家で学校のことを話さない子。聞き出すべき?そのままでいい?

2025/07/18

今日学校であったことをうるさいくらいに話してくれる子と、まったく自分から話そうとせず、聞いても「別に」「忘れた」くらいしか言わない子。

きょうだいでも個人差が大きく反応はいろいろですよね。

保育園や幼稚園では連絡ノートや送迎時などできめ細かく情報を共有できたのと比べて、小学校になると、あまり家で学校のことを話してくれない子のママ・パパは様子が分からず少し心配なのではないでしょうか?

そのままでも良いのか、工夫して聞き出すべきなのか?注意すべきケースなども含めて、子どもの心理やおすすめの対応を紹介します。

「聞けば話してくれる子」の心理とおすすめの対応

今日あったことや最近の学校でのできごとを「自分からは話さないけど、親が聞けば答える」という子。

でもこれは、話せない/話したくないような問題が学校で起きているというよりは、そもそも報告する必要性を感じていなかったり、言語化して説明するのが単に苦手だったりする可能性が高いです。

また、特に小学校低学年の子にとっては、学校で1日にさまざまなできごとがあった中から親が聞きたいであろうこと(新しく勉強したことは何か、友達と仲良くやっているのか、給食は全部食べられたのか…など)を選んで話すのは意外に難しいもの。

そのため、ちょっと考えてみたものの「わかんない」「外をトンボが飛んでた」などの答えが返ってきて、親としてはガクッとなることも。 こういう場合、「今日はどうだった?」などの漠然とした質問ではなく、「2時間目は図工だったんだよね。何の絵を描いたの?」のように具体的に聞くと答えやすくなります。

「パパの今日の昼ごはんは初めてのお店でカレーを食べたよ。思ったより辛くてびっくりしちゃった。給食のカレーは辛口?甘口?」など、話題のきっかけとして、パパやママの日常を先に話すのも良いですね。

「聞いても話してくれない子」の心の中は?

さらに年齢が上がってくると、いくら聞いても「別に」「普通」しか答えてくれない子も増えてきます。

小学校3~4年生のいわゆる「ギャングエイジ」といわれる年代は、それまでの家庭や親の価値観だけでなく、友達や仲間集団の価値観を取り入れ優先しはじめる時期。

この時期の子が、親に内緒で仲間内の秘密を持とうとするのは、ある意味正常な発達でもあり、一概に「叱られるような悪いことをしているから親に言えない」とは限りません。

また5~6年生から中学生にかけては思春期にさしかかり、精神的な自立に向けて、親の干渉を避けるようになります。もちろん親の方では干渉しているつもりはないと思いますが、ポロッと口にした話に「こうした方がいいんじゃない?」とアドバイスしただけでも「批判」と受け止めてしまうことも。

さらに思春期以降は、同年代のクラスメイトと自分を比べて劣等感を抱く子も少なくありません。テストの順位・部活のレギュラー争い・容姿など、他人から評価される場面は年齢とともに増えていきます。「自分はダメだ…」と感じていることを家で再び話題にしたくない気持ちは大人でも分かりますよね。

こういう時は、無理に情報を聞き出そうとせず、ゲームでもスイーツでもよいので「子どもの好きなことについて世間話をする」を目標にするくらいが良さそうです。

日頃から「好きなことを受け入れてもらえている」と感じている相手との間には、いわゆる「心理的安全性」が確立され、本音や悩みを話しやすくなるでしょう。

「とはいうものの、やっぱり心配…」そんなときは

あまり学校のことを話さない子には、質問攻めを避け、なにげない会話から学校のようすをうかがい知るのがおすすめ…とはいえ、もし学校でトラブルがあった場合には、何も話してくれないと対応が遅れてしまい心配ですよね。

学校側にも、個人懇談などの機会に、担任の先生へ「あまり学校のことを話さない子なので、ちょっとしたことでも教えていただけると助かります」と伝えておくとより安心です。

同じく、幼なじみのママ友など、信頼できる相手には「もし〇〇ちゃんからうちの子のことで何か聞いたら教えてね」と頼んでおきましょう。

お子さん自身に対しても「困ったらいつでも言ってね」というメッセージを常に伝えておきたいですね。

おわりに

小学校・中学校と成長するにつれて、親が直接学校での子どものようすを見る機会は減りがち。あまり学校のことを話さないタイプのお子さんだと、ママやパパはちょっと心配かもしれません。

しかし、それは子ども自身の世界が確立していく自然な成長のしるしでもあります。

逐一話をしてくれなくても、できるだけリラックスした会話を心がけて、小さなサインは見逃さず、必要な時には学校と連携する…という“ほどよい距離感”を保ちながら子どもの自立を見守りたいですね。

  • カテゴリー:育児・子育て 

コラムニスト

認定子育てアドバイザー/育児教育ライター  高谷みえこ 

私が結婚・出産を経験したのは今から20年前の2000年。当時は今のようにインターネットやSNSが発達しておらず、育児書以外での情報源は雑誌くらいという限られたものでした。

娘たちが小さい頃はいわゆる「ワンオペ育児(核家族で平日は母親が1人で家事や育児を担うこと)」で、娘たちには喘息やアレルギーなどの持病もあり、当時は本当に毎日大変でした。

親にとって、妊娠~出産から赤ちゃんのお世話や成長発達・幼児の「イヤイヤ期」やトイレトレーニング・園や学校でのトラブル・ママ友付き合いまで、育児の悩みや苦労はその時々で大変大きなものだと思います。

しかし、せっかく工夫してその時期を乗り越えても、子どもの成長ステージにつれ受験や教育費など次々と新しい課題が現れ、過去の悩みは記憶の隅に追いやられがち。次の世代に伝えていく機会はなかなか得られません。

まさに今、かつての自分のように悩んでいるママ・パパがいたなら、自分の経験と知識から少しでも役に立ちたい…という思いから、お役立ち情報や先輩たちの体験談をもとにした解決のヒントなどを、WEBメディアでライターとして発信するようになりました。

より的確で悩みに寄り添ったアドバイスができるよう、NPO法人日本子育てアドバイザー協会の「認定子育てアドバイザー」資格も取得。発達心理学や医学・行政支援などに関する幅広い知識を身につけています。

現在は、育児教育ライターとして子育て情報やコラムを年間100本以上連載中。

かつての自分のように子育てで悩むママやパパへ、正しい知識に基づき心がふわっと軽くなるようなあたたかみのある記事をお届けしていきたいと思います。

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