子どもは突然高熱を出すことがよくあります。「昼間は元気だったのになんで?」「うちの子はどうしてよく熱を出すの?」と悩んでいるママやパパも多いのではないでしょうか。
本記事では、子どもがよく熱を出す理由や子どもの発熱時に疑われる病気、子どもが熱を出した時に観察すべきポイントについてご紹介します。
そもそも、なぜ子どもはよく熱を出すのでしょうか。
まず、免疫機能が未熟であることが挙げられます。生後6か月頃まではママからもらった免疫で体を守っているため、あまり病気をすることがありません。しかし、生後6か月以降、ママからもらった免疫が失われていくため、まだ十分な免疫機能を確立出来ない乳幼児は、どうしても病気にかかりやすくなってしまう訳です。
次に、体温調節の機能が未熟であることが挙げられます。成長するにつれてうまく体温調節ができるようになり、熱が出にくくなりますが、幼い子どもはウイルスや細菌に感染すると、体温調節がうまくいかず、すぐに高熱になりがちです。
最後に、子どもは体内で産生されるエネルギー量が多いことが挙げられます。そもそも、子どもは平熱が高く、少し熱が上がるだけでかなりの高熱になってしまう訳です。
「大人の発熱は、感染症以外にも様々な病気のサインであることが多々ありますが、子どもの場合は、ウイルスや細菌による感染が原因であることがほとんどです。」
インフルエンザは通年、12月から流行が始まり3月頃まで続く感染症です。子どもは免疫力が弱いことに加え、集団行動を伴うため、毎年流行が起こります。
主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですが、感染者と長時間換気の悪い密閉された空間で過ごすことで、稀に空気感染するケースもあります。比較的感染力が強く、流行時は特に、しっかりと栄養や睡眠をとり、免疫力を高めておくことが大切です。
症状は風邪に似ていますが、突然38℃〜40℃の高熱が出ることが特徴です。また、発熱に伴い、関節痛や筋肉痛といった症状が現れる場合もあります。インフルエンザには抗ウイルス薬が開発されており、年齢や成長度合い、症状によって医師の判断で使用されます。
基本的に3~4日程度で解熱し、自然治癒しますが、高熱が続き、重篤な合併症を引き起こす可能性もありますので、周囲でインフルエンザが流行している中で突発的な高熱が出た際には、医療機関を受診して必要に応じて検査を受けると良いでしょう。
また、インフルエンザに罹患した場合、まれに脳炎・脳症をきたしたり、異常行動を認めたり、年齢が大きくても熱性けいれんを起こすことがあります。インフルエンザと診断されたら、少なくとも2日間は子どもが一人にならないように配慮することが大切です。
インフルエンザワクチンを接種することにより、重症化や死亡率を下げられますので、流行前に積極的に接種しましょう。
流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスに感染することで耳下腺や顎下腺、舌下腺が炎症を起こす病気で、一般的におたふくかぜと言われます。主な感染経路は飛沫感染で、感染すると終生免疫を獲得するとされています。
感染すると、2〜3週間の潜伏期間の後、微熱や倦怠等の前駆症状が1〜2日間続き、耳の横から顎にかけて大きく腫れてきます。
主に上記のような症状が特徴的な病気です。特効薬はなく対症療法によって自然治癒を待ちます。
子どもが感染した場合、基本的に1〜2週間で治りますが、稀に重篤な合併症を引き起こすことがあります。ムンプス難聴、無菌性髄膜炎、膵炎、思春期以降では男性で精巣炎、女性で卵巣炎などは注意が必要な合併症です。 ワクチンは1歳から接種できます。流行性耳下腺炎はワクチン接種によって高確率で予防できますので、接種可能な年齢になったらすぐにワクチンを接種すると安心でしょう。
食事は軟かいものを選び、痛みを増強させてしまうので、辛いもの、酸っぱいもの、固いものは避けましょう。顔の腫れや痛みが辛い場合は、患部を冷却しましょう。
