
ショートインプラントとは、長さが8mm以下の短いインプラントの事を言います。
現在超高齢社会を迎えた日本において、インプラント患者の高齢化により全身状態に留意する必要がますます問われている中、従来通りの長いインプラントを用いるために行う骨造成は負担になる。ショートインプラントは骨造成におけるリスクを減少させる。
インプラントを埋入してから約3ヵ月経過してインプラントと骨が完全に結合すればインプラントの長さは関係ないということは多くの文献で証明されています。ショートインプラントはわずか5~7mm程度の骨の高さがあれば使用可能です
以下に示すケースで用います
a)骨が吸収して高さを失ったケース
b)骨の中を走行する神経を損傷させない為に長いインプラントを計画出来ないケース
ショートインプラントを可能にした要因
①表面性状の進化
最初は単なるチタンでスタートしたインプラントも、骨との結合力を高めるため表面に骨との結合を高めるため各種処理をする事で、短いインプラント(少ない表面積)でも高い結合力が可能になった。
②皮質骨への負担を回避するデザイン
インプラントを埋入する際、従来は骨の表面に負荷がかかり、埋入後に骨表面が約1.5ミリ吸収するとされてました。これは8ミリ以下のショートインプラントにとっては骨に埋まる長さがさらに少なくなり致命的です。
しかし最近では各種インプラントメーカーの研究により、インプラントの形態が進化し細かい溝(マイクロスレッド)を掘り皮質骨に噛み合いやすくし初期固定を得やすくする事や、精度の向上により、強固かつ正確に固定される連結で細菌の侵入を防ぎ、コネクティブカントゥアといわれるアバットメントとインプラントを接続する新しい方法も出てきています。
(コネクティブカントゥアによる接続は周辺の軟組織の接触ゾーンの高さと量が違い、インプラント周囲の辺縁骨を密封して保護しています)
③力の負荷はネック(インプラント頸部)に集中
従来よりインプラントは、噛む力に抵抗する為インプラント全体の接触面積を増大させ、長径は長いほど有利であるとされていた。 近年の力学的解析を用いた研究によれば、インプラントから骨に加わる咬合圧の大部分がインプラント頸部の 2 ~ 3mm に集中し、インプラント長径は重要でないと報告されている。
上図に示すように、インプラントに垂直方向、水平方向から荷重をかけた場合、長さに関係なくインプラント頸部(ネック)にのみ負荷がかかっている。 (図の赤い部分に荷重がかかっている)
しかし、ショートインプラントも万人に適応されるわけではない。
咬合力が非常に強い場合、清掃性が通法のインプラントより磨きにくい為歯ブラシが困難な場合などには適用にはならないため専門の診断が必要となります。
- カテゴリー:歯科
- インプラント ショートインプラント
コラムニスト紹介


かみなか歯科 理事長 上中 茂晴
大阪で10年間勤務し最先端の技術を学び、郊外でも最新の治療を提供すべく地域密着型の治療を提供しています。
● 拡大鏡、歯科用顕微鏡を用いて7倍から20倍に拡大した視野のなか行う精密治療
● CTも用いた3次元診断
● 歯科麻酔医による全身管理の元、安全に行う外科処置
の3つの特徴を軸に安心、安全な治療を提供しております。
また、歯周病で失われた骨を再生させる再生療法にも力を入れており、歯の温存に努めております。
【経歴・資格・所属学会】
広島大学付属高等学校、広島大学歯学部卒業
医療法人小室会小室歯科難波診療所 入職。 医長、矯正長、副院長を歴任。
2015年10月にかみなか歯科開院。
2021年1月 日本臨床歯周病学会 中国四国支部理事 就任
■所属
九州歯科大学附属病院 口腔インプラント科
■所属学会
国際口腔インプラント学会
日本口腔インプラント学会
日本歯周病学会
臨床歯周病学会
日本顎咬合学会
■講習会
JIADS ぺリオアドバンスコース(歯周病・インプラント・再生療法)
5-D Japan アドバンスコース (歯周病・歯内療法・歯牙移植・審美・インプラント・再生療法)
GPOレギュラーコース(矯正)
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