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胃がん | 症状から調べる | ファミリードクター

胃がん

胃がんは、胃の内側の粘膜から、何らかの理由で発生します。発生初期には症状を自覚しにくく、進行してしまうことの多い恐ろしいがんです。本邦でがんに罹っている患者さんのなかでは大腸がんに次いで2番目に多いがんです。

胃はみぞおちの裏辺りに位置し、入り口は食道、出口は十二指腸に繋がる臓器です。胃の壁は内側から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜と呼ばれる層構造になっています。

進行するとがん細胞は、リンパ管や血管に入り転移します。まずは胃の周辺のリンパ節に転移し、その後肺や肝臓など他の臓器にも広がっていきます。

がん細胞は一般的に胃の壁の浅い層である粘膜から発生することが知られています。粘膜から発生した際、粘膜内に留まっているうちは血管やリンパ組織が少ないため移転の可能性は極めて低いと考えられます。転移の可能性が高まるのは、粘膜下層に到達した時です。それでも、この層のリンパ節は胃をとりまく形状のため、転移の範囲が限られ、切除することで完治が見込める可能性が高いです。ですが、固有筋層から外側に進むと切除しても完治するのが難しく、再発の可能性も高くなります。粘膜下層から内側にあるがんを早期がん、その外側にあるがんを進行がんと言います。

がんの進行度をステージ(病期)で表すことが多いのですが、胃がんは

  • 胃壁のどこまでがん細胞が到達しているか?
  • 胃周辺のリンパ節転移の状況
  • 胃からはなれた他の臓器への転移状況

によって4つのステージに分けられます。

初期で治療すれば完治の可能性が高いがんなので、早期発見が完治の鍵となります。

胃がんの原因

一番の危険因子と考えられているのが、ヘリコバクターピロリ菌の感染です。ピロリ菌は、胃粘膜で増殖し、炎症をおこします。井戸水や有機野菜などを幼少時に摂取した人に感染が多く認められ、50歳代以上の人では40%程度、さらに60歳以上では60%程度の人に感染しています。

またがんの発生には遺伝的な要素も関係しているため、ご家族に胃がんの方がいらっしゃる場合は注意が必要でしょう。

胃がんの症状

無症状であったり通常の胃の不調と症状が似ているため、発見が遅れがちな胃がん。早期発見のために、注意したい症状をチェックしてみましょう。

  • 胃の不快感、痛み、吐き気
  • 食欲減退
  • 体重減少
  • 便が黒くなる
  • 食事で腹部が張る

食事の量に変化がないのに体重が減る場合は、がんに栄養が消費されてる可能性があります。また、便が黒くなる場合はがんからの出血が疑われ、食事を摂るとお腹が張る場合は、胃の出口付近のがんによって食べ物の通りが悪くなっている可能性があるため注意が必要です。

しかし症状がないことが多く、なにかしらの症状を自覚したときにはがんが進行していることが多いため1度は胃カメラやピロリ菌の検査を行ったほうが良いでしょう。胃がん検診や人間ドックを活用することも大切です。

胃がんの治療と予防

胃がんの治療

胃がんの疑いがある場合、治療に取りかかる前に必要な検査が主に2種類あります。
まずは「がんを診断する検査」です。内視鏡検査(胃カメラ)で胃がんの場所を特定し、詳細に観察した後、組織を採取しがんがあることを確定します。

次に必要なのが「がんの進行状況を診断する検査」です。内視鏡検査で得た情報に、CTや超音波等で全身を詳しく調べて得られた情報を追加し、がんのステージを診断し治療方法を検討します。

では、主な治療法を見てみましょう。

内視鏡手術

内視鏡を口から挿入します。内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という方法があります。病変の場所や大きさによって治療法が選択されます。

内視鏡手術は、体にメスをいれることなく完結できるため、回復が早いのがメリットです。しかし、切除する範囲が限定されるためリンパ節転移の可能性が低く一括切除できる早期のがんにのみ適用されます。

開腹手術

開腹手術は、状態を観察しやすく、がんそのものだけでなく周囲の疑わしいリンパ節や組織も取り除く郭清が行える等がメリットです。どう切除するかは進行度合い等により判断します。

腹腔鏡手術

腹部にカメラや手術器具等を挿入するための5ミリから12ミリ程度の穴をあけ、モニター画像を見ながら手術を行います。
開腹手術か腹腔鏡手術かどちらを選択するかはがんの状況などから総合的に判断されます。

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤を投与します。主に使用する場合は3通りです。

  • 手術で対応できない進行がんやがんの再発に対する治療
  • 術後にわずかながん細胞の取り残しの可能性やその後の転移の対策としての治療
  • 手術前にがんを縮小させ手術の成功率をあげるための治療

抗がん剤は、がんを死滅させる効果がある反面、副作用が重いため、効果と副作用のリスクを考慮して投与されます。

緩和治療

がんによる痛みや倦怠感など自覚症状がつよい場合に行われます。がんの治療と並行して行われることや、がんの治療が難しくなった方がなるべく苦痛なく普通の生活がおくれるよう様々な方法が検討されます。

胃がんの予防

何よりもまず、定期的な検診を心がけます。

また、ピロリ菌が感染している人は、早めの除菌が有効です。ピロリ菌感染の可能性が高い人は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断された人、胃がんやピロリ菌感染の経験があるご家族がいる人等です。

この記事の監修

小田内科 院長忌部 航

当院は昭和26年に創立して以来地元に根差した医院です。大きな病院に行くのは抵抗をお持ちでも「ちょっと小田で診てもらってきんさいや〜」と言われ受診される患者さん、診察時に「あんたのちっちゃい頃よぅ知っとるで」と私の記憶にないことまで話をされる患者さん、私が診察室に座っているとこの医院のもつ歴史、皆様からの期待を感じます。
これまでは東京で消化器内科を専門とし内視鏡検査やエコー検査を中心に診療を行ってきました。その経験を活かし最新の経鼻内視鏡(胃カメラ)やエコーを用いて辛くない検査を行い、患者さんにあった医療の提供を目指しています。また高血圧や糖尿病といった生活習慣病、インフルエンザなどの感染症も適切に診療し皆様に信頼されるかかりつけ医でありたいと思います。

【経歴・資格・所属学会】

※経歴
平成19年3月
金沢大学医学部卒業
平成19年4月
三井記念病院
平成21年4月
国立国際医療研究センター
平成25年4月
福島県立医科大学 会津医療センター
平成27年4月
国立国際医療研究センター
平成31年1月
小田内科勤務
令和元年5月
小田内科院長

※学会・専門医
医学博士
日本内科学会:総合内科専門医
日本消化器病学会:消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会:日本消化器内視鏡学会専門医
日本膵臓学会

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