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株式会社住吉屋 代表取締役 住田 悦範さん

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歩くことは人生そのもの、その大切さを伝え健康をサポートしたい 住田 悦範さん

歩くことは人生そのもの、その大切さを伝え健康をサポートしたい

地域で親しまれた紳士服、カジュアルウェアの「住吉屋」。その経験を活かして、住田さんが現在取り組んでいるのは、快適な靴とオーダーインソール(中敷き)の専門店「快足屋」。歩くことの大切さを知り、そのための靴の提案事業を始め、ウォーキングイベントの開催にも携わることになった経緯と思いについて聞きました。

住田 悦範さん
インタビュアー

広島で「住吉屋」という名前は多くの方に知られています

住田さん

「住吉屋」は、祖母の実家にあった古文書に残っていた屋号なんです。江戸時代のもので、詳細は不明なのですが何か商いをしていたんでしょうね。その系図からたどると9代目に当たる祖父が商売を始める時にその屋号を使ったようです。あつらえ職人をしていたのですが、原爆で全て焼けてしまって、父が戦後ゼロからスタート。的場町の繊維問屋街で紳士既製服の卸を始めました。庶民の服も本格的に着物から洋服に変わる黎明期。物がない時代だけれど、仕事をするためにはスーツを必要とする人も多く、飛ぶように売れたそうです。

その後、外商部隊を作って官公庁、国鉄、郵政などの物資部で販売しました。補修や追加購入をするのに店がないと困ると言われて店を構え、小売りを始めたのも父の代。粗悪な品も多い中、うちは仕入先もしっかりしていたので、「住吉屋でスーツを買う」ことは地域のステイタスになっていたようです。

昭和28年頃の住吉屋(的場本店)と幼少時代の住田 悦範さんと父の住田 勝氏

インタビュアー

それから住田さんも家業に加わったのですね

住田さん

大学を卒業後、東京で2年ほど会社勤めをして広島に戻りました。紳士服では地元の青山さんが郊外型店舗展開を始めていた頃です。当社では紳士服だけでなく、カジュアルウェアにも着目して、紳士服とカジュアルウェアの複合店も展開していきました。今、振り返ればアパレル全盛期ですね。当時同じように地方で頑張っていたユニクロの柳井さんから共同事業の話なども持ちかけられましたが、その時は合意に至らず。今ではいい思い出です。

昭和45年頃の的場本店と昭和59年頃の己斐店、時代のニーズに合わせ変化しているのがわかる

インタビュアー

洋服から靴へ事業転換したきっかけは?

住田さん

将来的に洋服の事業は成り立たないと判断したからです。私は全国の紳士服ボランタリーチェーンの3代目理事長を務めましたが、そのグループに参加していた企業の多くが倒産や廃業に追い込まれました。

住吉屋もその例外ではなく、私は精神的にも追い込まれて体を壊し、妻に事業を任せていました。そんな時にミズノの支店長から「大阪に面白い靴屋があるから見てみない?」と声をかけられたんです。足を測って、その人に合う靴とオーダーインソールを提供する業態で「これだ!」と感じました。

それから洋服の店舗の一角に靴のコーナーを設けさせてもらって、仕入れも販売も接客も宣伝も全部一人で始めたんですよ。

住田 悦範さん

靴の事業について語る住田さん。KAISOKUYA PRO ラクア緑井にて

インタビュアー

それくらい〝足に合った靴で歩く〟ということに感銘を受けたのですね

住田さん

日本人はもともと草履や下駄の文化だったので、靴の履き方を間違えている人が多いんです。骨や筋力が弱いのに正しい靴の履き方ができていないと、却って身体に負担をかけてしまいます。

「正しい靴を履いて、正しく歩いて、健康になる」。これを伝えるために今後の人生を賭けようと決意しました。

立ち上げた靴の専門店「快足屋」では、シューフィッターが常駐し、足の形や重心を計測して、足に合った靴や、足のトラブルをサポートして負担を軽減する中敷きなどを提案。自分の足のサイズを正しく把握しておらず、靴に足を合わせている人が本当に多いんですよ。自分の足の形に正しく合った靴を履いた時の、まるで靴を履いていないような、靴が足と一体化したような感覚をぜひ体験してみてください。

「快足屋」には足と靴のことを知り尽くしたシューフィッターが常駐。「KAISOKUYAスーパーバイザー」の渡山さんは、さらに上級資格を持つ〝バチェラー〟

足の計測を体験。普段履いている靴のサイズより、実際の足は小さいことが多いようです

足の形と重心を計測。外反母趾、青年期扁平足など、歩行負担につながる問題点の判断材料になる

インタビュアー

〝歩くこと〟の大切さや魅力について教えてください

住田さん

歩くことは〝人生〟そのものなんです。人間は生まれてハイハイするようになった後、立ち上がって歩こうとします。それからの人生は、毎日寝る直前までの行動が〝歩く〟ことになるでしょう? 野生の動物は〝動けなくなる=死〟であり、人間も寝たきりになって生き続けるよりも、最後の日を迎える前まで自分の足で歩き、より努力し続けることが大切だと思っています。

