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肥満 | 症状から調べる | ファミリードクター

肥満

肥満とは体脂肪が過剰に蓄積した状態で、一般にはBMI数値が25以上のことを指します。BMIとは「body mass index」の略称で、体格指数という意味です。BMIは「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」で計算できます。また、BMIの数値によって肥満度が分けられます。具体的には25〜29は1度、30〜34は2度、35〜39は3度、40以上は4度です。ただし、BMI数値が高くても、筋肉量が多く脂肪が過剰に多い訳ではないというパターンもあるため、BMI数値が高ければ必ず肥満という訳ではありません。

肥満に伴う健康障害があり、医学的に減量の必要と判断できる状態を「肥満症」といい、定義により肥満と肥満症は医学的に区別されています。

肥満を放置しておくと、糖尿病や脂質異常、痛風、睡眠時無呼吸症候群などの健康障害を引き起こすことがあり、死に至る危険もあります。

肥満は大きく分けて「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられます。

「内臓脂肪型肥満」とは、筋肉より内臓側の腹腔内に脂肪が多く蓄積している肥満で、リンゴ型肥満とも呼ばれています。CT検査などで内臓脂肪量の測定を行うことが望ましいですが、臍の高さの腹囲を測って、男性は85cm以上、女性は90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満が疑われます。

「皮下脂肪型肥満」とは、腰まわりや太もも等の下半身を中心に皮下脂肪が多く溜まり内臓脂肪が少ない肥満です。洋ナシ型肥満とも呼ばれています。尚、内臓脂肪は溜まりやすく燃焼しやすい脂肪です。男性や閉経後の女性に溜まりやすいという特徴があります。皮下脂肪は溜まりにくく燃焼しにくい脂肪です。女性や子どもに溜まりやすいという特徴があります。

近年、日本では食生活を取り巻く環境が変化し、食生活の欧米化及び運動不足から、肥満になる人が急増しています。

肥満の原因

肥満は食べすぎや栄養バランスの偏りなど、食生活の乱れや運動不足が原因で発症します。消費エネルギー以上に食事を摂り過ぎると、余剰エネルギーが脂肪として体内に蓄積され、肥満になります。

肥満の症状

肥満が原因で、動きにくい、息切れをしやすいなどの症状が引き起こされます。また、肥満がきっかけで高血圧や糖尿病、脂質異常、睡眠時無呼吸症候群などを誘発することがあります。これらの健康障害は動脈硬化の原因となり、さらに狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こすこともあり、命を落とす危険があります。他にも脂肪が肝臓に過剰に蓄積する脂肪肝や、胆管に胆石が溜まる胆石症を引き起こすこともあります。

肥満には「内臓脂肪型肥満」(リンゴ型肥満)と「皮下脂肪型肥満」(洋ナシ型肥満)の2種類がありますが、内臓脂肪型肥満の方が糖尿病、高血圧、脂質代謝異常の発症リスクが高い肥満です。

肥満の治療と予防

肥満の治療

肥満の治療は減量により健康障害を解消もしくは軽減することが目的です。

減量できれば健康障害の予防にも繋がります。肥満の治療で最も優先される方法は、肥満の解消です。肥満を放置しておくと、さまざまな病気を引き起こすことがあるため、まずは根本である肥満を解消しなければなりません。

肥満は、摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量を上回ることを原因として引き起こされるため、このバランスを是正する治療を行います。

具体的には、食事療法と運動療法などです。減量するためにただ食事を減らしたり、脂肪分のある食材を避けるなど、食事を見直すだけでは重要な骨格筋までも減少し、サルコペニアを引き起こす危険があります。サルコペニアとは、筋肉量が減少して筋力低下や、身体機能が低下した状態のことで、歩く速度が遅くなったり、寝たきりになるなどの症状が出ます。

サルコペニアを防ぐために、食事療法と運動療法を同時に行うことが大切です。

ただし、食事療法と運動療法を一人で継続することは難しく、長く続けられないという方も少なくありません。また、肥満を解消できても食事療法と運動療法の方法や程度が十分でないと、リバウンドのリスクがあります。そのため病院を受診したり、専門家と相談しながらリバウンドを伴わない減量をする方が良いでしょう。

肥満の予防

これまで肥満は遺伝が大きく影響していると考えられてきました。しかし近年の生活環境変化に伴い、食生活や運動不足が原因となっているケースが増えています。そのため生活環境の見直しが肥満予防に繋がります。

具体的には食生活の見直し、十分な睡眠、適度な運動を行い生活リズムを整えましょう。食生活では栄養バランスの良い食事を1日3食食べることが効果的です。脂肪分の過剰摂取には注意しつつ減らしすぎには注意しましょう。また、摂取エネルギーにも注意し過不足が無いようにしてください。さらに、肥満になる方の多くは早食いする傾向があります。そのため一口につき30回咀嚼してから飲み込むことを意識し、早食いにならないようにすることも予防に繋がります。

肥満は摂取エネルギーと消費エネルギーの関係が大きく影響します。ウォーキングやジョギングなど、まずは軽い運動から始め、継続的に運動をして消費エネルギーを増やしましょう。

この記事の監修

はるた呼吸器クリニック 院長春田 吉則

このたび2018年12月、広島平和公園近隣である堺町におきまして新規開院させていただきました、はるた呼吸器クリニック院長の春田吉則と申します。
大学病院勤務時代には、喘息・アレルギー専門外来にて15年余り診療経験を積み、また主たる基礎・臨床研究におきましても喘息研究に専念してまいりました。また医薬連携活動として「アズマネット広島」の事務局として企画、運営させていただいており、広島市薬剤師会および広島大学病院薬剤部の薬剤師の方々と連携し、ぜんそく患者さんのための活動を10年余り携わってきました。
今後もここ広島におきましてアレルギー・呼吸器領域の専門クリニックとして、これまでの経験と連携を活かし、微力ながら地域の方々の健康のため貢献できるよう切磋琢磨して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【経歴・資格・所属学会】

※略歴
広島大学医学部卒業
中国労災病院・広島大学病院・広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀等で勤務

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