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ストレスで頭痛?そして鎮痛薬依存? 解離症状としての頭痛

2022/09/16

頭痛、誰もが経験したことがある症状でしょう。その原因は多岐にわたります。

このHPで頭痛の項目を見ても、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経痛、くも膜下出血、脳卒中、脳卒中後遺症、脳塞栓、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、脳動脈硬化症、髄膜炎、ウィルス性脳炎、高血圧症、緑内障、眼精疲労、高次脳機能障害が挙げられています。

国際頭痛分類第3版ベータ版に掲載された分類を以下に示します。

分類

一次性頭痛

  • 1.片頭痛
  • 2.緊張型頭痛
  • 3.三叉神経・自律神経性頭痛
  • 4.その他の一次性頭痛疾患

二次性頭痛

  • 5.頭頸部外傷・障害による頭痛
  • 6.頭頸部血管障害による頭痛
  • 7.非血管性頭蓋内疾患による頭痛
  • 8.物質またはその離脱による頭痛
  • 9.感染症による頭痛
  • 10.ホメオスターシス障害による頭痛
  • 11.頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛あるいは顔面痛
  • 12.精神疾患による頭痛

有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛およびその他の頭痛

  • 13.有痛性脳神経ニューロパチーおよび他の顔面痛
  • 14.その他の頭痛性疾患

片頭痛や緊張型頭痛などにより専門医療機関で治療している人も多いことと思います。
ここでは、二次性頭痛のうちの12.精神疾患による頭痛をもう少し詳しく説明します。

12.精神疾患による頭痛について

12.精神疾患による頭痛の項目では、

  • 12.1 身体化障害による頭痛
  • 12.2 精神病性障害による頭痛

の2種類の頭痛が記載されており、さらに付録として、

  • A12.3 うつ病による頭痛
  • A12.4 分離不安症/分離不安障害による頭痛
  • A12.5 パニック症/パニック障害による頭痛
  • A12.6 限局性恐怖症による頭痛
  • A12.7 社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)による頭痛
  • A12.8 全般性不安症/全般性不安障害による頭痛
  • A12.9 心的外傷後ストレス障害による頭痛
  • A12.10 急性ストレス障害による頭痛

が列挙されています。

このように整理してみると、多くの精神疾患が頭痛の原因となることがわかります。

A12.9やA12.10に関連して解離症状に伴う頭痛ついて

今回はA12.9やA12.10に関連して解離症状に伴う頭痛について少し説明します。

ここでは、幼少時期に辛い経験をした人の頭痛を想定します。そのような人は、本人が無意識の中に閉じ込めている辛い過去の記憶があるのですが、普段それは意識されません。しかし、何かのタイミングで辛い過去の記憶が意識に上る時に頭痛を生じやすくなります。本人にとっては頭痛の理由がわからないので、頭痛を鎮めるために鎮痛薬を内服します。そうすると少し楽になります。しかし、何度も辛い過去の記憶が意識に上りそうな状況に陥ってしまうと、鎮痛薬を頻回に内服したり一度に大量に内服してしまいます。こうなると鎮痛薬依存の状態と言えます。

これは何も特別な人に生じることではありません。誰しも忘れていたい(忘れてしまった)辛い過去はあるもので、皆さんの中にも、忘れたつもりの辛い過去を思い出して胸が苦しくなったことがある人は多いでしょう。解離性障害の人では健康的な人に比べて頭痛が重症で慢性化しているのかもしれません。

頭痛の原因は多岐にわたるので、いろいろな診療科を受診して原因が見当たらない場合は、心療内科や精神科に相談することを考えても良いかもしれません。

参考文献
国際頭痛分類第3版ベータ版日本語版 all_02057_2.pdf (jhsnet.net)
松本俊彦(著) 薬物依存とアディクション精神医学 金剛出版 2012 ISBN978-4-7724-1239-1

コラムニスト|医療法人せのがわよこがわ駅前クリニック 医院長:加賀谷 有行

医療法人せのがわよこがわ駅前クリニック

診療内容

内科・循環器内科・心療内科・精神科・デイケア・精神科デイケア・禁煙外来・予防接種

所在地・アクセス

〒733-0011 広島市西区横川町2丁目7-19 横川メディカルプラザ6F Tel:082-294-8811
  • JR 横川駅(南口)より徒歩約2分
  • 横川駅より中広通り経由で約1分

医院長  加賀谷 有行 

 よこがわ駅前クリニックは2003年7月7日に開業して以来、地域の皆さまの安心、安全を目標にして、真心を持って地域の医療・保健・福祉サービスのお手伝いができるように、こころと身体の両方の相談や治療を実践して参りました。
 2024年4月1日より下原篤司先生の跡を継いで加賀谷有行がクリニック院長に就任しました。世の中は先行き不透明な時代になり、児童から高齢者まで各世代で悩みや生きづらさを抱える人が多くなっています。
 今後は心療内科・精神科を中心として内科的にも地域の皆さまの早期治療や健康増進に寄与できるよう尽力する所存ですので、よろしくお願いいたします。

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