ、おいしさを増す
清涼飲料水、菓子

アルギン酸ナトリウム

食品を滑らかな感じや粘り気を与え、分離を防止し、安全性を向上させる
アイスクリーム、フルーツゼリー、プリン、蒲鉾

グリセリン脂肪酸エステル

水と油を均一に混ぜ合わせる
パン、ケーキ、マーガリン、アイスクリーム

炭酸アンモニウム、硝酸アルミニウム(ミョウバン)

ケーキなどをふっくらさせ、ソフトにする
パン、ケーキ類

ソルビン酸、安息香酸

カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性を高め、食中毒を予防する
ソーセージ、蒲鉾、清涼飲料水、しょうゆ

次亜塩素酸ナトリウム

食品細胞の殺菌
野菜、果実、飲料水

dl-α-トコフェロール、L-アスコルビン酸(ビタミンC)

油脂などの酸化を防ぎ、保存性をよくする
油脂含有食品、バター、魚肉ソーセージ

オルトフェニルフェノール

柑橘類などのカビの発生を防止する
柑橘類

乳酸鉄、ビタミンA、炭酸カルシウム

栄養素を強化する
麺類、強化米、粉ミルク、あめ

食品添加物は危険なものなのか?

厚生労働省では、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なう恐れのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。

食品添加物は健康を損なう恐れがないことが大前提です。通常の摂取量ならば心配ありませんが、近ごろは食品添加物を使った加工食品が増え、さまざまな組み合わせでとられるようになりました。組み合わせによって起こる危険性に関して安全性はまだ十分に研究されていません。長い期間摂取するこれからの子供への影響は未知数の部分もあります。

どのような添加物に気を付ければ良いのか?

安全性が不十分なものなど要注意食品添加物

亜硝酸ナトリウム(ソーセージ、ハム、たらこ、明太子など)
肉や魚のアミンと反応して発がん物質に変化
アスパルテーム(低カロリー飲料、ゼリー、チューインガム、チョコレートなど)
動物実験で白血球やリンパ腫など安全性に疑問あり
安息香酸ナトリウム(栄養ドリンク、炭酸飲料など)
ビタミンCと反応して発がん物質ベンゼンを生成
酸素(和菓子など)
酸素の一部に発がん性物質の過酸化水素を発生させるものあり
コチニール色素(漬物類、蒲鉾、赤く着色されたお菓子など)
原料のエンジ虫由来のタンパク質がアレルギー症状の原因に
タール色素・赤色104、黄色4など(漬物類、蒲鉾、赤く着色されたお菓子など)
英国食品基準庁が子どもの注意喚起・多動性障害との関連が疑われるとメーカーに自主規制を勧告
ナイシン(チーズ、ソース、ドレッシングなど)
安全性データが少ない。海外で定められている許容量に比べ、はるかに多い
防カビ剤・OPP、TBZ,イマザリル(輸入柑橘類)
OPPは発がん性、TBZは催奇形性、イマザリルは繁殖と行動発達に異常が見られたと報告あり
リン酸塩、重合リン酸塩(練り製品、加工肉類、生菓子類など)
腎機能低下の誘発、腎石灰症の発生率が高まるなどの報告あり

食品添加物はどう付き合ったら良いのか?

原材料と食品添加物の見分け方として、普段よく食べる加工食品の原材料表示を見てみてください。原材料名と食品添加物の項目を分けて記載してあるか、原材料名と食品添加物の間にスラッシュ(/)を入れて分けるなどしてあります。

食生活を豊かにした食品添加物全てが危険なものではありません。ですが、安全性が十分でないものがあるのも現実です。上の表で示した要注意食品添加物などはどれなのか知ることが大切です。

加工食品をとる必要のないものは選ばずとりすぎないようにすることも大切ですね。

コラムニスト

管理栄養士  天野 裕葵 

給食委託会社で病院の献立作成や厨房業務に携わった後、フリーランス管理栄養士として栄養コラム執筆やレシピ開発、栄養価計算などを行なっています。
私は、管理栄養士が国家資格にも関わらず社会的地位が低いことに疑問を感じています。もっと世の中に貢献できることがあるはずです。管理栄養士の活躍が人々の毎日を健康にすると信じております。
私は、管理栄養士の専門性を活かし、栄養学の楽しさを知ってもらう、興味を持ってもらうことが大切だと感じております。
そして、栄養学を通して「食の大切さ」を伝えてゆき、「健康な毎日」の実現に繋げていきたいと思っております。


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