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糖尿病性網膜症 | 症状から調べる | ファミリードクター

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は糖尿病の三大合併症の一つです。糖尿病患者は年々増加しており、予備軍を含めると糖尿病リスク者は2200万人以上にのぼると推定されています。また、糖尿病性網膜症は、糖尿病を発症してから10年以上経過している患者の50%以上に見られ、 成人の中途失明原因の主要原因の一つでもあります。

現代の日本人にとっては、身近な病気の一つと言えるでしょう。

糖尿病性網膜症の原因

糖尿病性網膜症は糖尿病の三大合併症の一つです。

  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経症

上記は糖尿病の三大合併症ですが、いずれも、長期間にわたり血中糖濃度が高い状態にあることで、毛細血管に損傷を起こすことに起因します。糖尿病性網膜症は網膜の毛細血管に損傷によって発症する糖尿病の合併症です。

糖尿病性網膜症の症状

糖尿病性網膜症は症状の進行具合によって、下記の三段階に分類されます。

  • 単純糖尿病性網膜症
  • 増殖前糖尿病性網膜症
  • 増殖糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症の初期はほぼ症状がありません。 自覚症状が現れた時には、 症状が進んでいることが殆どなので、糖尿病と診断された場合は、専門機関で必ず定期検診を受けましょう。早期に治療を受ければ、症状の進行を抑えられる場合もあります。

単純糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症の初期段階です。長期間にわり高糖度の血液に曝されることで毛細血管が傷み、網膜毛細血管瘤や微量の出血症状が顕れます。また、傷んだ毛細血管から染みだした脂質が硬化し、網膜に 「硬性白斑」と呼ばれる白い斑点が見られます。

多くは自覚症状がありません。

増殖前糖尿病性網膜症

単純糖尿病性網膜症から症状が進み、毛細血管の傷みが酷くなると、傷んだ血管を修復しようと血管壁が厚くなり、血管閉塞が起こります。毛細血管が閉塞して網膜に虚血部ができると眼底検査で軟性白斑が認められます。尚、軟性白斑とは毛細血管の閉塞により視神経線維が浮腫、膨化したものです。

基本的に自覚症状はありませんが、稀にかすみ目の症状が現れることもあります。

増殖糖尿病性網膜症

毛細血管が閉塞して網膜虚血が起こると、血液を行き渡らせる為、脈絡膜新生血管ができてきます。しかし、脈絡膜新生血管は脆い為、硝子体出血を起こし易くなります。硝子体出血では、出血量により、視力の急激な低下や飛蚊症の症状が顕れ、放置すると失明する可能性もあります。

また、脈絡膜新生血管の周囲に形成される増殖膜が網膜を引っ張り、網膜剥離が起きることもあります。網膜剥離もまた、失明の原因になります。

糖尿病性黄斑浮腫

糖尿病性網膜症は症状の進行具合に関わらず、黄斑浮腫を起こす可能性があります。黄斑とは網膜の中で最も視力に影響する部分です。黄斑浮腫が起こると、急激な視力低下に見舞われることがあります。

糖尿病性網膜症の予防と治療

糖尿病性網膜症の予防

糖尿病性網膜症は全糖尿病患者の半数近くに見られる合併症で、糖尿病を患う年数が長くなるほど糖尿病性網膜症を発症するリスクは高くなります。しかし血糖値をコントロールし、根源となる高血糖状態を抑制することで糖尿病性網膜症の発症を抑えることができます。また、単純糖尿病性網膜症の段階であれば、血糖値をコントロールすることで進行を食い止めることもできます。

加えて、重症化を防ぐ為にも糖尿病と診断されたら専門機関で欠かさず定期検診を受けることです。糖尿病性網膜症は、早期の治療で失明等の重篤な症状を抑えることができます。

糖尿病性網膜症の治療

増殖前糖尿病性網膜症や増殖糖尿病性網膜症 、糖尿病性黄斑浮腫が認められる場合に、悪化を防ぐための治療が行われます。

  • 網膜光凝固術
  • 硝子体手術
  • 硝子体内薬物注入療法

上記がよく行われる治療方法です。

網膜光凝固術は、脈絡膜新生血管形成を予防したり、形成された脈絡膜新生血管から出血しない様、血管を固める目的で行います。また、硝子体手術は増殖糖尿病性網膜症で硝子体出血がある場合、網膜剥離が起きている場合に行われる治療方法です。

さらに、ステロイドや抗VEGF抗体を硝子体に注入する薬物療法もあります。脈絡膜新生血管ができるのを抑制する効果もあると言われていますが、効果は一時的で、定期的に繰り返す必要があります。

この記事の監修

兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック 院長兵庫 秀幸

はじめまして。このたび、エキシティ広島の横・カープロード沿いのカープロードクリニックビル3階に兵庫内科・肝臓糖尿病クリニック~Life Care Clinic Hiroshima~を開院させて頂くことになりました。
2021年は医師になって30年目になります。この間、肝臓における代謝(コレステロール脂質代謝・糖質代謝、脂肪肝・炎症・線維化・発癌など)研究を行い、脂肪肝から肝炎、肝硬変、肝がんへ至るNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)を中心に基礎・臨床研究を行ってきました。肥満・内臓肥満・筋肉低下などが引き起こす高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症・脂肪肝など生活習慣病を統括管理することが肝臓を守り全身を守り、心筋梗塞・脳卒中・がんなどの致死的病気の予防になると思います。
そこで当クリニックでは、学術的実証に基づいて1に運動2に食事3に薬の基本方針で各種疾患の統括管理を行いたいと思います。運動・栄養・アンチエイジング・抗ガン対策・健康長寿のため、最新の医療情報をお届けする勉強会・講習会を行い最低限の薬でピンピンコロリを目指します。また、地域の皆様のかかりつけ医として何でもお気軽にご相談ください。

【経歴・資格・所属学会】

【経歴】
・1986年 修道高校卒業
・1992年 広島大学医学部卒業
・1992年 静岡県立総合病院(内科・外科・麻酔科)
・1996年 広島大学医学部付属病院 第一内科(現消化器代謝内科)
・1997年 広島大学大学院
・2000年 アルバート・アインシュタイン医科大学 肝臓研究センター
・2002年 広島大学病院(消化器代謝内科診療講師、総合診療科助教)
・2015年 JA広島総合病院(肝臓内科主任部長、消化器内科部長)

【資格・学会】
・医学博士
・日本内科学会専門医・指導医
・日本消化器病学会専門医・指導医・評議員
・日本消化器内視鏡学会認定医
・日本肝臓学会専門医・西部肝評議員
・日本肥満学会
・日本糖尿病学会
・日本抗加齢医学会
・佐賀大学医学部臨床教授
・しまなみ奨学財団評議員→杜の都医学振興財団評議員
・AGE測定推進協会学術アドバイザー・認定講師
・J-SMARC(日本医療戦略研究センター)理事
・FeliMedix(株) 外部取締役
・広島市医師会看護専門学校講師

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