風邪の一種で、RSウイルスが呼吸器に感染して発症する感染症です。1歳までに50%が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染すると言われています。初夏から流行が始まり初秋から初春にかけて流行が続きます。風邪のような症状が数日続き、ほとんどの場合は軽症のうちに治癒しますが、1歳未満で感染した場合、重症化するリスクがあるため、呼吸がゼーゼーして苦しそうなときは早めに医療機関を受診するなど注意が必要です。
ヘルパンギーナは子どもを中心に夏に流行する疾病の一つで、後ほどご紹介する咽頭結膜熱と合わせて、子どもの二大夏風邪と呼ばれる疾病です。感染後3〜6日の潜伏期間の後、39℃以上の突然の発熱が見られます。高熱が1〜3日続き、喉に小さな水疱ができ、強い痛みを認めることが特徴です。
食事は、のどごしが良く刺激の少ない物を与えましょう。喉の痛みが強く食事や水分の摂取が難しい場合、脱水症状が起こる場合もあります。水分の摂取すら難しく、尿量が減少するような場合は、補液が必要になる場合がありますので、医療機関を早めに受診しましょう。また、高熱が続くため熱性けいれんを引き起こすこともあります。
子どもが突然けいれんすると慌ててしまいますが、通常は5分以内で自然におさまりますので、落ち着いて対処しましょう。5分以内におさまり、その後の様子も普段と変わりなければ、通常の診療時間内に医療機関に相談しましょう。もしも5分以上けいれんが続く場合は救急車を呼びましょう。
アデノウイルスは風邪の原因ウイルスの一つです。症状は一般的な風邪と比較して重く、様々な症状を引き起こします。
上記がアデノウイルス感染の主な病名・症状です。
高熱が4〜7日続くことがありますが、特効薬はなく、対症療法で自然治癒を待ちます。高熱や胃腸炎で食事が取れない場合は経口補水液などの水分をしっかり摂取し、症状が落ち着くまで様子をみましょう。
咽頭結膜熱は、上記で述べた通りアデノウイルス感染症の一つです。 プール熱と呼ばれることからもわかるようにプールでも感染しますが、他の風邪と同様に、咳やくしゃみ等、飛沫感染や接触感染の感染経路もあります。
アデノウイルス感染症のうち上記のような症状が見られる場合、咽頭結膜熱と診断されます。
生後6か月から1歳の乳幼児によく見られる感染症で、生まれて初めて罹患した疾病が突発性発疹であるケースも多くあります。免疫機能が未発達の乳幼児に特有の疾病で、通常、3歳を過ぎての発症は見られません。ほとんどの大人が体内にウイルスを持っていると言われており、感染経路は多くの場合、両親など密に接する家族からと考えられています。10日程度の潜伏期間の後、突然38℃~40℃の高熱が出ます。熱は3、4日間で下がりますが、解熱後しばらくすると主にお腹や背中など全身に発疹が現れます。通常、発疹は1週間以内に治まります。突発性発疹の症状は多くは発熱と発疹のみで、咳や鼻水の症状は見られないことが多いです。
溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌が喉に感染する感染症です。
上記の症状がよく見られ、基本的に咳や鼻水は出ません。溶連菌感染症は抗生物質を服用することで、比較的すぐに寛解します。
しかし、体内に細菌が残った状態で抗生物質の服用を止めてしまうと、再発することや、リウマチ熱や腎炎等の続発症を発症することがあります。抗生物質の服用期間は薬の種類によって変わりますが最低7~10日間です。症状が治まったからといって自己判断で服用を止めたりせず、必ず医師に指示された量の抗生物質を服用するようにしてください。
子どもが熱を出すと慌てて病院へ行きたくなってしまいますが、体力が落ちている時に病院に行くことは、他の感染症に感染してしまうリスクがあります。また、病院へ行くこと自体が子どもの負担になる場合もあります。
上記ができている場合は、すぐに病院へ行く必要はありません。家でゆっくり休ませて様子を見ましょう。
子どもの様子を観察し、下記の症状が見られる場合は病院へ連れていきましょう。
