健康を維持するためには何をどれだけ食べたらよいのでしょうか?


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2020/08/19

貴方は食事をする際に食べる量を意識して食べていますか?

「出されたものを残さず食べる」「お腹がいっぱいになるまで食べる」「お金と相談しながら食べる」或いは「自分で決めた量を食べる」「もう少し食べたいくらいで止めておく」どれでしょうか?

本来、生物はそれぞれの遺伝子によって、生命を維持するためのシステムが組み込まれていて、危険なものは避けるし、生命維持に必要な糖質や脂肪はおいしいと感じるように作られています。ですから普通に考えれば、そうそう必要以上に食べ過ぎることもないし、今の世の中で、少なくともこの日本で飢え死にすることはないでしょう。

しかし、食べるものがなくて選べない時代ではないからこそ、適切に食べるものを選ぶ、食べる能力を身につけてほしいと思います。本来生物に備わっているべき食物を摂り込む能力を取り戻してほしいと思います。

私たちのエネルギーは、私たちの口から入るものでしか得られません。

私は高齢者の集まりで、特に低栄養予防の観点からこんな切り口でお話をします。

『あなたの体は何で動いていますか?』『あなたを動かしているエネルギーは何ですか?』 『車はガソリンで動いています。あなたは貴方の食べたものをエネルギーに変えて動いています』 『食べないで、動くのしんどいのは当たり前です。エネルギーが切れているのですから。』『生きている限りは日々細胞が生まれ変わっています。骨粗しょう症の薬を注射しても材料を送ってあげなければ作ることができませんよ。』『栄養の入り口は貴方の口しかないのですから』




『いつでも走れるようにしっかり食事をしましょう!』 どうですか? 『ああそうだった』と今更ながらのように、ガス欠になら ないように食事をしようと思いませんか?


車は決まった量しかガソリンを入れることができません。しかし人のお腹には少しくらいなら入ってしまいます。満腹中枢の働きを無視して、『食べたい』という欲求が勝ってしまうようです。『別腹』などと言う言葉がありますが、胃袋は成人で1.5Ⅼほどの容積の袋で、誰でもが知っているようにそれぞれ1個しかありません。食べ過ぎる食物は大抵の場合、野菜などではなく、糖質の多いものや脂質の多いエネルギーをたくさん産生するものである場合が多いでしょう。

そこで、自分にとって必要な量を意識して食べ過ぎないようにする必要があります。又、食べているつもりで、不足することも問題です。糖尿病の食事指導を例に、過不足の起きない食事の方法をお知らせします。

私は、糖尿病の食事指導を主な仕事としています。
糖尿病食は治療食と言っても特別な食事ではなく、大変健康的な食事です。この食べる量をお話する際の決め方を少し書いてみたいと思います。まず、摂取すべきエネルギー量の決め方からお示しします。前回でもお話した標準体重に作業強度をかけておよその1日の摂取エネルギー量を示します。

※標準体重は統計的にみて病気になりにくい、あなたの身長から割り出した適切な体重です。

標準体重⇒ 身長(m)×身長(m)× 22

こうして標準体重を計算したら、諸々の事情を考慮しながら、25〜30kcal/日をかけたものがその人の1日に食べるべきエネルギー量ということになります。

身体活動量の目安

  • デスクワーク中心、主婦 :25〜30kcal/kg
  • 立ち仕事が多い職業   :30〜35 kcal/kg
  • 力仕事の多い職業    :35kcal/kg〜

例えば
身長155cmで体重は63㎏の女性の場合 (主婦で、家事以外には特に活動をしていない人として)

1.55(m)×1.55(m)×22=52.9㎏(標準体重)

肥満であり、活動量も低いので25kcalをかけても良いのですが、急に厳しい摂取量を示しても実施しにくいので、標準体重52.9㎏に28kcalをかけてみます。 ⇒52.9(㎏)×28=1481(kcal)となります。これを3食で分けてみるともっとわかりやすくなります。

大まかに1500kcal/日としたら、3食/日が基本なので、1食でおよそ500kcal摂れば良いということになります。もちろんこれにプラスして間食ではなく、間食を含む量ということです。

実際の食事指導の場面では、食事の聞き取りをしながら計算をしてみると、エネルギー量よりも少ない人が多かったり、びっくりするほど食べる内容が偏っていたりします。 まあそもそも、自分の食事量を伝える場合、良くないと思っているものは過少に申告し、良いと思われる(例えば野菜等)物は過大に申告しがちなので少し控えめに聞くことが多いです。

