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花粉で目がかゆいときにおすすめの目薬は?

2023/03/27

花粉症の季節がやってくると、「目を取り出して洗いたい」と思うほどかゆみに悩まされる方が多いのではないでしょうか。

症状が出ている間は飲み薬を使っている方がほとんどだと思いますが、実は飲み薬だけで目のかゆみを完全に抑えることはできません。

そのため、目のかゆみがひどいときは、飲み薬と別に目薬も使うのがおすすめです。では、どのような目薬を使えばよいのでしょうか。

今回は、花粉症で目がかゆいときの救世主となる目薬の選び方や人気の市販薬について紹介します。

花粉症に効く目薬の選び方

花粉症に効く目薬には、かゆみ止めの成分のほかにもいろいろなものが配合されています。市販薬は「値段が高いほど良く効く」と思ってしまいがちですが、値段で選ぶのではなく何の成分が配合されているのかを見て自分に合うものを選ぶようにしましょう。

すぐにかゆみを抑えたいなら「抗ヒスタミン薬」

花粉症に効く目薬のほとんどには、かゆみを抑える効果のある抗ヒスタミン薬が配合されています。花粉にさらされると目がかゆくなったり鼻水が出たりするのは、ヒスタミンが原因です。

そのため、花粉症の症状を抑えるのに抗ヒスタミン薬が役立ちます。目薬によく配合されているのが、クロルフェニラミンマレイン酸塩という抗ヒスタミン薬です。

ほとんどの目薬に配合されているのであえて確認する必要はありませんが、すぐにかゆみを抑えたい場合は抗ヒスタミン薬が配合された目薬を選びましょう。

かゆみが軽度または予防に使いたいなら「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」

かゆみや充血などのアレルギー反応を引き起こすケミカルメディエーター遊離抑制薬が配合された目薬もあります。ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、抗ヒスタミン薬と比べると即効性はありません。

そのため、今すぐ抑えたいかゆみに使うのには不向きです。かゆみの症状がひどくなる前に予防的に使うのが向いています。市販薬では、クロモグリク酸ナトリウムが代表的な成分です。

目のゴロゴロ感があるなら「コンドロイチン」

花粉で目がゴロゴロしたり、掻きすぎて違和感があったりする場合は、コンドロイチンが配合された目薬を選ぶとよいでしょう。

コンドロイチンといえば膝や肘などの関節痛に使われるイメージがあるかもしれませんが、実は角膜の保護作用もあるのです。涙が角膜にとどまるのを助け、ダメージからしっかりと角膜を守ってくれます。

コンタクト装用時は「コンタクト用の目薬」

コンタクトレンズを装用したままさせる目薬を探している場合は、必ずコンタクトレンズ用の目薬を選ぶようにしましょう。とくにソフトコンタクトレンズの場合は注意が必要です。防腐剤として配合されているベンザルコニウムがコンタクトレンズに吸着されて角膜を傷つける恐れがあります。

また、成分によってはコンタクトレンズを変性させるものもあるため気をつけましょう。ただし、コンタクトレンズ用の目薬は通常のものと比べると効き目が弱い傾向にあります。かゆみが強い方は、一時的にコンタクトレンズの使用を止めて通常の目薬を使うのがおすすめです。

花粉症による目のかゆみは飲み薬で治せる?

飲み薬は鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどには効果を発揮しやすいのですが、目のかゆみにはあまり効きません。飲み薬だけで目のかゆみを気にならない程度にまで改善させるのは難しいでしょう。

そのため、目のかゆみがひどい場合には、目薬の使用をおすすめします。ちなみに、飲み薬と目薬は併用しても問題ありません。飲み薬だけでなんとかしようとせず、症状がひどくなる前に目薬も活用しましょう。

そもそもなぜ花粉症を発症するの?

花粉症は、アレルギー反応の一種により起こるものです。アレルゲンである花粉が目や鼻から侵入すると、リンパ球が「異物(花粉)が入ってきた」と認識します。すると、リンパ球がIgE抗体を作り、このIgE抗体が肥満細胞にくっついて、ヒスタミンが分泌されるのです。

花粉症でない方は花粉が侵入してもヒスタミンが分泌されないため、症状が出ません。鼻を詰まらせることで花粉の侵入を防ぎ、鼻水やくしゃみで花粉を排出しようとするため、あのつらい症状が出るのです。

花粉症はスギだけじゃない!ほかの花粉にも要注意

花粉症といえばスギがとても有名ですが、実はほかの花粉も花粉症の原因となります。地域によって飛散時期はやや異なりますが、ヒノキは3~5月、カモガヤは5~7月、ブタクサは8~9月頃に飛散することが特徴です。

スギ花粉のピーク時でない時期にサラサラとした鼻水が出るようなら、ほかの花粉に反応している可能性があります。

「花粉症はスギしかない」と思われている方も多く、花粉症だと気づかずに風邪薬を市販で購入する方が少なくありません。花粉症はスギだけではないことを覚えておきましょう。