自分自身も一時は体調も壊し、体力も落ちていましたが、ウォーキングを始めてから健康状態が改善しました。58歳でウォーキングを始めて、16年間継続しています。当初は1日20km歩くと、もうへとへと。でも74歳になった今は50km歩けますよ。

インタビュアー

ウォーキングイベントの支援にも力を入れていると聞きました

住田さん

年間を通じてウォーキングの大会が全国で開催されています。ウォーキング仲間たちと情報交換しながら、それらに参加したり、告知や参加促進の一助を担ったりしています。広島県ウォーキング協会の副会長を務めていて、県内のウォーキングイベントにも奔走します。

大きなものには廿日市で行われる「ピースウォーク」があり、今年で16回を迎えました。5kmのファミリーコースから20km以上のものもあり、全国から多くの参加者が集まる大会に成長しました。

インタビュアー

住田さんが主催するイベントや教室もあるのですか?

住田さん

歩くことの素晴らしさを多くの人に伝えるために、また当店で足に合った靴と出会ってくださったお客様にどんどん歩くことの楽しさを経験していただくために、毎月「楽ちんウォーク」というイベントを開催しています。広島市近郊で10km程度。太田川の河川敷を歩いたり、宮島へ渡ったり、紅葉の錦帯橋を眺めたり。予約不要、参加費200円という気軽さで、多くの方々に楽しんでいただいています。

また、全日本ノルディックウォーク連盟の公認指導員の資格を取得し、ラクア緑井のすぐそばで体験会を行い、主任指導員の方と一緒に自ら指導しています。ノルディックウォークいいところは、ストックを持つことで全身運動につながり、姿勢も良くなって膝・腰への負担を軽減できるところ。

怪我によるリウマチで車椅子生活になられた方が、ノルディックウォークに挑戦してみたいとおっしゃられ、ご自分の足で50m歩かれた時には感動して涙が出ました。

イベント情報などは「快足屋」HPで随時案内 https://kaisokuya.net

インタビュアー

靴や歩くことを支援する「快足屋」について教えてください

住田さん

最初は洋服店の一角からスタートし、2010年には胡町に専門店を構え、天満屋緑井店に出店。2023年に「ラクア緑井」が開店するにあたり、「KAISOKUYA PRO ラクア緑井」として増床オープンしました。ある意味、私の商売人としての集大成のような店です。

歩くこと全般をサポートしたいと考えて、靴や中敷きのほか、靴下、鞄、雨具なども取り揃えています。先に話したシューフィッター、バチェラーが常駐しているので、足が痛い、自分に合った靴がほしい、買った靴が足に合わない、ウォーキングを始めてみたいなど、何でも相談してください。

ウォーキングに関する本もいつでも自由に閲覧してもらえるように置いています。私の私物の本もたくさんありますよ(笑)。ウォーキングイベントや教室の情報を掲示し、チラシなども置いているので、買い物ついでにも気軽に立ち寄ってほしいですね。

靴のこと、歩くことに関する総合専門店KAISOKUYA PRO ラクア緑井

靴と歩行のプロが常駐し、何でも相談できる

● 快足屋広島本店
広島市中区胡町4-24バラビル 1F
TEL 082-241-1192

● KAISOKUYA PRO (快足屋PRO)ラクア緑井
広島市安佐南区緑井5-22-1ラクア緑井2F
TEL 082-831-6301

オンラインショップ
https://kaisokuya.net/pages/onlineshop

住田さんからのメッセージ

ウォーキングは私にとって、人生で初めて飽きることなく継続できていることです。それくらい楽しくて仕方ありません。ウォーキングを始めたことで健康になったことはもちろん、友達が増え、歩きながら眺める自然が好きになり、人生が豊かになりました。

人生最後の日まで自分らしく生きる健康寿命を伸ばすためにも、ウォーキングの素晴らしさを伝えることが残された私の人生における使命だと考えて、快足屋でさまざまな相談に応じ、情報発信を続けています。一緒にウォーキングを楽しみましょう!!

住田 悦範(すみだ よしのり)

1949年 広島市生まれ
1972年 慶応大学卒業
1974年 株式会社住吉屋入社
1989年 株式会社住吉屋代表取締役に就任
2007年 靴の専門店「快足屋」開設

快足屋サイト:https://kaisokuya.net

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