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顎関節症 | 症状から調べる | ファミリードクター

顎関節症

顎関節症は顎関節に生じた障害の包括的診断名です。顎は筋肉の他に関節や多くの神経があり複雑な形に構成されて下顎を支えています。食事や話すための動きと連動して動きます。口を開けたり閉じたりする動きをした時に、顎関節や下顎骨の動きに関わる咀嚼筋やその周囲に何かしらの原因により痛みや開閉しにくいといった違和感・音がするといった症状が出ます。これらの症状に1つ以上当てはまると顎関節症と診断されます。頭痛や肩こりに画像診断による異常が見られるといった症状のみには診断されません。

顎関節症の原因

顎関節に痛み等の違和感を感じる人はどの年代にも広がっていますが、特に10代から20代に多いという報告があります。様々な原因が考えられますが、歯の嚙み合わせが悪くバランス良く力が入らない場合や精神的なストレスによって顎の筋肉を緊張させて無理な力が加わることで発症します。他にも歯ぎしりをすると顎関節に大きく負担をかけます。また、生まれつき顎関節に異常があったり外傷によって起こることもありますが、複数の要因が重なって症状として現れることが多いようです。例えば上下の歯は、食事の時以外はわずかに隙間があることが通常ですが、無意識の内に閉じている人がいます。歯列接触癖と呼ばれており顎の筋肉や関節に負担が掛かります。歯を食いしばり顎に強い力が掛かる楽器演奏やスポーツを行う人も注意が必要です。テレビゲームやスマホによる前傾姿勢は本来の顎の位置をずらす要因となります。

食事をするの時の癖として、左右どちらか一方の歯だけを使って噛む・硬い食べ物ばかりを好んで噛んでいるといった顎の酷使も悪い影響を与える可能性があります。外傷による顎関節症の発症として、顔面を強く打る等事故の影響もあります。

顎関節症の症状

代表的な症状として、顎関節周囲の違和感や食事の時に痛みを感じます。顎を動かしているとダルさや噛み締めると痛みが表れます。口の開閉に顎がカクカクと音が鳴ってスムーズな動きが出来ない・左右に上手く動かない・顎が外れるといった症状が現れます。また、かみ合わせに問題や違和感があったり顔に歪みが出てくる場合もあります。大きく口を開けることが困難になり人差し指から薬指までの指3本程が入るだけのスペースまで開けることが出来なくなります。

顎関節症による顎の痛みや違和感・動作が上手く出来ないといった症状以外にも様々な症状が報告されています。

頭痛や肩・首に背中の痛みやコリ、眩暈、耳鳴り、眼精疲労や充血、歯や舌が痛む・味覚の異常や口の乾きといった症状の他にも、嚥下や呼吸困難に痺れが起こることもあります。良くなったと思っても、再発しやすく良い状態と悪い状態を繰り返す傾向がありますが、あまり心配し過ぎずに生活習慣を見直しながら症状を抑えましょう。

顎関節症以外の顎関節に症状の出る疾病

顎関節に比較的近い場所にある鼻や耳・歯等の器官や、遠く離れている心臓の異常でも顎関節に症状が現れる場合があります。他にも顎関節の腫瘍や他の臓器から顎関節へがんの転移の可能性も考えられます。顎関節の痛みや違和感が長く続くようであれば、自己判断せずに専門医の診察を受けましょう。

顎関節症の治療と予防

顎関節症の治療

噛み合わせを良くすることが大切になります。マウスピースを上下どちらかの顎に装着し、均等に力が加わるようにします。ズレていた顎関節を正しい位置へ戻して負担の掛かっていた筋肉の緊張を取る方法が用いられます。また、必要に応じて歯科治療による入れ歯や歯の被せ物を調節します。重度の場合は薬物による治療や手術をして治療することもありますが現在はあまり行われていません。

痛みがある時は、まず安静にすることが大切です。これ以上の悪化を防ぐためにも出来るだけ顎を使わなくても良いように食事や生活を見直しましょう。

顎に力が入る固い食べ物は避けます。お粥や蕎麦・うどんといった柔らかくあまり噛まなくても良い食事を摂りましょう。大きなあくびも痛める要因となりますので出来るだけ注意します。同じ姿勢を長く取らないように心掛けてストレッチ等で体をほぐし、休めるようにします。猫背は顎関節に負担が掛かります。

筋肉のストレッチも有効とされており、口を動かしたり食べ物を噛むために大切な筋肉をほぐすための方法もあるため、症状に合わせた方法を専門医に相談しましょう。

顎関節症の予防

精神的なストレスによって顎関節が緊張した状態が続くと負担が大きくなるため、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。

日頃よくやりがちな習慣として、頬杖ついたりうつ伏せ寝は顎に負担を掛けてバランスを悪くさせる要因となるため、注意しましょう。また上下の歯を隙間なく閉じてしまう歯列接触癖は癖になっています。意識して隙間を開けるようにしましょう。歯を離すと自然に顎に力が入らなくなり、筋肉の疲労を和らげることが出来ます。

この記事の監修

なないろ歯科クリニック 副院長佐々木 裕美

なないろ歯科クリニック副院長の佐々木裕美です。
私自身も4児の母であり、小さなお子様がいてなかなか歯科医院に通いにくいというお母さまにも配慮した治療スタイルをご提供していきたいと思っています。
どんな些細なことでもまずはご相談ください。

【経歴・資格・所属学会】

1993年 呉市立仁方小学校卒業
1996年 呉市立仁方中学校卒業
1999年 国立広島大学付属高等学校卒業/広島大学歯学部入学
2005年 広島大学歯学部卒業/医療法人社団しげもと歯科クリニック勤務
2013年 なないろ歯科クリニック開院

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