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学童保育と何が違う?放課後等デイサービスについて紹介

学童保育と何が違う?放課後等デイサービスについて紹介

2024.04.26

放課後等デイサービスという言葉を耳にする機会が近年増えてきました。
デイサービスと言えば、高齢者が利用する福祉サービスとして認識されている方が多いのではないでしょうか。
しかし、児童であっても通所型の福祉サービスを利用することは可能です。
近年は、女性の社会進出が加速し、また発達障害の相談件数も増加しているため、需要が高まっているのです。
ただ放課後等デイサービスについて、学童保育と同じようなものと思われている方も多いと思います。
そこで今回は、学童保育との違いを含めて、放課後等デイサービスについて、その目的や役割、利用方法、また法改正に伴う変更などについて解説します。

放課後等デイサービスの目的と役割

放課後等デイサービスは、今から約10年前の2012年に新設された福祉サービスです。
厚生労働省のホームページによると、放課後等デイサービスの概要は以下の通りです。

目的

「障害のある学齢期の子どもの健全な育成」を目的とし、多種多様なニーズをふまえ、支援の質の向上がはかられてきました。

基本的役割

児童福祉法に基づき、大学や幼稚園以外の学校に通っている障害のある子どもが、授業の終わった後や休みの日に通える場所が提供されます。

またそこで、

  • 生活能力の向上のために必要な訓練
  • 社会との交流を促す支援
  • その他の便宜(支援)

を受けることが出来ます。

障害児通所支援の在り方に関する検討会資料によると、20代から40代の女性の就業率は、過去10年程で10%程度上昇しています。
また14歳までの子どもで、臨床心理・神経心理検査数も10年程で1万件増えていることから、発達障害の相談は年々増え、放課後等デイサービスを利用したいと考える人が多くなっている現状が伺えます。

学童保育と何が違うの?

いわゆる学童保育も、児童福祉法に基づいて運営されています。
しかし、放課後児童健全育成事業の一環であり、まずそこが、放課後等デイサービスとは違います。
学童保育という呼び方が一般的ですが、放課後児童クラブとも言われますね。

放課後児童健全育成事業の概要については、厚生労働省のホームページに以下のように書かれています。

  • 対象
    保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童
  • 利用時間
    授業の終了後

利用時間について、概要には授業の終了後と書かれていますが、同じく厚生労働省の放課後児童クラブの基準を参照すると、「土、日、長期休業期間等(小学校の授業の休業日)」とあり、休みの日にも利用できることが分かります。

  • サービス提供の場
    小学校の余裕教室、児童館等
  • 目的
    対象児童の健全な育成を図るため

このように学童保育の対象や提供される場は限定的とも言えます。
放課後等デイサービスも障害のある子どもに特化していますが、小学校卒業以降も利用できる点に大きな違いがあるようです。

学童保育で児童たちは、室内で体を動かしたり、本を読むなどしてくつろいだりしています。
ひとつの児童クラブで利用する児童の数は、多くて40人。
放課後児童支援員を含む2名以上の有資格者または研修の修了者が、職員として配置されているようです。

放課後等デイサービスはどんな子どもが利用できる?

続いて、放課後等デイサービスについても詳しく解説していきます。
先に書いた通り、対象は障害のある子どもです。

  • 対象
    学校教育法に基づく学校(幼稚園と大学以外)に通う障害のある子ども

※引き続き、放課後等デイサービスを利用しなければ福祉を損なう恐れがある場合は、満20歳に達するまで利用を延長することも可能です。

  • 定員
    10名以上

どんなサービスが利用できる?

放課後等デイサービスが利用できる施設は、この10年で約5倍と、激増しています。
事業所ごとの特色、多種多様なサービス内容がある中でも、提供されるサービス(基本活動)は以下の4つに分類されます。

1.自立した日常生活を営むために必要な訓練

子どもが積極的に楽しめる遊びを通して、小さな成功を積み重ね、自己肯定感を育てることが主な目的です。
通っている学校で行われている教育活動を参考にして、学校と連携を取りながら、個々の子どもに支援を行っています。

2.創作的活動、作業活動

季節の変化を感じたり表現活動を行ったりすることによって、感性豊かな子供に育つよう支援を行っています。

3.地域交流の機会の提供

障害があっても、機会を奪われることなく地域社会と交流できるよう支援します。
ボランティアを受け入れたり、他の放課後活動や社会福祉事業と連携したりして、繋がりの輪を広げていくのです。

4.余暇の提供

子ども自身が自己選択できるようになることやリラックスできる環境づくりを目的に、様々な選択肢を用意し支援しています。

申請方法について

放課後等デイサービスを利用するには、申請が必要です。
相談しながら利用計画を作成し、申請が受理された場合は、受給者証が発行されます。

受給者証が発行されたら、次は事業所を選び。
自治体の福祉窓口では相談支援を受けることができ、お子さんにあった事業所選びをサポートしてくれますよ。

また、各事業所は見学や体験を受け付けているところもあり、実際に見聞きした上で選ぶことが可能です。
良いところがあれば申し込みをして契約しましょう。

ちなみに受給者証には、支給日数が記載されていますが、これは月に利用できる日数のこと。最初の申請の時点で聞き取った内容を元に、子どもの障害の程度や支援の必要度が検討され、支給された日数です。

法改正で何が変わった?

最近、法改正が行われ令和6年4月より施行される予定です。その中には、放課後等デイサービスに関する変更もあります。

変更をおおまかに言うと、対象範囲の拡大です。
具体的には今のところ、義務教育を修了した15歳から17歳の障害のある子どもが、高校生でない場合は、放課後等デイサービスを利用できません。

つまり、高校以外の専修学校や各種学校に通う子どもは対象外だったのです。
それが、法改正により、専修学校や各種学校に通う生徒でも、発達支援を必要とし市長村長に認められた場合は、放課後等デイサービスを利用できるようになります。

子どもが学ぶ場も多様化する中で、放課後や休日に過ごす場所の選択肢が増えるのは良い兆しと言えるのではないでしょうか。

家庭と学校以外の第3の場に

統計を見ると、女性の社会進出は加速しているようです。
一方で、発達障害の相談件数も増え、子育てをしながら働く女性の悩みは以前より増しているのかもしれません。
そこで、放課後等デイサービスなどの福祉サービスは、利用するメリットがあると思います。
放課後等デイサービスと学童保育、いわゆる放課後児童クラブは、併用も可能である場合があります。
ひとつの窓口で一括申請することは難しいようですが、希望する場合は相談してみることをおすすめします。

私が以前働いていた障害者通所施設でも、障害がある子どもを受け入れ、夏休みなどの日中に過ごせる場所を提供していました。
そこで学生時代にボランティアをしたことがきっかけとなり、その施設で働くようになったスタッフもいて、子どもと長年付き合えることに喜びを感じていました。
家庭や学校以外の場所でも、子どもの成長を支援し見守る場所があることで、子育ての負担が軽減されるかもしれません。

参考

この記事のライター

コバヤシユウコ

幼い頃から書くことや本が好きで、関西の編集プロダクションに勤務し、情報誌の編集に携わる。その後、創作活動を続けながら、介護福祉士を取得し、障害福祉の分野で約10年働く。現在はWEBライターとして、これまでの経験を活かし、福祉関連の記事や趣味である家庭菜園や手作り、飲食店の取材記事、You Tube動画の台本執筆などを執筆中。

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