皆さん、最近、ピロリ菌という名前を耳にするかと思いますが、何かご存知ですか?
今回はこのピロリ菌について少しお話したいと思います。
正式名称は’ヘリコバクター・ピロリ’といいます。胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌です。オーストラリアのマーシャル先生とウォーレン先生が発見し、その功績で2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。胃の中では通常の菌は胃酸により死滅してしまいますが、ピロリ菌は特殊な酵素(ウレアーゼ)で身を守るため、胃の中で生きていくことができます。現在、このピロリ菌は、さまざまな研究から、胃炎、胃潰瘍や胃癌などの胃の病気に深く関っていることが分かっています。
どのような感染経路であるかはまだはっきりわかっていません。しかし、最近の研究から、口からの感染であることは間違いないようです。また、ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われており、大人になってからの日常生活・食生活ではピロリ菌の感染は起こらないと考えられています。以前は、上下水道などの衛生環境が整っていない時代に食べ物や井戸水などを介して感染すると考えられていました。現在の若い年齢層で感染率が低くなっているのは衛生環境が整備されてきたからだと言われています。衛生環境がよくなった現在の感染経路はピロリ菌感染者の唾液を介した感染(親から子への口移しなど)が主体と考えられています。
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症が起こります。これが持続し慢性胃炎となり、何年もかけて続くと萎縮性胃炎という状態となっていきます。そして胃の粘膜を防御する力が弱まり、胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めます。
内視鏡を使う方法と使わない方法とがあります。内視鏡検査時に胃の組織を採取して行う方法は、「迅速ウレアーゼ試験」「培養法」「鏡検法」の3種類があります。内視鏡を使わない方法は、「血液や尿を用いた抗体法」「尿素気試験」「便中抗原測定法」の3種類があります。いずれの検査も内視鏡検査で慢性胃炎や胃潰瘍などの診断がないと保険診療で行うことができません。
もしピロリ菌がいたら、ほとんどの症例は除菌薬の内服で駆除することができます。次回はこのピロリ菌の除菌療法についてお話します。
専門は消化器内科で、これまで特に食道がん、胃がん、大腸がんの内視鏡治療に力を入れてまいりました。たくさんの方々のがん予防と早期発見に貢献するため、当院では皆様に安心して内視鏡検査を受けていただけるよう、できる限り痛みのない、苦しくない検査を心がける所存です。
また消化器内科だけでなく、総合内科専門医として一般内科や生活習慣病の治療などにも積極的に取り組んでいきます。
地域の皆様のかかりつけ医として身体の不調や健康面のことなど些細なことでもお気軽にご相談ください。やまぐち内科クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
「ショーケン」の愛称で親しまれた俳優で歌手の萩原健一さんが、去る2019年3月26日、亡くなられました。その死因として報道されていた病名がジストです。
この報道を聞いてジストってなに?と思われた方も多くおられると思います。今回はこのジストについてお話したいと思います。 英語でGISTと表記してジストと読み...続きを読む
タレントの菊川怜さんがテレビのCMで「便秘薬には刺激性と非刺激性があるのはご存知ですか?」と言っているのを聞いたことがある方も多いではないでしょうか。
今回はこの刺激性と非刺激性の下剤についてのお話です。 薬局で買うことが出来る薬のことをOTC薬と言いますが、いままでOTCの便秘薬といえば刺激性下剤だ...続きを読む
皆さんは大腸ポリープというとどんなイメージをお持ちですか?将来がんになるものだと思っていないでしょうか。
大腸ポリープとは簡単に言うと「大腸の壁にある、盛り上がっているできもの」です。良性であっても、悪性であっても盛り上がっているものはすべてポリープと呼ばれます。そ...続きを読む
喉のつかえ感や喉の違和感を訴える方が近年増えてきています。喉は口腔や鼻の奥から食道や気管へと続く外気や食物の通り道となっています。そのため、喉の炎症である咽頭炎...続きを読む