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低酸素血症 | 症状から調べる | ファミリードクター

低酸素血症

低酸素血症は動脈血中の酸素が不足した状態を指します。

通常、人間は呼吸して空気を吸い込むと、空気中に含まれる酸素を動脈血に溶かして全身に巡らせ、身体の各細胞に酸素を供給します。しかし低酸素症になると、動脈血に溶ける酸素の量が少なくなり、身体の隅々まで酸素が行き渡らず、様々な細胞が破壊され命の危険に陥ります。

低酸素血症になると呼吸不全を引き起こし、重症化した場合では多くのケースで高二酸化炭素血症を伴います。高二酸化炭素血症を伴わない呼吸器不全をI型呼吸不全、高二酸化炭素血症を伴う呼吸器不全をII型呼吸不全と言います。

低酸素血症の原因

低酸素血症は様々な原因が考えられますが、発熱やウイルス感染、肺の機能が十分に働いていない、呼吸器系の病気を持っている方が発症し易いです。

発熱すると代謝が亢進され、血液の流れが速くなります。これにより酸素が血液中に十分に溶け切っていない状態で身体中に運ばれる為に、低酸素血症を引き起こします。

また、風邪、ウイルス感染、肺や呼吸器系の症状を抱える方は、酸素を十分に取り込めていないことが原因となり、低酸素血症を引き起こす場合があります。

他にも、登山中に低酸素血症になることがあります。これは、高地は地上に比べて酸素濃度が薄いことだけではなく、運動量の多さから呼吸が早くなり酸素が不足することが原因です。

低酸素血症の症状

急性の低酸素血症では、頻呼吸・頻脈・不整脈・チアノーゼ等の症状が現れ、低酸素血症が進むと、昏睡やショック状態に陥ります。一方、慢性の低酸素血症では、労作性呼吸困難、ばち状指等の症状が出ます。

低酸素血症がゆっくりと進行している場合には、初期の呼吸のし辛さは感じられず、いきなり重症化することもあります。

低酸素血症の治療と予防

低酸素血症の治療

低酸素血症が軽度の場合は、その場に座る、または横になる等をして体を休め水分補給をしながら様子を見ます。しかし重症化している場合には、人工呼吸器を取り付けなければなりません。

低酸素血症では主に「在宅酸素療法」「換気補助療法」「呼吸リハビリテーション」のいずれかの治療を受けます。

在宅酸素療法では自宅に酸素供給器を設置し、カニューラと呼ばれる細長いチューブを通して酸素を吸入します。携帯用酸素ボンベを使えば外出することもできます。

換気補助療法は、非侵襲的陽圧換気(NPPV)という特殊なマスクを装着して人工呼吸を行う治療法で、在宅医療も可能です。

呼吸リハビリテーションでは、日常生活の指導・運動療法・栄養指導・肺理学療法等の包括的呼吸リハビリテーションを行い、生活の質の改善を目指します。

低酸素血症の予防

呼吸器系や肺に障害を来している場合には、重症化を抑えることで低酸素血症を予防出来ます。風邪やウイルス感染等の感染症から低酸素血症になることを防ぐ為には、基本的な感染症対策を行います。

基本的な感染対策とは、帰宅時や食事前、調理前等の手洗い及びうがいや、十分な睡眠と休養、栄養バランスの取れた食生活等の規則正しい生活を送ることです。規則正しい生活を送ることで、免疫力が高くなり感染症のリスクが軽減されます。

また、インフルエンザ予防の為のワクチン接種も、低酸素血症の予防に有効です。インフルエンザにかかると、肺炎のリスクが高くなり低酸素血症を引き起こす原因となります。インフルエンザワクチンを摂取することで、感染または重症化を防ぐことが期待できます。

登山時の低酸素血症を予防する為には、こまめな休憩及び水分補給が大切です。疲れや異変を感じたら無理をしないようにしましょう。

さらに、誤嚥対策も肺炎予防に繋がります。食事をする際は、顎をしっかり引いた状態でよく噛み、少しずつ食べましょう。そぼろのように口の中でまとまりにくい食品、カステラ等パサパサと乾燥している食品、お餅等の粘度が高い食品は誤嚥し易い為、特に注意が必要です。

この記事の監修

はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則

このたび2018年12月、広島平和公園近隣である堺町におきまして新規開院させていただきました、はるた呼吸器クリニック院長の春田吉則と申します。
大学病院勤務時代には、喘息・アレルギー専門外来にて15年余り診療経験を積み、また主たる基礎・臨床研究におきましても喘息研究に専念してまいりました。また医薬連携活動として「アズマネット広島」の事務局として企画、運営させていただいており、広島市薬剤師会および広島大学病院薬剤部の薬剤師の方々と連携し、ぜんそく患者さんのための活動を10年余り携わってきました。
今後もここ広島におきましてアレルギー・呼吸器領域の専門クリニックとして、これまでの経験と連携を活かし、微力ながら地域の方々の健康のため貢献できるよう切磋琢磨して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】

※略歴
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務

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