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胆管がん | 症状から調べる | ファミリードクター

胆管がん

胆管がんは胆管の上皮に発生する悪性の腫瘍で胆道がんの一種です。肝臓で作られる胆汁と言う消化液が胆嚢に貯留されており食事を摂った際に、胆嚢が収縮することで十二指腸に胆汁が流れ食べ物の消化を助けています。胆管は肝臓内や胆嚢から十二指腸までを結んでおり、胆汁が流れる通り道となっています。胆管は直径6~8mmの細い管であるため、胆管にがんが発生すると例え小さながんであっても詰まりやすく、胆汁が貯留することで黄疸の症状を呈すことがあります。また胆汁の流れが滞ってしまうことでそこに細菌が繁殖し胆管炎という命に直結する病気になることもあります。胆管がんの発症は男女別では男性に多く、年齢別では高齢者が多い傾向があります。

がんの進行度をステージ(病期)で表すことが多いのですが、胆管がんは

  • 胆管の壁のどこまでがん細胞が到達しているか?
  • 近接する臓器への影響は?
  • 周辺のリンパ節転移の状況
  • 他の臓器への転移状況

によって4つのステージに分けられます。

胆管がんの原因

胆管がんの原因は、未だ明確に解明されておらず原因が特定されていません。しかし次の疾患等が胆道に何らかの慢性的な炎症や刺激を与えることで、胆管がんを含む胆道がん全般における発癌因子の可能性があるとして注目されています。

  • 膵・胆管合流異常(先天性の形成異常)
  • 肝内結石症(肝臓内の胆管に石ができる病気)
  • 原発性硬化性胆管炎(胆管内の炎症)
  • ウイルス性肝炎(B・C型肝炎)
  • 肝吸虫(タイ肝吸虫やシナ肝吸虫などの寄生虫)
  • トロトラスト(現在は使われなくなった造影剤)

また上記以外では大きな社会問題にもなった事件から、ジクロロプロパンが胆管がんの発癌因子の一つとして考えられています。平成 24 年に印刷工場の従業員複数名が極めて高頻度で胆管がんを発症したこの事件では、業務で塩素系有機洗浄剤が使用されており、ジクロロプロパンはその主成分の一つでした。

胆管がんの症状

胆管がんの初期症状としては黄疸(おうだん)がよく見られ、皮膚や目の白い部分に黄色い濁りがみられる症状です。自覚症状としては黄疸や尿の変色、便の白色化、かゆみなどです。そのほかにも腹痛や体重減少、倦怠感がありますが胆管がんに特別多い症状というわけではありません。異常を感じた際は早期に病院を受診しましょう。しかし自分で気づかず検診で見つかることもあるため、定期的な検診は必要です。

胆管がんの予防と治療

胆管がんの予防

胆管がんの予防については原因と同様にまだ十分な解明がなされていません。食生活との関連では脂肪分の過剰摂取が危険因子として挙げられておりますがはっきりとしたことはわかっていません。原因や予防の解明が進んでいない病気のため定期的な検診が重要です。

胆管がんの治療

胆管がんの治療のスタートはがん全般の進行度合いを表すステージ(病期)を決定するところからです。
現在最も治癒が望める治療方法は、早期発見し手術療法でがんを切除することです。胆管は肝臓から十二指腸までを結ぶ管ですから膵臓や十二指腸、肝臓などの周辺部位への広がりを精密に検査し、評価した上で必要部位を切除します。しかし、胆管がんは初期の症状に乏しいことがあり早期発見が難しいため、転移や患者さんの状況により手術不可能な場合があります。ステージ(病期)に応じた治療法を選択します。

手術療法

胆管がんは、早期に発見された場合は手術によって根治が期待できるため、手術を行うことが一般的です。しかしがんの大きさや進行具合よって肝臓や膵臓、胃や十二指腸等も合わせて切除する必要があり、大きな手術となります。

化学療法(抗がん剤による治療)

身体が手術に耐えられないと判断された場合や手術で全てのがんを取り除けない場合には、化学療法(抗がん剤治療)が行われる場合もあります。ゲムシタビン+シスプラチンを点滴する治療法が有効性のある標準治療として用いられています。
その他にも用いられる薬剤はありますが抗がん剤は、がんを死滅させる効果がある反面、副作用が重いため、効果と副作用のリスクを考慮して投与されます。

放射線治療

がんの進行を抑制する目的で放射線治療が行われる場合がありますがまだ標準治療として確立しておらず、疼痛の緩和目的に行われることもあります。

緩和治療

がんによる痛みや倦怠感など自覚症状がつよい場合に行われます。がんの治療と並行して行われることや、がんの治療が難しくなった方がなるべく苦痛なく普通の生活がおくれるよう様々な方法が検討されます。

この記事の監修

小田内科 院長忌部 航

当院は昭和26年に創立して以来地元に根差した医院です。大きな病院に行くのは抵抗をお持ちでも「ちょっと小田で診てもらってきんさいや〜」と言われ受診される患者さん、診察時に「あんたのちっちゃい頃よぅ知っとるで」と私の記憶にないことまで話をされる患者さん、私が診察室に座っているとこの医院のもつ歴史、皆様からの期待を感じます。
これまでは東京で消化器内科を専門とし内視鏡検査やエコー検査を中心に診療を行ってきました。その経験を活かし経鼻内視鏡(胃カメラ)やエコーを用いて辛くない検査を行い、患者さんにあった医療の提供を目指しています。また高血圧や糖尿病といった生活習慣病、インフルエンザなどの感染症も適切に診療し皆様に信頼されるかかりつけ医でありたいと思います。

【経歴・資格・所属学会】

※経歴
平成19年3月
金沢大学医学部卒業
平成19年4月
三井記念病院
平成21年4月
国立国際医療研究センター
平成25年4月
福島県立医科大学 会津医療センター
平成27年4月
国立国際医療研究センター
平成31年1月
小田内科勤務
令和元年5月
小田内科院長

※学会・専門医
医学博士
日本内科学会:総合内科専門医
日本消化器病学会:消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会:日本消化器内視鏡学会専門医
日本膵臓学会

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