上記症状がみられ、必要と判断した場合は、朝まで待たずに夜間でも急患対応している病院を受診しましょう。
結論から述べると、基本的に解熱剤は使わない方が良いでしょう。
高熱が出ることは、子どもの体内で、免疫機能がウイルスや細菌と戦っている証拠です。高熱によりウイルスや細菌が死滅していくため、せっかく出した熱をむやみに下げていると病気が長引いてしまうことがあります。高熱が続くと、脳に影響を及ぼすのではないかと心配になるかもしれませんが、感染症で熱が出ている場合、脳に影響を及ぼすほどの高熱になることはありません。
苦しそうな様子を見るのはつらいですが、子どもが安静に休めるよう、落ち着いて対処しましょう。
ただし、下記のような場合には解熱剤を使うことを検討してください。
自宅で療養すると良い方法をご紹介します。
熱が上がっている途中は手足が冷たく寒気がしているときなので、毛布などでしっかりと体を温めてください。そのうち、熱が上がりきると今度は手足がポカポカ温かくなって、汗をかいてきますので、そうすると今度はアイスノンなどでしっかりと冷やしてあげてください。首筋、わきの下、足の付け根(鼠径部)など、太い動脈が走っているところを冷やすと体温が下がりやすいです。
熱が高い時は、汗をかいて気が付かないうちに脱水をおこしていることもあります。意識的に普段よりも多く水分補給をさせてください。
また、熱が高い場合や喉の痛みが強い場合等、食事が満足にとれないこともあるでしょう。十分に食事がとれない場合は、経口補水液で体内の水分やミネラルを補給しつつ、体力の回復を待ちましょう。
汗をかいたままにしておくと、汗にかぶれて皮膚炎を起こしやすくなります。子どもが汗をかいていたら、濡らして固く絞ったタオルで体を拭いて、こまめに着替えさせてください。
子どもは突然熱を出すことがあります。突然の熱に慌ててしまいがちですが、「よくあること」と割り切って、落ち着いて対処するようにしてください。ママやパパが慌てていると、子どもは不安を感じ、安心して休むことができません。
その上で、必要があると判断した場合は、医療機関を受診するなど、専門家の指示を仰ぎましょう。
休日・夜間にどうしたらよいか判断に迷う場合は、「#8000」に電話し、小児科医師や看護師に相談することもできます。
小児科・乳児健診・予防接種・病児保育室
はじめまして!このたび、海田市駅前に小児科を開業しました、「きらきらこどもクリニック」院長の林 裕美子です。
お子さん自身が来たいと思うほど楽しく、親御さんからなんでも気軽に相談してもらえる「あたたかいクリニック」を目指しています。
私自身、小さい頃から病院が大嫌いで、高熱が出ても絶対に行きたくない!と駄々をこね、引きずられながら病院に連れていかれるような子どもでした。「病院」というものに何かしらの恐怖を感じていたのだと思います。そんな私が医師を目指したのは、小学生の頃、祖母が病気になったことがきっかけでした。ベッドに横になって元気のない祖母に何もしてあげられないことが悲しくて、医師になって祖母の病気を治したいと思ったのです。そして、大学生のとき、小児糖尿病キャンプに参加し、子どもたちが懸命に自分の病気と向き合い、血糖測定やインスリンの自己注射をしている姿を見て、子どもたちのひたむきさ、純粋さに感動し、子どもたちに寄り添う小児科医になることを決意しました。
お子さん1人1人がキラキラ輝く笑顔を見せてくれるようなクリニックを目指したいと思い、「きらきらこどもクリニック」という名前にしました。
また私自身働くお母さんとして、子どもさんが病気になったときに働く親御さんたちを応援したいとの思いで、「病児保育室ぽかぽか」を併設しました。
どうぞよろしくお願いいたします。
子どもは突然高熱を出すことがよくあります。「昼間は元気だったのになんで?」「うちの子はどうしてよく熱を出すの?」と悩んでいるママやパパも多いのではないでしょうか。
本記事では、子どもがよく熱を出す理由や子どもの発熱時に疑われる病気、子どもが熱を出した時に観察すべきポイントについてご紹介します。 関連する症状:おたふく...続きを読む