目のかゆみにおすすめの市販の目薬

ここからは、目のかゆみに人気の市販の目薬を5つ紹介します。

アルガード クリアブロックZ

抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンマレイン酸塩、ケミカルメディエーター遊離抑制薬のクロモグリク酸ナトリウム、さらにコンドロイチン硫酸エステルナトリウムまで配合された目薬です。かゆみがとくに強い方に向いています。

有効成分 クロモグリク酸ナトリウム
クロルフェニラミンマレイン酸塩
プラノプロフェン
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム

マイティア アルピタットEXα

抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗炎症成分のプラノプロフェンなどが配合された目薬です。4つの有効成分を配合することにより、花粉による強いかゆみにも対応できるようになっています。

有効成分 クロモグリク酸ナトリウム
クロルフェニラミンマレイン酸塩
プラノプロフェン
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム

サンテALクール

比較的安い価格で購入でき、成分も充実している目薬です。抗ヒスタミン薬のほかに抗炎症効果のあるグリチルリチン酸二カリウムやイプシロン-アミノカプロン酸、充血を取り除く塩酸テトラヒドロゾリンなどが配合されています。

有効成分 クロルフェニラミンマレイン酸塩
グリチルリチン酸二カリウム
イプシロン-アミノカプロン酸
塩酸テトラヒドロゾリン
タウリン
パンテノール
公式サイト:サンテALクール

アルガード コンタクト

コンタクトレンズを装用中でも使用できる目薬です。成分はとてもシンプルで、抗ヒスタミン薬と角膜保護成分、新陳代謝を促進するビタミンB6が配合されています。ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズ、どちらを装用している方でも使用可能です。

有効成分 クロルフェニラミンマレイン酸塩
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
ビタミンB6

エージーアイズ アレルカットS

中価格帯の目薬のなかでは、充実した成分が配合されている目薬です。抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬などが配合されています。清涼感のある成分が配合されていないため、しみるのが苦手な方でも使いやすいでしょう。

有効成分 クロモグリク酸ナトリウム
クロルフェニラミンマレイン酸塩
グリチルリチン酸二カリウム
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム

市販の目薬を使ううえで気をつけたいこと

市販の目薬は手軽に購入できてとても便利ですが、いくつか注意点があります。

コンタクト装用中は必ず「コンタクト用」を使う

コンタクトレンズを装用中に目薬を使用したい方は、必ずコンタクトレンズ用の目薬を購入してください。通常のものを使用すると、角膜障害を起こしたりコンタクトレンズが変性したりしてしまう恐れがあります。

開封したら2~3か月で使い切る

商品によって異なりますが、市販の目薬は開封後2~3か月で使い切ることが基本です。使用期限は未開封のときの期限なので注意しましょう。

直射日光が当たる場所で保管しない

成分が変性する恐れがあるため、直射日光が当たる場所で保管するのは避けてください。ただし、必ずしも冷蔵庫に保管する必要はありません。

このような症状があるときは受診しよう

次のような症状がある方は、市販の目薬を使い続けずに眼科を受診するようにしましょう。

  • まぶたが腫れるほどアレルギー症状がひどい方
  • 市販の目薬を使用しても症状の改善が見られない方

医療用の目薬には、市販にはない成分が使われているものもあります。人によってはそちらのほうが効果を実感できる場合があるでしょう。症状がひどいときや市販の目薬が効かない場合は、早めに眼科を受診するのをおすすめします。

まとめ

市販には花粉症に効く目薬がいくつも販売されています。値段で選ぶのも良いですが、できれば成分を見て自分に合うものを購入しましょう。目をかきすぎて目薬がしみてしまう方は、清涼感のないタイプがおすすめです。

かゆみの症状がひどい方や、市販の目薬では症状が改善しない方は、眼科を受診するようにしましょう。市販では扱いのない成分が多くありますので、症状に合ったものが見つかるかもしれません。

コラムニスト

薬剤師ライター  岡本 妃香里 

薬剤師としてドラッグストアで働いていくなかで「このままではいけない」と日に日に強く思うようになっていきました。なぜなら「市販薬を正しく選べている方があまりに少なすぎる」と感じたからです。

「本当はもっと適した薬があるのに…」
「合う薬を選べれば、症状はきっと楽になるはずなのに…」

こんなことを思わずにはいられないくらい、CMやパッケージの印象だけで薬を選ばれている方がほとんどでした。

市販薬を買いに来られる方のなかには「病院に行くのが気まずいから市販薬で済ませたい」と思われている方もいるでしょう。かつての私もそうでした。親にも誰にも知られたくないから市販薬に頼る。でもどれを買ったらいいかわからない。

そんな方たちの助けになりたいと思い、WEBで情報を発信するようになりました。この症状にはどの市販薬がいいのか、どんな症状があったら病院に行くべきなのか、記事を通して少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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