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食道がん | 症状から調べる | ファミリードクター

食道がん

食道は、口から食べた食物の通り道で喉をこえたところから始まります。口側から頸部食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれ胃に続きます。食道の壁は内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、外膜の4層の構造になっています。

がんは内側の粘膜層から発生しますが、食道は壁が薄いため、近くにある臓器やリンパ節への転移が早くなりがちです。食道の周辺には肺や心臓等、重要な臓器が集中し、リンパ節が張り巡らされているため、食道がんは早期発見できなければ完治が難しいと考えられています。

がんの進行度をステージ(病期)で表すことが多いのですが、食道がんは

  • 食道の壁のどこまでがん細胞が到達しているか?
  • 食道周辺のリンパ節転移の状況
  • 食道からはなれた他の臓器への転移状況

によって4つのステージに分けられます。

初期で治療すれば完治の可能性が高いがんなので、早期発見が完治の鍵となります。

食道がんの原因

食道がんの主な原因は、飲酒と喫煙だと考えられています。体内でアルコールを分解する際に生成されるアセトアルデヒドは、世界保健機関(WHO)が「もっとも関連の強い発がん物質」と位置付けている物質です。そして、多くの発がん物質を吸い込むタバコと両方を嗜む人は、更に食道がんのリスクが高まります。

食道がんの症状

初期は自覚症状のない人が殆どです。進行すると、何かを飲み込む時に、胸が痛んだり、熱いものがしみたりと違和感を感じます。
そして更にがんが成長すると食道の空間を圧迫し、食べ物を飲み込むことはもちろん唾液を飲み込むことも困難になります。食べられる食事の量が減り体重が減少することもあります。

さらに周辺のリンパ節や他の臓器への転移やがんが直接影響を及ぼすことによる胸や背中の痛み、声のかすれ、咳等が起こる場合もあります。

食道がんの予防と治療

食道がんの予防

飲酒は程々に、喫煙習慣がある人は禁煙が理想です。そして、食道を刺激しないように熱いものは適度に冷まして飲み込むようにしましょう。

生活習慣の改善が大切なのはもちろんですが、初期の段階では症状のないことが多いため検査が重要です。飲酒や喫煙習慣のある方や、ご家族が喫煙されている場合は定期的な検査が望ましいです。そうでない方も少しでも異変を感じたら早めに受診するようにしましょう。

食道がんの治療

食道がんの疑いがある場合、治療に取りかかる前に必要な検査が主に2種類あります。

まずは「がんを診断する検査」です。内視鏡検査(胃カメラ)で食道がんの場所を特定し、詳細に観察した後、組織を採取しがんがあることを確定します。食道がんが見つかる方には喉のがんが見つかることもあります。どちらもお酒とたばこが危険因子であるためです。がんが重複していないかきちんと調べる必要があります。

次に必要なのが「がんの進行状況を診断する検査」です。内視鏡検査で得た情報に、CTや超音波等で全身を詳しく調べて得られた情報を追加し、がんのステージを診断し治療方法を検討します。

では、主な治療法を見てみましょう。

内視鏡手術

内視鏡を口から挿入します。 内視鏡手術は、体にメスをいれることなく完結できるため、回復が早いのがメリットです。しかし、切除する範囲が限定されるためリンパ節転移の可能性が低い早期のがんにのみ適用されます。

手術

食道がんが食道のどのあたりにあるかで切開・切除方法が異なります。食道を切除した後、残った食道に腸をつなげ再建する必要があります。がんの広がりにより手術の方法が異なりますので、手術後の体への影響も様々です。主治医の先生とよく相談しながら手術について理解されることが重要です。

放射線治療

高エネルギーの放射線を身体の外から照射してがん細胞を攻撃します。照射できる範囲にがんがおさまる場合は、食道を切除せず温存する治療ができます。しかし、がん細胞だけでなく正常な食道やその近くの肺にも影響を及ぼすことがありますので、患者さんご本人の年齢や体力を含めた状況やがんの場所や進行状況に応じどちらが適しているのか手術と比較検討されます。

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤を投与します。主に使用する場合は4通りです。

  • 手術で対応できない進行がんやがんの再発に対する治療
  • 術後にわずかながん細胞の取り残しの可能性やその後の転移の対策としての治療
  • 手術前にがんを縮小させ手術の成功率をあげるための治療
  • 放射線治療と並行しがんの完治を目指す治療

抗がん剤は、がんを死滅させる効果がある反面、副作用が重いため、効果と副作用のリスクを考慮して投与されます。

これらの治療はどれか1つの方法で行うとは限らず状況に応じて複数の治療法を併用して行うことが多くなります。

緩和治療

がんによる痛みや倦怠感など自覚症状がつよい場合に行われます。がんの治療と並行して行われることや、がんの治療が難しくなった方がなるべく苦痛なく普通の生活がおくれるよう様々な方法が検討されます。

この記事の監修

小田内科 院長忌部 航

当院は昭和26年に創立して以来地元に根差した医院です。大きな病院に行くのは抵抗をお持ちでも「ちょっと小田で診てもらってきんさいや〜」と言われ受診される患者さん、診察時に「あんたのちっちゃい頃よぅ知っとるで」と私の記憶にないことまで話をされる患者さん、私が診察室に座っているとこの医院のもつ歴史、皆様からの期待を感じます。
これまでは東京で消化器内科を専門とし内視鏡検査やエコー検査を中心に診療を行ってきました。その経験を活かし経鼻内視鏡(胃カメラ)やエコーを用いて辛くない検査を行い、患者さんにあった医療の提供を目指しています。また高血圧や糖尿病といった生活習慣病、インフルエンザなどの感染症も適切に診療し皆様に信頼されるかかりつけ医でありたいと思います。

【経歴・資格・所属学会】

※経歴
平成19年3月
金沢大学医学部卒業
平成19年4月
三井記念病院
平成21年4月
国立国際医療研究センター
平成25年4月
福島県立医科大学 会津医療センター
平成27年4月
国立国際医療研究センター
平成31年1月
小田内科勤務
令和元年5月
小田内科院長

※学会・専門医
医学博士
日本内科学会:総合内科専門医
日本消化器病学会:消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会:日本消化器内視鏡学会専門医
日本膵臓学会

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