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子宮がんと子宮がん検診について

2020/09/09

子宮という臓器をご存じでしょうか?今回は子宮がんと子宮がん検診についてお話します。

子宮がんには、子宮の入り口にできる‘子宮頸がん’と子宮の奥にできる‘子宮体がん’があります。以前は圧倒的に子宮頸がんの割合が高く、子宮がんと言えば子宮頸がんを指すことが多かったのですが、近年は食生活、生活様式の欧米化に伴い子宮体がんが急増しており、子宮頸がんと子宮体がんを区別して知っておくことが必要です。

子宮について

さて、子宮はどのような臓器かご存じでしょうか?子宮は筋肉でできたニワトリの卵くらいの大きさの臓器であり、内側は子宮内膜で覆われています。赤ちゃんを育てるための、いわゆる‘コブクロ’です。

子宮頸部は子宮の足側に位置し、腟粘膜、すなわち皮膚の延長であり、ここから発生する子宮頸がんの大部分は扁平上皮がんというがんです。おりものや経血により腟から侵入してくる雑菌を排除することで子宮内での感染を予防したり、排卵前にはサラサラなおりものを多量に分泌し精子を受け入れやすくするようにします。

生理時には経血を排出する通路となり、妊娠時には流早産を予防する役割もあり、さらに分娩時には産道の一部となります。一方子宮体部は子宮の頭足に位置し、子宮内膜はホルモンの影響を受ける腺組織であり、ここから発生する子宮体がんの大部分は腺がんというがんです。

エストロゲンという女性ホルモンにより子宮内膜は厚くなり、排卵後にはプロゲステロンという黄体ホルモンの作用も加わり妊娠に対して準備します。妊娠しなかった場合には子宮内膜が全て剥離しますが、これが生理です。

妊娠すると赤ちゃんの発育に併せて子宮体部は風船のように膨らみ妊娠を維持します。そして出産後には子宮が収縮する(後陣痛)ことで産後の出血量を少なくするような仕組みがあります。このように、同じ子宮という臓器の中にあっても子宮頸部と子宮体部は全く異なる役割を担っており、それぞれのがんの原因も異なれば、検診方法も異なります。

子宮がん検診

子宮頸がんは子宮がん検診の普及による早期発見、早期治療により、治療成績の向上が見られてきましたが、日本では今でも年間約11000人が子宮頸がんとなり、約2900人の女性が命を落としています(2017年がん統計)。子宮頸がんが発生する場所は直接観察、検査できることから、子宮頸がん検診(細胞診)は有用な検査となっています。がん検診に伴う痛みはほとんどありません。また、子宮頸がんの大部分はHPV(ヒトパピローマウィルス)が原因であり、前がん状態(異形成)から上皮内がん、浸潤がんと進行しますが、自然に消えることも多く、またがんになるまでには数年から長いときには十年以上時間を要することも分かっています。

すなわち、きちんと定期的な検診を受けていれば、前がん状態の段階で発見できることから、浸潤がんになるまでに手を打つことができます。このように子宮頸がん検診の有効性は確実なのですが、残念ながら我が国における子宮頸がん検診受診率はわずか40%程度です。対策型検診として子宮頸がん検診は2年ごとに各市町からの援助があり、わずかな自己負担金で検診することが可能です。是非検診を受けるようにしましょう。

一方で子宮体がんは乳がん同様ホルモン依存性のがんという側面もあり、女性ホルモンの過剰刺激が原因となりますが、この過剰刺激を受けた子宮内膜は生理によって毎月リセットされます。

しかし、月経不順や無月経が長期化すれば子宮内膜はリセットされずに刺激を受け続け、前がん状態である子宮内膜増殖症、ひいては子宮体がんにつながります。少子化、晩婚化に伴い女性ホルモンによる刺激時間が圧倒的に長くなったことが近年の子宮体がん増加の原因の一つと考えられます。一方で閉経後の子宮体部では、前がん状態を経由しない突然の子宮体がん発生も増加しています。

子宮体がん検診は、子宮頸がん検診と異なり子宮の奥まで器具を挿入して検査するため、検査に伴う痛みを伴うことがあり、一般のドッグや集団検診では実施できないこと、直接見ることができない場所の検査であるため確実な検査ができていない可能性があること、子宮内膜は月経周期に伴い多彩に変化するため、そもそも検診そのものの精度が低いこと等、様々な問題点が挙げられます。以上のことから、不正出血、月経不順等の自覚症状がある場合は産婦人科に受診し、診察状況に応じて個別に子宮体がん検診を受けることになります。

 コラムニスト紹介

さくらウィメンズクリニック 院長  大下 孝史 


「女性の生涯を支える診療科」として、2016年11月1日に、広島 五日市に開院いたしました。
さくらウィメンズクリニックは、婦人科・産科のクリニックです。
一般産婦人科をはじめ、がんの診断・フォロー・小手術まで、幅広く、そして丁寧に対応してまいります。

私たちは、「身近で気軽に相談できる存在であること」「女性の生涯を支える診療科であること」を大切にしています。
そして、地域の皆さまのお役にたてるよう、
丁寧な説明と笑顔を忘れずに、患者さま一人ひとりと真摯に向き合っていきたいと考えています。

地域の皆さまが健やかな日常生活を過ごすうえでの、お手伝いができればと考えております。
気になることは、何でもお気軽に相談いただき、お役に立てることができれば幸いです。
今後とも、当クリニックをよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】
2001年4月
• 国立大竹病院産婦人科医師
   (現 広島西医療センター)
2002年10月
• 国立病院四国がんセンター産婦人科医師(現 四国がんセンター)
2006年4月
• 広島大学病院産婦人科助教
2007年4月
• 安佐市民病院産婦人科医師、副部長
2010年4月
• 市立三次中央病院産婦人科医長
2014年4月
• JA広島総合病院産婦人科部長
2016年11月
さくらウィメンズクリニック院長

「資格」
日本産科婦人科学会産婦人科専門医
がん治療認定医機構がん治療認定医
日本産婦人科医会母体保護指定医

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