子供たちの食生活は大丈夫でしょうか?


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2020/01/15

食生活指針に謳われていることは、実際にはどれくらい実行されているのでしょうか

食生活に関する環境が驚く速さで変わってきています。私が自分の家族を例に考えてみてもかなり変わってきています。仕事で夜遅い帰宅の父親と、せめて1日一度は顔を合わせるように「朝食はみんなで食べましょう」と決めたのは長女が小学校の高学年の頃です。家族全員がゆっくり顔を見て座れる丸い大きなテーブルを作りました。しかし、直ぐに夜の塾通いやクラブ活動の朝練などでいつも誰かが抜けることが多くなりました。それでもまだコンビニやスーパーの食品売り場はそれほど発達していなくて、私はせっせと朝食やお弁当、夕食と3食を作ることを中心に家事と仕事の両立にフル回転していました。今から30年あまり前のことです。

子供たちは食生活指針に沿った食生活ができているでしょうか?

  • 家族の団らんや人との交流を大切に、おいしい食事を味わいながら食べているのでしょうか?

    「楽しいよ!」と言われそうですが、一人で食事をする子が増えているのは確かです。

  • 1日の食事リズムから、健やかな生活リズムが生まれているのでしょうか?

    朝食の欠食が多いことや夜遅い食事が気になります。

  • 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスが取れているでしょうか?

    米の消費量はかなり減っていますが、全体のエネルギー量はそれほど減っているわけではありません。

  • 野菜、果物、牛乳、乳製品、豆類、魚なども組み合わせて食事をしているでしょうか?

    子供の親世代の大人の適切な食品選択や食事の準備のための知識や技術を尋ねたところ、「全くない」や 「あまりない」と答えた人が男性7割、女性で5割見られたそうです。

  • 食塩、脂肪を含む料理は控えめになっているでしょうか?

    2020年3月に発表される食事摂取基準ではさらに塩分量が引き下げられ、男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満の予定です。

  • 日本の食文化や郷土の味は継承されているのでしょうか?

    日本全国コンビニやスーパーの味が主流になってきているように思えてなりません。

  • 食料資源は大切に、無駄や廃棄を意識しているでしょうか?

    これは大人の感覚がおおいに影響しているものですから、私も含めて考え直さなくてはいけないことだと思います。世界的に見れば食料は不足しているのですから。

「食」に関する理解を深め、子供のころから食生活を大事に考える意識を育てなくてはいけないでしょう。食事は元をただせば、『飢えを防ぐためのもの』かもしれませんが、毎日のことですから、生きるためにかなり大きなウェートを占める作業です。いろいろな意味で、その人の価値観や生き方にも関わってくることだと思います。

子供のころの食生活は、その後の食を含む生活全般にかなり影響があると思います。

今、生活習慣病の指導をしていて思うことは、子供のころの食生活がかなり影響しているということです。

離乳食で薄味にすることがその子のその後の味覚に影響するように、幼いころの食生活はとても大事だと折に触れて考えます。家庭生活の食事の問題について、厚生労働省の報告書等を読み進むうちに、昭和から平成になり親子の関わりや家庭の在り方が思った以上に大きく変化してきていると思いました。厚生労働省の『食を通じた子供の健全育成の在り方に関する検討会』報告書によると子供の食をめぐる現状は、かなり問題があるようです。小児期における肥満の増加と思春期のやせの現状や、幼児期からみられる朝食の欠食や、通塾率が増えることで夕食も含め、食事リズムや生活リズムを規則的にすることが困難となっています。また、家族そろって夕食を食べる頻度が少なくなっていること等、問題は山積みです。

ひょっとして現在の家庭の問題点は、ここから始まっているのではないでしょうか?

子供の食事の問題を調べているうちに、『こ食』ということばを見つけました。現在の家庭の食卓の問題点をすべて表しているのが『孤食』『子食』『個食』『固食』『粉食』『小食』『濃食』の7つの『こ食』ではないでしょうか。

『孤食』

家族不在で一人で食事をすることで、他人への関心や日常会話、食事のマナーを学ぶ機会を持てません。

『子食』

子どもだけで好きなように食べるため、好き嫌いを直す機会もなく偏った食事になりがち。

『個食』

家族がそろっているのに、それぞれが好き勝手に自分の食べたいものを食べていること。大抵の場合はレトルトや中食と呼ばれる総菜などが多く、好きなものばかりとなり栄養の偏りが心配です。

『固食』

自分の好きな決まったものしか食べないこと。栄養が偏りわがままな性格になり、肥満や生活習慣病を引き起こす原因ともなります。

『粉食』

パンやピザ、パスタなど小麦粉を使った主食を好んで食べること。米食と比べるとエネルギー量も高く、脂肪の多い食事になりがちです。

『小食』

食べる量が少ないこと。ダイエットなどで食べないことも含み、発育に必要な栄養も足りなくなり、無気力な子供になりがちです。

『濃食』

加工食品など、濃い味付けのものを好み、塩分や糖分が多く、味覚も衰えてエネルギーも多くなりがちで、肥満や生活習慣病につながりやすい。

『食を取りまく環境』はこの20年余りで様変わりしました。半調理品を買ってきて電子レンジで加熱したり,主菜の総菜を購入して副菜を調理するなど、便利になった分簡易化や単品化が進んでいるようです。 『食育』というと、何か教育を連想し堅苦しい感じですが、食育は生きていくための基本的な食事の仕方を教える大切なものです。食事のマナーとともに生きていく力を身につけさせることです。

毎日が難しければ週に1度でも良いので、一家団らんを含む食事の機会を設けてみませんか? 将来お子さんはその時の食事とともに、その時のことを懐かしく思い出すことでしょう。

次回は『食育』を含む現在の食の問題点と具体的な提案を考えてみます。

 コラムニスト紹介

管理栄養士  伊藤 教子 


長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでてきている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。

【経歴・資格・所属学会】
※経歴
広島大学大学院保健学研究科修士課程修了
特別養護老人ホーム勤務を経て厚生堂長崎病院にて20年間給食管理・栄養管理に従事。
現在内科糖尿病専門医院にて栄養指導に従事。

※資格
管理栄養士 / 日本糖尿病療養指導士
高血圧循環器予防療養指導士 / 栄養相談専門指導士

※所属学会
日本病態栄養学会 / 日本糖尿病学会
日本高血圧学会 / 臨床栄養協会

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