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便潜血検査とはどんな検査でしょうか?陽性の場合はどうしたらいい?

2021/02/25

自治体や職場の健康診断などで行われる便潜血検査について。

こんにちは、JR海田市駅の近くの大正町におんじ内科クリニックを開院させて頂くこととなりました蔭地(おんじ)と申します。 今回は便潜血検査についてお話させていただきます。

便潜血検査は主に大腸がんを調べる検査

便潜血検査と聞くと、40歳以上の方であれば一度はこの検査をされたことがあるかもしれませんし、どうせ痔があると陽性になるからしたことがない、陽性だと大腸カメラをすすめられるからしたくない、といった方々もおられるかもしれません。みなさんご存知とは思いますが、便潜血検査は便に血液がついているかどうかを調べる検査です。なぜ調べるかというと、主には大腸がんのある人を見つけるために調べます。大腸がんは早期の小さいうちは腹痛や下血などの症状が出ることはほとんどありません。そのため、早期に発見するために、まずは便潜血検査をおすすめします。

大腸がんは40歳以上で発症リスクが増加

大腸がんは男女ともに罹患数や死亡数の順位が高く、40歳以上となると発症リスクが増加する傾向にあります。2020年に公開されたがんの統計では、2018年の女性のがん死亡数は大腸がんがもっとも多いといった結果が出ています。大腸がんは年齢が増えるごとに増加しやすいがんですが、現代では、食生活の変化に伴って、若い人でも大腸がんを発症してしまうこともあります。過度な飲酒や脂肪の多い食事はその要因とされています。40歳以上の方、食生活を含む生活習慣が乱れていると感じている方は、1年に1回便潜血検査を受けることをおすすめします。一方、統計によってばらつきはありますが、残念ながら、便潜血検査は40歳以上の30〜40%の受診にとどまり、陽性になっても約60%の方しか大腸カメラ(内視鏡)などの精密検査を受けられていないのが現状です。

便潜血検査の注意事項

便潜血検査は自宅で簡単に行うことができます。検査方法は、1日ないし2日分の便を検査専用のスティックで採取しますが、最近は1日1回ずつ2日に分けて採取する「便潜血2日法」が主流で、検査提出日を含む3日以内の便で検査します。洋式トイレでは採取しにくい、といった問題点は、トイレットペーパーを排便前に便器に厚めに敷いておく方法もあります。なお、トイレの洗浄液に便が浸かると正確な判定ができなくなってしまいます。採取するときは便の表面をまんべんなくこするようにするのがポイントです。

便潜血検査陽性の原因や大腸カメラの判断について

便潜血検査において陽性反応が出た場合、その原因として考えられるのは、多くは痔や女性の生理などでありますが、大腸がんは4〜5%、大腸ポリープは30〜40%の発見率です。決して負担の少ない検査とはいえませんが、便潜血検査陽性の方は、大腸カメラなどの精密検査をおすすめします。2回のうち、1回だけ陽性の場合は、どうしたら良いのでしょうか?といったご質問もよくあります。便潜血検査は2回のうち1回でも陽性といった場合も大腸カメラなどをおすすめします。がんは、常に出血しているわけではありません。ポリープ型のがんは便に血がつきやすいのですが、平坦ながんはつきにくい場合があります。1回目は陽性でも2回目が陰性だから大丈夫、とはいえません。大腸カメラでがんの有無を調べることが大切です。なお、大腸カメラで粘膜内がんと呼ばれるごく早期の段階のものを発見できたら、大腸カメラによる内視鏡治療で治癒できます。こういったメリットもあるため、1回でも便潜血陽性であれば大腸カメラを受けましょう。

まとめ

大腸がんは40歳以上から増えてきます。また、年齢だけではなく、食生活を含む生活習慣にも影響されます。過度な飲酒や脂肪の多い食事を控え、生活環境を見直すと同時に、1年に1回の便潜血検査を受けることをおすすめします。そして、陽性であった場合は大腸カメラを受けましょう。

コラムニスト|おんじ内科クリニック 院長:蔭地 啓市

おんじ内科クリニック

診療内容

内科・消化器内科・内視鏡内科・健康診断・特定健康診査・特定健診・胃がん検診・大腸がん検診・肺がん検診・雇用時健康診断・予防接種

所在地・アクセス

〒736-0042 安芸郡海田町南大正町3-25 Tel:082-516-5316
  • 電車でお越しの場合 JR山陽本線「海田市」駅より徒歩約9分 バスでお越しの場合 広島電鉄・芸陽バス「海田大正町」バス停より徒歩約4分
  • 当クリニック横に患者様用 無料駐車場有り (施設内総数:14台)

院長  蔭地 啓市 

はじめまして。
このたび、JR海田市駅の近くの大正町におんじ内科クリニックを開院させて頂くこととなりました。勤務医では一般内科、胃・大腸内視鏡検査、超音波検査、消化器内科を診療し、広島大学病院では消化器内科領域、特に内視鏡検査や治療、超音波検査の臨床研究に携わっておりました。当内科クリニックでは、患者さんの精神的、肉体的に負担の少ない内視鏡検査を行い、がんや大腸ポリープの早期発見や早期治療に心がけていきます。また、東広島、呉市での地域医療の経験を生かし、一般内科や高血圧をはじめ脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の改善にも取り組んでまいります。
地域の皆様のかかりつけ医として身体の不調や健康面のことなどお気軽にご相談ください。

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