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保険診療を理解する

保険診療を理解する

保険診療を理解する

保険医、保険医療機関として保険診療、保険請求を行うには、健康保険法等の各種関係法令に基づく必要があります。これらの関係法令を知らずに診療を行っていれば、行政処分を受ける可能性があります。
保険医登録・保険医療機関指定の取り消し処分の基準は「故意に不正又は不当な診療(診療報酬の請求)を行ったもの」「重大な過失により不正又は不当な診療(診療報酬の請求)をしばしば行ったもの」になります。
開業医であっても勤務医であっても保険診療自体に変わりはありませんが、クリニックの院長として法令に則った診療体制を構築するためにも、保険診療について理解しておきましょう。

保険診療を行う前提となる関係法令

保険診療の前提として、医師法や医療法、医薬品医療機器法なども遵守する必要があります。
以下に主なものをいくつか列挙します。

医師法 第19条 応召義務等

「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならない。診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」

正当な理由なく診療を拒否する事が認められないのはこの文面が根拠となっています。

医師法 第20条 無診察治療等の禁止

「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない。」

状態変化がなく、患者本人がお薬のみを希望する場合であっても必ず診察を行ったうえで処方せんを交付する必要があります。

医師法 第24条 診療録の記載及び保存

「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」

診療録に記載がなければ診療の事実を証明する事ができません。特に医療安全上の問題が生じた場合などは診療録の記載内容が重要視される場合もあります。
また、診療報酬を算定するにあたり算定要件となっている指導の内容を記載しておかなければ、個別指導等の調査時に指摘され診療報酬の返還を行わなければならなくなる可能性もあります。

療養担当規則について

保険医の責務として

「保険医療機関において診療に従事する保険医は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療に当たらなければならない」とされています。

保険医療機関の責務として

「従事する保険医に厚生労働省令で定めるところにより、診療にあたらせるほか、厚生労働省で定めるところにより、療養の給付を担当しなければならない」とされています。

ここでいう厚生労働省令が「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療養担当規則)であり、保険診療を行うに当たって、保険医療機関と保険医が遵守すべき基本的事項を定めたものになります。

保険診療を行う前提となる関係法令

保険診療の前提として、医師法や医療法、医薬品医療機器法なども遵守する必要があります。
以下に主なものをいくつか列挙します。

療養の給付の担当方針(第2条)

保険医療機関は、懇切丁寧に療養の給付を担当しなければならない。
保険医療機関が担当する療養の給付は、患者の療養上妥当適切なものでなければならない。

経済上の利益の提供による誘引の禁止(第2条の4の2)

保険医療機関は、患者に対して、一部負担金の額に応じて収益業務に係る物品の対価の額の値引きをする等、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により、自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。

診療録に記載がなければ診療の事実を証明する事ができません。特に医療安全上の問題が生じた場合などは診療録の記載内容が重要視される場合もあります。
また、診療報酬を算定するにあたり算定要件となっている指導の内容を記載しておかなければ、個別指導等の調査時に指摘され診療報酬の返還を行わなければならなくなる可能性もあります。

特定の保険薬局への患者誘導の禁止(第2条の5、第19条の3)

処方箋の交付(第23条)

患者に対して、「特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等」を行ったり、「指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益」を受けたりすることは、療養担当規則により禁止されている。

「門前薬局で処方を受けてください」などクリニックが調剤する薬局を指示することは禁止されています。

診療録の記載及び整備、帳簿等の保存(第8条、第9条、第22条)

保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく、必要な事項を診療録に記載しなければならない。また、保険医療機関は、これらの診療録を保険診療以外( 自費診療等) の診療録と区別して整備し、患者の診療録についてはその完結の日から5 年間、療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録についてはその完結の日から3年間保存しなければならない。

健康診断の禁止(第20条)

健康診断は、療養の給付の対象として行ってはならない。

濃厚(過剰) 診療の禁止( 第20 条)

検査、投薬、注射、手術・処置等は、診療上の必要性を十分考慮した上で行う必要がある。

まとめ

基本的な診療の流れや留意点は、療養担当規則に則って行う必要があります。
その他にも留意すべき内容もありますので、開業前に一読しておくと良いと思います。

この記事の執筆・監修

ユアーズブレーン

ユアーズブレーンは広島市中区に事務所を構えるコンサルティング会社です。広島県内はもとより中国・四国エリアを中心に、大学病院から地域密着型の病院やクリニックに至るまで、それぞれの規模や特性に合ったかたちで医療機関の皆様がより充実した医療を提供できるよう、各種支援コンサルティングを提供しています。病院・クリニックにおいて、開業・経営・事業承継などでお困りの際はお気軽にご相談ください。

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