この1日に摂取すべき目標量の数字をお伝えすると、「1食ですか?」と聞き返されたりすることもあり、患者さんにもあまり響いていませんし、実際すぐには血糖値を下げることに結びつかない場合が多いですが、時には2食から3食に変更してもらうことで徐々に血糖値が改善する場合もあります。

そこで、私たち栄養士は食事のバランスを重要視して、全体の摂取エネルギー量の50〜60%を糖質で摂りましょう。又たんぱく質は20%位 (1〜1.2g/㎏/日程度) 残りを脂質で摂りましょうということで、糖尿病の食品交換表等を示しながら食事内容を提案します。

私の頭の中にはこの交換表が円にまとまったものが入っていて、患者様の食事の聞き取りをしながらこの表に置き換えていきます。一通りお話を伺っている間におよそのエネルギー量や各栄養素、食塩摂取量の過不足が見えてきます。

糖尿病食事療法の食品交換表はとても分かりやすい食事指針になるものです。

糖尿病の食品交換表は食品を栄養素別に表1〜表6+調味料に分けて、それぞれを1つ80キロカロリーづつに分けて示してありこれを1単位と決め、予め摂取すべきエネルギー量とその栄養素の配分例を示しておき、それに沿って1日の摂取量を単位で示しそれを1食づつにして説明します。

糖尿病の食事療法の指導の際に使うことが多い食品交換表について、少しお話をさせてください。 糖尿病の食品交換表はそれぞれが1単位80kcalと決めてあり、各表の中でしか交換できません。 (例えば、ごはんを食べないので、代わりに表3の肉を増やそうということはできません)

下の指示単位配分表のように、各表の量が単位で決められています。表を超えて交換はできないということです。 糖尿病の食品交換表を基に円にまとめられた表です。1600kcalは1日の摂取量が20単位です。

糖尿病の食品交換表

クリックするとPDFが開きます。

栄養素の種類 主に炭水化物を含む食品 主にたんぱく質を含む食品
食品群 表1 表2 表3 表4
1600kcalの量 9.5単位 1.0単位 5.0単位 1.5単位
栄養素の種類 主に脂質を含む食品 ビタミンミネラルを含む食品  
食品群 表5 表6 調味料
1600kcalの量 1.0単位 1.2単位 0.8単位(できるだけ少なくします)

1500kcalの場合は80キロカロリーで除し、18.75(約19単位弱)で、まず主食の量と主菜の量を決めておきます。半分を主食として考えると9.5単位表1から、1食に3単位(米飯なら1単位が50gなので50g×3=150g)1食に150g食べることができますというように指導していきます。間違いやすいのはカボチャや小麦粉などの存在を忘れないことです。これらも含めての単位です。

表3のたんぱく質を多く含む主菜になる食品は多くても1日5単位程度までとなります。

例 朝―卵1個(1単位) 昼―焼き魚(1.5単位) 夕―豚の生姜焼き(2単位)で合計4.5単位

何も皆さんに糖尿病の食事療法に沿って食事をするようにお勧めしているのではありませんが、糖尿病でなくてもこの表を知っていると、食事をする時とても簡単に食事量が把握できます。糖尿病の指導でもこの交換表を使った指導をされる人は少ないかもしれません。

どうでしょうか? これらは基本型であって、毎食この通りにしなくてはいけないというものではありません。それにこれは食事の摂り方であって、食べたままじっと寝ていては太ってしまいます。適度に活動することが重要です。

この表はないですが、糖尿病の食品交換表はどこの本屋さんにでも売っていると思いますので、ちょっと覗いてみてください。あるいはちょっとインターネットで検索しても出てくると思います。 興味がない方には少々面倒くさい話になってしまいました。

次回はまた食事量の続きで以前にも紹介したことがありますが、我が国の『食生活指針』を分かりやすく実践するツールである『食事バランスガイド』について書きたいと思います。

 コラムニスト紹介

管理栄養士  伊藤 教子 


長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。

【経歴・資格・所属学会】
※経歴
広島大学大学院保健学研究科修士課程修了
特別養護老人ホーム勤務を経て厚生堂長崎病院にて20年間給食管理・栄養管理に従事。
現在内科糖尿病専門医院にて栄養指導に従事。

※資格
管理栄養士 / 日本糖尿病療養指導士
高血圧循環器予防療養指導士 / 栄養相談専門指導士

※所属学会
日本病態栄養学会 / 日本糖尿病学会
日本高血圧学会 / 臨床栄養協会

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