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血友病 | 症状から調べる | ファミリードクター

血友病

血友病は、血液を固めるために必要な蛋白質である血液凝固因子の不足によって出血が止まりにくくなる病気です。生まれつきの病気であり、早い時には乳幼児期から出血症状が出現します。血液凝固因子は13種類あり、そのうち第Ⅷ因子が不足しているものを血友病A、第Ⅸ因子が不足しているものを血友病Bと呼びます。2019年の調査では、日本国内の血友病患者さんは約6,600人であると報告されています。

原因

第Ⅷ因子または第Ⅸ因子の遺伝子異常により、第Ⅷ因子や第Ⅸ因子がうまく作られなくなることが原因です。
第Ⅷ因子と第Ⅸ因子の遺伝子は、どちらも性別を決定する性染色体(X染色体とY染色体)のX染色体に含まれています。性染色体は、男性はXY、女性はXXの組み合わせを持っていますが、男性はX染色体が1つしかないので、遺伝子異常があると血友病を発症します。一方、女性はX染色体が2つあるため、どちらか片方が異常でも、もう一つが働くために症状が出にくくなります。そのため、血友病患者さんのほとんどは男性となります。原因となる異常遺伝子を持つ母親(保因者)から男性に受け継がれて発症することが多いですが、遺伝子の突然変異によって発症する場合もあります。

症状

血友病の出血症状の多くは内出血で、最も特徴的な症状は関節内出血です。関節内出血を繰り返すと血友病性関節症を引き起こし、身体活動への影響が出てきます。その他、筋肉内出血、頭蓋内出血、鼻出血、消化管出血、皮下出血など、全身で様々な出血症状が見られます。

検査・診断

血液凝固系の検査として、まずプロトロンビン時間(PT)と活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)(どちらも採血した血液に固まるよう命令を与える物質を加え、血液が固まるまでの時間を測定する検査)を行います。そして、PTが正常でAPTTが通常よりも長くなると血友病を疑い、血液凝固因子の活性(どの程度働いているか)を調べる検査を行います。第Ⅷ因子活性が40%未満であれば血友病A、第Ⅸ因子活性が40%未満であれば血友病Bと診断されます。凝固因子の活性値によって血友病の重症度が判断され、1%未満を重症、5%未満を中等症、5%以上を軽症と分類されます。

治療

不足している第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子を濃縮した製剤を注射して補う補充療法を行います。これらの薬剤を定期的に注射することで、出血しないように予防的治療をすることが基本となります。定期的な補充療法をしていても出血した場合には、できるだけ速やかに凝固因子濃縮製剤を追加で注射して止血する必要があります。インヒビター(凝固因子に対する抗体)ができた場合は、第Ⅷ因子・第Ⅸ因子濃縮製剤が効かなくなるため、出血時にバイパス療法という別の凝固因子製剤を注射することがあります。
度重なる出血で関節に異常が生じた場合は、整形外科での治療も必要となります。滑膜切除術や人工関節置換術が行われることもあります。

予防・生活上の注意

患者さんにとって出血することはリスクが高いので、なるべく怪我を避ける必要があります。日常のスポーツとして、ぶつかり合うラグビーや柔道などの格闘技は勧められませんが、水泳やウオーキングなどは勧められます。
凝固因子製剤の定期的な注射をしていても出血症状が出現した場合には、できるだけ速やかに凝固因子製剤を追加注射して止血する必要があります。止血が困難な場合や出血した部位によっては、早めに主治医の先生に連絡を取るようにしてください。

この記事の監修

のだ内科ファミリークリニック 院長野田 昌昭

2018年3月に西区井口明神で「のだ内科ファミリークリニック」を開院させていただきました院長の野田昌昭と申します。
広島大学医学部を卒業後、内科・血液内科を中心に長年数多くの診療に携わってきた経験を生かし、お子さまからご年配の方までご家族で気軽に訪れて、何でも相談できる明るいクリニックを目指したいと考えております。地域のみなさまの健康をサポートする、頼れる「かかりつけ医」となれるよう努力研鑽してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【経歴・資格・所属学会】

【経歴】
昭和58年 広島大学附属高校卒業
平成元年 広島大学医学部卒業
平成8年 広島大学原医研血液内科大学院修了
平成8年 国立大竹病院 内科医師
平成10年 広島大学原医研血液内科 助手
平成10年 米国ウィスコンシン州Blood Research Institute留学
平成12年 国立大竹病院 内科医師
平成15年 社会保険広島市民病院 健康管理センター副部長
平成17年 広島市立広島市民病院 内科部長
平成25年 広島市立広島市民病院 血液内科主任部長
平成29年 草津病院 内科医師
平成30年3月 のだ内科ファミリークリニック開院

【資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本血液学会専門医・指導医
日本感染症学会専門医
日本内科学会中国支部評議員
日本血液学会中国四国支部評議員
日本医師会認定産業医
身体障害者福祉法指定医「免疫機能障害」
広島県もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
広島県がんよろず相談医

【所属学会】
日本内科学会
日本血液学会
日本感染症学会

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