前回、「和食」が無形文化財に登録されたが、それは少し前の日本食であって、今はそれとはかなり違った食生活になっているということを書きました。
そこで、今回は、国は食事についてどのようなことを問題だと考え、どのような方向性を示しているのかという『食生活指針』について書いてみたいと思います。 私は管理栄養士という職業柄、なぜ政府が先頭に立って、もっと啓発活動を推し進めないのかと思っています。『食生活指針』について、知っていただきたいので書くことにしました。
戦争当時の食生活指針には、食糧難を切り抜けることを目的とし、主食には玄米が推奨され、雑穀や野草など食料になるものについて書かれ、戦後、厚生省はアメリカの援助を得て栄養改善運動をすすめ、生活が豊かになるにつれ、おかずの多い欧米風の食生活を普及させたが、その結果として生活習慣病が増加し、1983年(昭和58年)に農林水産省が日本型食生活を提唱し、1985年(昭和60年)厚生省が、「健康づくりのための食生活指針」を策定しました。
というようなもので、生活の質に言及していることが特徴的だと言われています。ただ、私も覚えているが、「一日30品目って、どうやって食べさせようか」と食材を数えたものです。
平成12年に、『最近の我が国における食生活は、健康・栄養についての適正な情報の不足、食習慣の乱れ、食料の海外依存、食べ残しや食品の廃棄の増加等により、栄養バランスの偏り、生活習慣病の増加、食料自給率の低下、食料資源の浪費等の問題が生じている。 このような事態に対処して、国民の健康の増進、生活の質の向上及び食料の安定供給の確保を図るため』ということで、初めて当時の文部省、厚生省、農林水産省の3省が連携して策定されました。
平成12年の食生活指針が策定されてから16年が経過し、平成28年に改定がされました。この間、平成17年に食育基本法が制定され、10年計画の国民の健康づくり運動が平成25年にスタート。この年の12月に和食が日本人の伝統的な食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。そして平成28年4月に5年計画の『第3次食育推進基本計画』がスタートし、これを踏まえて食生活指針が改定されました。
この食生活指針は国民に実践してほしい内容が10項目にまとめられています。
現在の食生活指針の大きな特徴は、食料の生産・流通から食卓、健康まで、食生活全体を視野に入れて作成されていることです。QOLの向上を重視し、バランスのとれた食事内容を中心に、食料の安定供給や食文化、環境にまで及ぶ内容で、10項目の指針とその具体的な取り組み内容が示されています。
これら10項目の目標は、まず(1)で健全な食生活をどう楽しむかを考え、(2)〜(9)の内容を実践しながら、(10)で食生活をふり返り、改善していこうという、我々のような食に携わるものとしてはこれ以上の内容はないと思うくらい、細部にまでこだわった内容となっています。
しかし、現在の日本には食情報があふれ、いくら正しい食生活をしたいと思っても日々いろいろな情報が発信されて「いったい何を信じてよいのやら」と、皆さんが右往左往するのも無理はないと思うほどです。 ただ言えることは、そんなに楽をして、したい放題のことをして健康が手に入るとは思えないということです。そして、この10項目を実行するのは今の我々の生活ではかなり難しいということです。
次回はこの食生活指針と照らし合わせながら、まず、子育て中の若いお母さんたちに私の考える範囲のことですがお願いしたいことを書いてみたいと思います。
長年、管理栄養士として病院の給食管理・栄養管理に従事後、現在、内科糖尿病専門医院にて糖尿病を中心とする生活習慣病、高齢者の低栄養等の栄養食事指導をしています。
ライフワークとして「あなたの体は、あなたの食べたものでできている」ということを意識した「食」の啓発活動を行なっています。
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